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カーオーディオ攻略の優先順位

当店では、カーオーディオの音質アップの攻略ポイントについて、以下のような優先順位を想定・ご提案しております。

1の音の出口の整備から、4の高規格ソース対応までは、音作りの条件整備の前提となる要素ならびに順番だと考えますので、お客様が希望される水準に応じて、順番に抑えていただきたいと考えます。
ABCについては、必ずしも4の次というわけではなく、お車の状況に応じてご判断いただく要素として想定しております。
それぞれについて、以下にご説明いたしますので、気になるところをご覧になってください。

1. 音の出口整備(標準レイアウトのスピーカーをきちんと鳴らす)

1-1. スピーカーボックスとしてのドア作り

車のエンタメ装備として、当たり前のようにドアにスピーカーが取り付けられているものの、あくまでも車という商材の商品特性を整えるためのオマケであって、ガチンコでいい音を出すことは(グレードにもよるが)あまり考慮されていないのが現実です(あくまでも車両運搬具であってオーディオ機器じゃないんですから当然ですが)。
そのため、常識的な性能を有する純正スピーカーが付いていても、スピーカーボックスとなるドアの筐体はサービスホールがボコボコ空いているため、スピーカーの適性な動作の前提条件である、ボックス内の空気の保持・気密が維持されていない状態にあります。
要はスピーカーの振動板がせっかく押し出した空気(の圧力)が、一瞬でスピーカーの背面に回り込んでしまい、物理的な成果(振動板の前方に向けた振動の発生と伝播)の多くが相殺されてしまい、十分に音(特に高音域と低音域)が出せない状況にあるわけです。

どんなに激安のブックシェルフスピーカーでも、スピーカーボックス大きな穴が空いていたり、パネルを押したら凹んだりたわんだりするような、あたかも「ティッシュ箱にスピーカーが付いた」ような製品はないわけですから、まずはマトモな箱にしてやることが、「音作り」や「チューニング」なんていうレベル以前の、単なる「広い範囲の音がとりあえず出せる」の条件を整えるための大前提と言えるわけです。

こういった背景から、カーオーディオでそれなりの音を出そうといった場合、(1)一定の気密性がある箱にすること、(2)スピーカーの振動に同調してビビらない箱にすること、を目的とした加工を施すことが必要となってきます。

1-1-1. 防振材施工(デッドニング・ドアチューニング)

ドアを箱にするための有効策として認知されているのが、デッドニングと呼ばれる防振材の施工です。

ブチルゴムとアルミシートを貼り合わせた素材を使って、サービスホールを塞ぐことで、最大のハンデであった「気密性の欠如」を解決します。これに加えて、サービスホールのない鉄板部分にも貼り付けて重みを与えてやることで、第二の課題であった「振動しやすさ」の緩和させることができます。この目的における貼付けの対象は、サービスホールが空いているインナーパネルだけでなく、インナーパネル同様に振動が伝わるアウターパネル(ドアの外側の鉄板)も含める必要があります。

実際の施工において、どういった素材をつかってどの程度やるのかを見極める必要があるわけですが、当店では、比較的重めの素材を使ってハード気味にやる「デッドニング」と、比較的軽めの素材を使ってマイルドな特性を出す「ドアチューニング」に大別してご案内しています。

ヘッドユニットに内蔵されている(比較的出力の低い)内蔵アンプではなく、外付けの高出力のアンプをつかってスピーカーを鳴らすような場合は前者のデッドニングを、また、内蔵アンプで鳴らす場合は後者のドアチューニングをといった具合で判断します。ただ、内蔵アンプによる駆動であっても、比較的高性能なスピーカーの性能をしっかり引き出したいといった場合は、より「ハイスペックな箱を用意する」という意味合いで、前者のデッドニングをお選びになられる場合もあります。

1-1-2. 拡散材施工

拡散材とは、入力された波動を散らすことを目的とした資材で、主にスピーカーの背面近くのアウターパネルに取り付けます。

スピーカーは振動板の前方の空気に振動を与えるために、前後運動を繰り返していますが、グッと後退したときには後方(ドアの中側)に向かって空気を押し出すことになります。この際、この圧力がスピーカーの真裏の鉄板に鋭角に当たると、入射角とほぼおなじ反射角で、スピーカー振動板の裏側にハネ返ることとなり、振動板の動作に強い抵抗を与えることになってしまいます。現象としては、高域も低域も伸び切らない「詰まったような」音になり、ボリュームの拡大に比例して症状が強くなります。

この現象の緩和策として有効なのがこの拡散材で、製品によって、凹凸のおおきな板チョコ、あるいは目の荒いスポンジのような形状をしています。これを上述のとおりスピーカーの真後ろ付近のアウターパネルに取り付けることにより、押し出されてきた圧力をボコボコの拡散材が多方向に散らすことで、スピーカー振動板に抵抗を与えていた「圧力のハネ返り」を防ぐ作用を発揮してくれます。

この拡散材施工は、前出のデッドニング・ドアチューニングに比べるとマスト!というわけではありませんが、より解像度の高い音を目指すハイファイ志向の方にはおすすめしたいメニューです。
※文中では便宜上、振動板が「後退」した際の抵抗についてのみ説明していますが、「前進」する際の抵抗についても同様に発生しています。振動板が後退しにくいのと、前進しにくいのは、原因が同じで、拡散材によってスピーカー背面エリアの空気抵抗を減らすことで、2つの課題が等しく解決できます。

1-1-3. ドアトリム防振・吸音

これは文字通り、ドアトリム(内装・内張り)に対する手当てです。

アウターバッフル方式という特別な取り付けをしない限り、標準レイアウトのドアスピーカーは、インナーパネルに取り付けられています。そのため、スピーカーから発せられた空気の波動の大半は、ドアトリムに設けられたスピーカーグリルを通って車室内に伝わるものの、一部はインナーパネルとドアトリムとの空間内に伝わっていきます。この波動は、当然ながらドアトリムに振動を生じさせますので、ドアトリムの素材や軽さといった特性と、ボリュームの兼ね合いによっては、ドアトリムを振動させ、耳に感じるほどのビビリ音を発生させる原因となります。

この緩和・解決を目的とするのがドアトリムデッドニングで、ブチルゴムとアルミシートの複合材である防振材をドアトリムの裏に適所配置することで重みをつけて、共振を抑制します。
これと並行して一定の効果が認められるのが、吸音材の適用です。スピーカーから発生した波動に共振しないようにドアトリムに重みをつけるのが、ドアトリムデッドニングの発想でしたが、これに加えて、ドアトリムの裏側にフカフカの分厚い吸音材を貼り付ける(というか充填に近いニュアンス)ことで、波動の伝わりそのものを消失させるという発想です。

スピーカー振動板の位置をドアトリムの外側にまで露出させてしまうアウターバッフル化に踏み込む場合、当然ながらドアトリム裏の空間に伝わる空気の波動は激減しますので、吸音材の有用性は低下しますが、標準レイアウトのままハイファイサウンドを目指す場合は、ドアトリム防振に加えて、吸音材の適用をおすすめしたいところです。

1-2. スピーカー交換

ヘッドユニットから出力された電気信号を、空気の振動に変換する機能を担うスピーカーは、一連のオーディオシステムの中で、もっとも結果(聴感)への寄与度が大きな機器です。

電気信号の強弱を磁力に変換するためのコイルと、そのコイルに反発/誘引力を生じさせるための永久磁石が背面に組み込まれており、そのコイルと連結されている振動板が前後に動作することで、空気に振動が伝わる仕組みです。
スピーカーの性能は、●磁石の強さ、●コイルを巻き付けてあるボビンの硬さ・軽さ、●コイルの素材と巻き方、●振動板の硬さ・軽さ、●振動板を周囲から支えているエッジの柔らかさ、●スピーカーバスケット(金属の枠)の堅牢性といった要素から決まります。
スピーカー性能を判断するうえでの定量的な尺度には、(例はいずれもカロッツェリアTS-V173S)●再生可能な周波数の幅を示す再生周波数帯域(例:31 Hz~65 000 Hz)●定常的に消費する電力を表す定格出力(例:50W)、●瞬間的に消費する電力を表す瞬間最大入力(例:180W)、一定の電流で発生させられる音の大きさ(効率)を表す出力音圧レベル(例:90dB)といった値があり、この他に●動作の前提条件としての抵抗値(例:4Ω)があります。
問題は、これらの値を製品選びにどう反映するか。ですが、これは身も蓋もない結論で恐縮ですが、結局のところ「聴いてみて好みに合うか」これに尽きます。

確かに、再生周波数帯域が広い製品は、低いところから高いところまでよく出ているな。と感じられますし、出力音圧レベルの値が大きい(効率の良い)スピーカーは振動板が軽く動く分、メリハリのある音を聞かせてくれる感じがします。しかしながら、これらの値が高いスピーカーは、必ず価格もそれなりになるので、値段を見ればわかるわけです。高い利潤を求めて開発・製造コストを掛ける自由経済体制では必ずそうなります(一部掘り出し物的な優良製品を除く)
そういった意味合いから、実際に試聴するのが一番ですが、それが叶わないならレビューを見るとか、あるいはご予算とお好みの音楽ジャンルをお伝えいただいて見当をつけるのが良いと思います。あと、スピーカー交換のトピックにおいて、改めて強調させていただきたいのは、スピーカーはどんなに値段が高くても、単体では単なる部品でしかなく、所定の性能を引き出すには、◯土台となるバッフルを介した適切な取り付けと、◯一定の気密性と耐振動性を有するスピーカーボックスの存在が大前提ということです。

すべてのお客様にフルスペックガチガチのデッドニングを押し付けるつもりはございませんが、 ご予算に応じて、必要な防振と、見合ったバッフルをつかった取り付けは前提としていただきたいと思います。

1-3. バッフル選定

スピーカー製品をドアに取り付ける際、一部のトレードイン製品(そのままボルトオンで交換できるタイプ)を除いて、バッフルと呼ばれるリング状のパーツを介在させることになります。

バッフルに求められる第一の特性は、スピーカーがガタつかないように、物理的に固定してくれることです。バッフルとして販売されてている製品であれば、この条件は等しく満たしていますが、価格と特性によって複数の選択肢があります。

1-3-1. 樹脂製

最も低価格で入手できるタイプです。
音の特性云々よりは、きちんと固定できる点がセールスポイントの製品です。お手頃なのは良いのですが、樹脂は素材の比重が軽く、耐振動性は低いので、ただ取り付けるだけだと、バッフルならびにインナーパネルに振動が伝わり、音を濁す(振動板によけいな振動がフィードバックされて邪魔する)きらいがあります。これは取付時に、防振材でバッフル周りを固めることである程度緩和できるので、できるだけ手をかけてやりたいところです。

1-3-2. 木材

バッフルの素材としては、もっとも歴史があり、広く使われているのが木材です。

樹脂や金属に比べると柔らかいので、物理的な特性が劣っているような見方が出来なくもないですが、スピーカーバスケットが発する振動のピークを適度に吸収して、振動板から出てくる音に対して、耳馴染みのよいまろやかさを与えてくれる印象があります。この辺は官能的な表現しか出来ず、実に歯がゆいところですが、人間の耳がアナログである以上、この素材の価値というか、一定の優位性は保たれると思います。

素材としては、木質繊維を接着剤で固めたMDFが最もポピュラーで、フィンランドやロシアのような高緯度の国で算出される白樺材(ホワイトバーチ)も高級素材として認知されています。MDFについては、ホームセンターなどで販売されている製品は硬さと吸湿性の点で課題があるので、バッフル作成をはじめとした車用に使うには、硬質MDF(スターウッド・ホクシン株式会社製)が適していると考えます。

使い方としては、リング状に切り出してボルト穴を設け、音抜けを良くするために内径側にテーパー加工を施し、適切の防水処理を施すといった工程をとります。同じスピーカー周りで言えば、アウターバッフル化する際の材料としても使います。

1-3-3. 金属

近年、市場で存在感を出してきているのが金属製のバッフルです。

素材としては、アルミ(ジュラルミン)が大半で、新しいところでは鋳鉄(ダイキャスト)というのもあります。木材や樹脂に比べれば硬いので、◯カッチリとした強固な締結が可能な点と、◯同じ理由で、スペースがタイトで極々薄いバッフルじゃないと入らない場合でもしっかり取り付けられる点、◯当然ながら吸湿による劣化がない安定性の高さに優位性があります。

留意点としては、素材の硬さゆえ、木材のような課題解決力というか、懐の深さがなく、(音の膨らみに欠ける)スピーカーそのままの音が出てくる傾向があります。これを良しとするか悪しとするかはユーザー次第・目的次第ですが、木質素材由来の変数を廃して、強力な駆動力を持つアンプですべてを支配するような使い方を志向する場合は、その真価が特に発揮されると思います。

1-3-4. 複合素材

文字通り、複数の素材を組み合わせたバッフルです。

市販品としては、カロッツェリアの「ハイブリッド メタルダイキャスト インナーバッフル」シリーズが挙げられ、ダイキャストのベース部に対して、アルミ製のフランジ部を組み合わせたハイブリッドになっています。

お店でカスタム製作するバッフルでも、異素材を組み合わせて作ることがあり、上出のMDFを基材として、フランジ部に鉄(Fe)やアルミ、あるいはアクリルのリングを単体、あるいは複数を組み合わせて製作します。
単体の素材にはそれぞれの特性があり、個々の説明は割愛しますが、複合させる理由は、再生する周波数帯の全域にわたって、バッフルの影響が出ないようにすることが目的です。あらゆる素材は、固有の共振周波数(素材が触れることによって共振現象を起こしてしまう特定の周波数)があり、この帯域の音の再生が(ちょっと)影響を受けるという現象が起こります。

この課題を解決(というか緩和)してくれるのが、複数の素材を組み合わせるという単純な手法です。標準のスピーカーレイアウトのまま、スピーカー交換を行う場合は上出の2素材を組み合わせたカロッツェリアの製品がお手軽ですが、カスタム製作する場合は、標準レイアウト/アウターバッフル形式のいずれにおいても、2つ・3つの素材を組み合わせて、より安定した特性の製品が作れます。

1-4. バッフル・スタビライザー・ウエイト

この製品はスピーカーからドア側に伝わってくる振動による悪影響をシャットアウトする製品(当店オリジナル製品)です。

一口で言えば「振動対策製品」なので、冒頭のデッドニング・ドアチューニングに続けてご紹介するのが筋のような気もしましたが、事実上、スピーカー交換・バッフル交換の際に組み込む商品なので、この位置でご紹介することにしました。
このバッフル・スタビライザー・ウエイトは、スピーカー取付部のスピーカーバッフルの裏側(ドアの中側)に取り付けるウエイトで、(1)スピーカーの振動板が動作する際、(2)その反動によってスピーカーバスケットそのものが逆方向にブレて、(3)振動板の振幅の一部が相殺されてしまう現象を防ぐことを目的としています。

製品は一つ320グラム程度の小さなバナナ形をしており、これをスピーカーバッフルの固定ボルトに共締めし、スピーカー周辺の質量を増加させることで、振動板の動作により生じていた反動を吸収し、振動板の安定した動作を可能にします。 全帯域の基調を決める低音域の規律がキチッと整うことで、低域は伸び、中高音域のディテールがきれいに表現され、音場は広くなり、音像がクリアにまとまるといった目覚ましい効果が得られます。
実際のインプレとしても「装着前に比べてウーファーの低音域が良く伸びるので、ボリュームを抑えても低域がはっきり聞こえるようになった」といった趣旨のお声を複数頂戴しています。。装着前は、振動板の動作と逆の位相で生じていた、スピーカー周辺の振動が抑制されたことによって、振動板の動き(音)が素直に引き出された。。という因果だと思います。

さらに一歩進めて、DSPを導入して、各スピーカーの帯域を調整できるシステムの場合、従来であれば(損失が多かった)ウーファーからの低音を引き出すために、ウーファーの帯域を広く、かつ、ボリュームを大きめに調整せざるを得なかったのに対して、帯域を狭く(低域側に寄せて)、ボリュームも幾分抑えられるようになります。そうなると、隣接する高域側のツイーター(あるいはスコーカー)の帯域の下限を低域側にシフトできるようになり、これまでウーファーに押され気味だったツイーターを生き生きと歌わせられるようになり、ツイーターの実力をより大きく引き出せるようになるという、ハイファイ的に願ってもない効果を得られることになります。

1-5. スピーカー取付方法変更(露出)

スピーカー交換を考える場合、標準のレイアウトのまま交換する方法が、コストの面でも、外観に変化が及ばないという同一性維持の点でも、ポピュラーです。しかしながら、より高音質を求める場合、ユニット正面の障害を取り除くように露出させて取り付けようという発想が出てきます。

1-5-1. アウターバッフル

ウーファー(ドアスピーカー)の取り付け形態のひとつです。

取り付け位置そのものは、標準の位置と大差ありませんが、スピーカーを取り付けるインナー側のバッフルを高く作って、ドアトリム(内装)の表面にスピーカーを露出させるという方法です。

標準レイアウトのインナーバッフル方式のスピーカー交換ですと、スピーカーグリル(内装にデザインされているアミアミ)が抵抗になるし、スピーカー付近の内装の空洞もコモリ要素として影響してしまうので、スピーカーから出てくる振動を100%室内に届けることは出来ません。これに対して、アウターバッフル形式をとりますと、見ての通り、スピーカーの振動板そのものが表に顔を出しますので、抵抗という抵抗が一切なくなってしまいます。こういった抵抗をなくすメリットに加えて、「音が前方に放出されやすくなる」という効果も実は大きいのです。これは、単に表に出ただけでなく、平らな、あるいは少し凸形状の丘のてっぺんに振動板を置くことで、波動がまっすぐ放出されやすくなる現象を指しています。

このようにメリットしか無いアウター化ですが、一定のコスト(両ドア分で7万から)がかかるのと、内装をカットする点が条件になります。ただこれについても、ドアトリムを再入手すれば、純正戻しはきちんと出来ますので、得られる音の価値との見合いでご検討いただければと思います。 あと、アウター化をする場合、その構造もきちんと作り込んでおく必要があります。スピーカーの位置が高くなる分、ドアのインナーパネルからスピーカーまでの距離が長くなります。これはインナー部のバッフルの筒が長くなることを意味し、その分、筒内を通過する空気の抵抗が増えることを意味します。当店では、この抵抗の解消・低減のために、筒内をテーパー状(奥に行くほど広くなる)に切削加工し、かつ、木材を余計に使う分、防水対策は余計に入念に行うという配慮をしています。

このアウターバッフル製作の技術と、内装になじませるデザイン力については絶対の自信を持っていますので、ご予算が許すのであれば、是非アウター化も一度ご検討いただきたいと思います。
アウターバッフル形式の施工例リンク

1-5-2. ツイーター埋込

ウーファーをアウターバッフル化するのと同様に、ツイーターも露出形式でのインストールが可能です。

標準でセパレートツイーターが装備されていて、ダッシュボード上あるいはAピラーの途中にアミアミの「ツイーターグリル」がついている場合、同じ位置で差し替える方法が一般的ですが、アウターバッフルのところでご説明した理屈といっしょで、アミアミのグリルが一定の障害になってしまうのは避けられません。

これに対して、主に国内メーカーのスピーカーセットに含まれる、ツイーター用のスタンドを使ってダッシュボード上にポン置きする方法をとると、非常に低コストで露出化が図れることになります。同じ露出化でもウーファー部におけるアウターバッフル化にはソコソコのコストがかかったのと対象的です。 ただ、位置がダッシュボードの水準より高くすることは出来ませんし、もっと室内デザインに溶け込ませたいというニーズも当然あります。そういったニーズを満たすのがAピラーへのツイーター埋込です。
Aピラーの中程にくぼみを作って、ツイーターを埋め込むことで、完全な露出を実現できるほか、任意の高さに取り付けられるので、より高い位置に音像(≒音のフォーカス)を表現することが可能になります。あと、くぼみの作り方や向きも自在にデザインできるため、左右対称にも、ドライバーに向けるようにも、お好みで作れます。

Aピラーへのツイーター埋込は、多くのオーディオショップさんで対応していますが、上出のアウターバッフルデザインと同様に、デザインと仕上げには絶対の自信を持っています。かっこよく・上質な出来栄えをお望みであれば、是非お任せいただきたいとガチで思っております。
ツイーター埋込の事例のみのクエリはないのですが、アウターバッフル化の事例の多くはツイーターも埋め込みになってますので、上と同じリンク先を覗いてみてください。
アウターバッフル形式(ツイーター埋込同時施工の確率高め)の施工例リンク

2. 信号増幅・制御・チャンネルセパレーション(SPに入力する電気信号の最適化)

音の出口となるドア周り(ツイーター周り)の条件を整えたとして、次に課題になるのが、そこに供給する信号の管理です。

「変なノイズがない。」とか「ひずみが少ない」と申し上げれば、なんとなくわかった感じになっていただけると思います。確かにノイズの混入・ひずみの発生を減らすというのは最も大きな評価基準ではあり、どこか単純に聞こえますが、これを実現するためには、再生機器から出力される微弱な電流を、スピーカーを動かせるレベルにまで増幅する機器である「アンプの総合的な性能」と、複数のスピーカー・ツイーター毎にアンプの系統を分けて、相互干渉をさける「チャンネルセパレーション」の発想に基づいた計画が必要になります。

ここでは、ノイズとひずみの低減を目的としたアンプ部のステップアップの考え方に加えて、複数のスピーカー毎に微妙に異なる信号を供給して、スピーカ群全体でひとつの音像を創造するDSPの運用についても説明いたします。

2-1. バイアンプ接続

これは最も低コストでチャンネルセパレーション(スピーカー毎の系統分割)の効果を体現できる方法です。

標準オーディオ、あるいはディーラーオプション/後付のナビには、信号を増幅するためのアンプが内蔵されており、これらは俗に内蔵アンプなどと呼ばれます。ほぼ100%のナビの内蔵アンプは4ch分装備されており、フロント左右・リヤ左右の4方面のスピーカーに割り当てられています。

より細かく見ていくと、前席はドアのウーファーとダッシュボード付近のツイーターとが分かれた「2wayセパレート」方式になっています。しかしながら、片側あたり2つあるセパレートユニットに供給されている信号は、1系統を分割することで創出されています。このセパレート方式は、ひとつのスピーカーですべての帯域を再生するのに比べて、直径の大きなスピーカーで低音域を再生し、直径の小さなツイーターで高音域を再生するというように分業化することで、ひずみの少ない音を再生する方法として有効なのですが、もとを辿れば1系統なので、エネルギー量の大きな低音域(ウーファー)が動作する際に、永久磁石とコイルからなるモーター部で発電された電流(逆起電流)がスピーカーケーブルを逆流し、相対的に小さなエネルギー量で動作しているツイーター側に流入するという現象が起きます。その結果、ツイーター側の振動板の安定動作を阻害され、音を歪める現象が発生します。要は強い力が必要な系統と、弱い力で済む系統がつながっているので、弱い側の秩序が乱されるということです。

前置きが長くなりましたが、こういう相互影響を排除していこうというのがチャンネルセパレーションの基本的な考え方で、ここでいうバイアンプ接続というのは、末端のスピーカーごとに別々のアンプを割り当てるという方法です。

上述の通り、ナビには4ch分のアンプが内蔵されていて、前後左右の4箇所に配分されていたわけですが、具体的には、この4系統分の出力を前席の2way(ツイーターとウーファー)に割り当てることになります。これによって、リヤ側は音が鳴らなくなるものの、フロント側は力の強いウーファー系統と、力の弱いツイーター系統が分断され、相互影響が大幅に低減されることになります。これによってもともと力強く好き勝手にやっていたウーファー側にはさしたる変化が生じませんが、常に強者の脅威にさらされてきたツイーター側は、よけいな邪魔がなくなる分、自主性を持って軽く動作できるようになります。結果として、これまでツブれていた高音域側の細かなディテールがキレイに再生されるようになり、ほとんどの方に実感していただけるほどの透明感のある音が得られるようになります。

2-2. 外部アンプ

ヘッドユニット(ナビ・オーディオデッキ)に内蔵されているアンプによる駆動に対して、単体の製品として販売されているアンプによって信号を増幅するスタイルを外部アンプ、セパレートアンプなどと呼びます。

バイアンプ接続の説明では、チャンネルセパレーション(系統分け)の効能にばかりフォーカスを当ててきましたが、アンプそのものについて考える場合、アンプの性能=微弱な電流をスピーカーが駆動できる電圧まで増幅する性能を評価の対象とすべきです。
内蔵アンプが単なるオマケなどと揶揄するつもりはありませんが、1DINあるいは2DINといった小さなボディの片隅で、小さい部品と窮屈な回路、相対的に貧弱な電源回路によって、増幅機能を果たしている内蔵アンプに比べると、それなりにコストの掛かった部品をゆったりした基盤に配置して、より余裕のある電源部を、おおきなボディに間隔をあけて配置して作った「増幅専用機器」であるアンプで駆動するほうが、よりひずみ・ノイズがすくない電流を作れることは想像に難くないと思います。

外部アンプ導入によって、増幅の性能が上がることは当然ですが、同時に系統の組み方のアレンジも考える必要があります。例えば、ナビの4chの出力を4chアンプに入力して、その4chを前後左右に割り当てて、かつ、フロント側の1系統を2wayに分割するような、標準のレイアウトと同じ系統を取る場合は、外部アンプ化することによる増幅性能の向上は達成されるものの、チャンネルセパレーションの点ではほとんど変化が得られません。
これに対して、バイアンプのところで説明したように、アンプからの4chの出力を、フロント2way(4ユニット)に割り当てれば、増幅性能の向上とともに、チャンネルセパレーションの効果も体現できることになります。

これをもう一歩すすめて、2chのアンプを2つ使うという方法もあります。高音域側用と低音域側用に一台づつアンプを設けて、前者からツイーター、後者からウーファーにつなぎます。こういう方法をとったとしても、1ユニットあたり1ch消費している点では4chアンプ1台と変わりませんが、厳密には、一台のアンプの中ですべて済ませようとすると、すべての回路と直接つながっている電源部を共有している点において、相互影響を完全に排除することができないという限界があります。これに対して、アンプをわざわざ2台用意してやると、当然ながら別製品として独立して動作できて、相互影響は無くなるので、最高水準のチャンネルセパレーションが実現でき、実現可能な範囲で最高のクリアネスが得られることになります。(1chアンプX4台というのが考えられますが、ホームオーディオならいざ知らず、車でやる人はいないと思います)

2-3. DSPアンプ(アンプ内蔵DSP)

これが最近の主流です。
DSPとは、ナビ等から入力された信号を分解し、出力チャンネル事に、◯周波数帯域の上限/下限を設定するクロスオーバー機能、◯信号を出力するタイミングを変えるタイムアライメント機能、◯周波数帯域ごとの音量を変えるイコライジング機能をもたせた機器を指します。DSPそのものは増幅機能をもたず、実際にスピーカーを駆動するためにはアンプが必要なのですが、ワンボディで済むようにとアンプ内蔵型に仕立ててあるのが、DSPアンプです。 製品としては、6ch・8ch・12chといったDSP処理のスペックに対して、そのチャンネル数と同数か、あるいは少ない数のアンプを内蔵させてある製品が販売されています。

一番シンプルな形としては、ナビのフロント出力(左右で2ch)を入力して、4ch分のアンプをつかって、フロント2way分を出力する。あるいはリヤの2chも支配下にいれるために6ch分のアンプを使うといった使い方です。さらにサブウーファーを使いたい場合は、DSPアンプのプリアウト出力の先にパワードサブウーファーをつなげるか、余っている内蔵アンプでボックス型のサブウーファーをつなげる方法がとれます。

ボリュームゾーン製品のDSPは6ch入力が主流ですが、最近の上級車種の一部は、純正の多チャンネルアンプが組み込まれていて、あらかじめ帯域分割された信号が出力されるため、上記の例のように1chでフルレンジ信号が取り出せないケースや、前後席の配分を変えられるように複数のチャンネルとして取り込みたいケースもあるので、12chもの入力に対応した上位機種も販売されています。

2-4. 単体DSP+外部アンプ

こちらはDSP機能のみのアンプレスDSPと、単体のアンプとを組み合わせて使うパターンです。

当箇条のバイアンプ接続ならびに外部アンプの記述をご覧いただくとおわかりになると思いますが、アンプ内蔵DSPに対して、アンプ機能を持たない「アンプレスDSP」のほうが、強いエネルギー消費によってDSP側に影響を与えるアンプ部を含まない分、DSPとしての動作の安定性が確保できるメリットがあります。筐体の分離によって個々の動作が安定するという理屈はどんな場合にも当てはまるので、既述のDSPとアンプの分離の他、接続する1台のアンプを、さらに複数のアンプ群(高域用2ch・低域用2ch・サブウーファー用1ch)に分けまくることで、相互干渉を排除したクリーンなドライブを実現できることになります。

こういった安定性の点に加えて、先々、アンプ部をスペックアップしたいと思った場合、DSPアンプでも別アンプをつなげることは出来ますが、内蔵アンプに掛かったコストは回収できません。これに対して、アンプレスDSPだと、容易に無駄無く差し替えが効き、旧アンプは処分・回収できるという、隠れたメリットがあります。

3. ユニット追加(標準レイアウトスピーカー以外の追加)

1の音の出口整備の条項では、基本的に標準レイアウトのスピーカーのスペックアップ、ならびにスピーカーの性能を引き出すための条件づくりについてお話してきましたが、ここでは、標準レイアウトに含まれないスピーカーの追加について触れます。第一には、低音域を補強するサブウーファーを指し、第二には、サブウーファーとは機能が違いますが、標準のフロント2wayを3way化するためのスコーカー(ミッドレンジ)の追加について触れます。

3-1. サブウーファー追加

サブウーファーはブンブンと重低音を発生させて、ノリノリな感じを演出する低音発生機のように捉えられることが多いです。それはそれであたっているし、ブンブンは楽しいですが、より原音に忠実っぽいハイファイサウンドを目指す世界においては、中高域を鮮やかに鳴らすための倍音効果を発生させるために、基音(全体の音の中で一番低い音)を再生する目的で用います。
周波数的には80hzあるいは50hz以下といった超重低音で、耳には聞こえないけども、なんとなく空気の波動を感じるくらいの微妙な音量で鳴らします。サブウーファーだけでは耳に聞こえないはずなんですが、いざサブウーファーだけスイッチを切ってみると、中高域の音がシュンと痩せて、鮮やかさが失われてしまいますので、その効能の大きさを思い知らされます。

機器としては、筐体内の電源部を持つ「パワードサブウーファー」と、箱(ウーファーボックス)に入った25センチから30センチの大きなユニットである「ボックスタイプサブウーファー」の二択になります。

パワードサブウーファーの場合、DSPのプリアウト出力から信号をとることも出来ますし、DSPを入れていなくても、ナビのプリアウト出力、あるいはスピーカー出力から分岐させて取ることも出来、お手軽です。これに対して、ボックスタイプの場合は、アンプを含まない単なるデカいスピーカーですので、駆動用のアンプが前提になります。そのため、2-2で説明しているセパレートアンプのうちの1chを割り当てる方法もありますが、主流のパターンは、DSPアンプの1chを使って鳴らすパターンです。アンプレスDSPとアンプを組み合わせる場合は、アンプ駆動用の大出力のモノラルアンプを組み合わせることで、より正確でトルクフルな駆動が可能になります。

3-2. フロント3way化

これはタイトルそのままで、一般的なフロント2wayにもう一つ足して3wayにするグレードアップを指します。

もともとのステレオスピーカーは、多くの方がお察しのように、1対からスタートしています。ながらくそんなもんだで通用してきたわけですが、ある時点で、ボリュームを大きくするにつれて、高い音が歪んだり、聞こえなくなったりする現象が生じていることに気づきます。要は、振動板を大きな振幅で揺らす必要がある低音域を再生する際に、細かな振動が必要な高音域の再生が邪魔されてかき消されていたわけです。(詳しくは分割振動で検索)この現象の解決策として、スピーカーごとに受け持たせる周波数帯を分ける、2wayマルチスピーカーシステムが考え出されました。(実際には2way化の前に高域再生用の花びらがついたダブルコーン形式が発明されています)

担当帯域を狭めると、より狭い帯域の再生に専念できるので、歪みが起きにくくなり、単体での音はグッとクリアになります。また、それらを組み合わせて全音域を構成すると、1wayで問題になっていた低音域が高音域に与える影響が起きなくなり、低域は力強く、高域は軽やかにと、劇的に変化します。 この分ける発想の延長線上に、上述の低音域専門ユニットである「サブウーファー」が存在するわけですね。そして、本題の3way化ですが、これも、高域から低域までを2ユニットに分けて担当するより、3つに細分化したほうが良かろうという考え方です。

数値で表現すると、一般的な2wayの場合、ツイーターとウーファーの境界が3-4kHz程度ですが、3wayの場合、ツイーター/スコーカー間が4-5kHz、スコーカー/ウーファー間が400-500kHzといった具合に細分化されるので、これまで低い音まで頑張っていたツイーター、高い音まで背伸びしていたウーファーが楽になり、歪が出にくくなるわけです。

インストールの実際としては、2wayの場合、Aピラーあるいはダッシュボードの奥にツイーターを配置するのに対して、3way化する場合、見た目の変化が少ない方法として、ツイーターの位置はそのままに、ドアトリムの上側にスコーカーを埋め込むパターンがあります。ただ、ウーファーやサブウーファーに対して、指向性(まっすぐ進もうとする性質)が強い中音域・高音域のユニットは、できるだけ近づけて、かつ、前後の差も少なく配置したほうが位相ズレが起きにくくて音をまとめやすくなるので、Aピラーの中腹から根本の位置に、2つ並べて配置する方法が主流です。

4. デジタルソースへの対応(ハイレゾ信号再生)

音の出口となるドア周りの整備と、増幅機能・調整機能を司るアンプ/DSPアンプ部の導入が済むと、入力した信号を高品位で再生する準備が整ったことになります。
ここでは、スマートフォンや楽曲再生用DAPのデジタルソースをハイレゾ再生する方法を簡単にご説明します。

図にありますように、DSP(アンプ)への入力は、光デジタル(TOS-LINK)で入力する機構になっているものがほとんどですので、お使いの端末とお好みの接続方法に応じて、中継機器を用意することになります。
iPhoneなどのスマートフォンの場合、USBかブルートゥース経由になりますが、USBによる有線接続を行う際は、デジタルインターフェースを使って、光出力に変換することになります。また、ブルートゥースで接続したい場合は、ブルートゥースレシーバーを使って光に変換することになります。
より高品位再生を全面に打ち出したDAPになりますと、USBとブルートゥースの他、同軸デジタルによる出力に対応した製品がありますが、デジタルインターフェースは光・同軸のどちらにも対応していますのでOKです。お客様の傾向を見ると多くの方が同軸デジタルで接続なさるようです。なお、使い勝手有線でブルートゥース接続したい場合は、前出のiPhone同様、ブルートゥースレシーバーのお世話になることになります。

以下にスマートフォン/DAPを入力できるようにした施工例をお示しいたします。全ページにおいて、リンク先ページの2カット目にシステム図がありますので全容の把握にお役立てください。
iPhoneをUSB接続している例:フェラーリ458
iPhoneをUSB接続している例:レクサスLC500h
iPhoneをブルートゥース接続している例:ランドローバー・ディフェンダー110
DAPを同軸デジタルで入力している例:ジムニーシエラ
DAPをブルートゥース接続している例:レヴォーグ STI Sport(VN型)
DAP同軸接続&iPhoneブルートゥースのどちらもイケる例:レヴォーグ STI Sport(VM型)
ブルートゥース入力対応のDSPアンプを搭載した例:クラウン・マジェスタ

A. ヘッドユニット交換

ここではヘッドユニット交換に関するお話です。

現行車・中古車通じて、ヘッドユニット周りは以下4つのいずれかになっていると思います。
(1)メーカー独自設計のナビ・ディスプレイオーディオがついている(ナビ以外の機能も盛り込まれていて外すとまずそうなタイプ。DIN規格ではない)
(2)2DIN規格の枠があり、2DINタイプのナビがついている車(ディーラオプション・OEM製品・後付市販品含む)
(3)1DIN規格の枠があり、1DINタイプのオーディオデッキがついている車
(4)メーカー独自設計のオーディオデッキ的なものついている車(DIN規格ではない)
これらの車の現状に対して、当店でお手伝い出来る内容をお伝えします。

(1)は古くはトヨタのエレクトロマルチビジョン全般から現行のディスプレイオーディオ、新旧外車の専用設計ナビなど、中古・現行を合わせると総数として一番多いパターンだと思います。
こういった車で音質改善を図る場合、ヘッドユニットには手を付けず、スピーカー出力をDSPアンプに入力して、標準レイアウトのスピーカーを鳴らす方法を取るのが一般的です。しかしながら、古い車の場合、ナビそのものを交換したいというニーズはあります。そういう場合は、独自のナビを取り外しても良さそうか調査し、問題ないなら外して、2DINが取り付けられるように造作を行って、市販ナビを入れる流れになります。一方、外すと支障がありそうな場合は、電気的な接続を維持できるように、配線を延長し、シート下やトランク内に移設して場所を作り、上述と同様に2DINナビを入れる対応を取ります。 また、外車のスポーツカーなど、ダッシュボードのデザインにピッタリ合わせてかっこよく作り込んであって、外すわけにはいかない場合もあります。こういった場合は、スペースの状況に応じて、1DIN/2DINが取り付けられるようにダッシュボードの下辺りを加工して場所を作ることになります。
日産GT-Rのエアコンパネルをルーフに移設してディスプレイオーディオを取り付けた例
フェラーリ488のダッシュボード下に1DIN取付スペースを設けて、オーディオデッキをつけた例
マセラティ・クアトロポルテの純正ナビをトランクに移設して2DINナビを取り付けた例
アバルト595のの純正純正ディスプレイオーディオをシート下に移設して2DINナビを取り付けた例

(2)これは最も手がかからずに、入れ替えができるパターンですね。
ナビデータの鮮度に問題がないようなら、そのままお使いになればよいし、交換しようという場合は、ナビ・ディスプレイオーディオのどちらでも交換が可能です。特に加工は必要ありません。

(3)こちらもDIN枠があるので、(2)と同様に簡単なパターンです。
1DINですと、ナビ・ディスプレイオーディオいずれの商品も存在しませんので、オーディオデッキ(AVメインユニット)からの選択になります。現行商品ですと、最多の商品数を出しているカロッツェリアから選ぶことになります。

(4)これは、純正に手を入れにくいという点で、外付けのDSPに頼るか、(1)のように取り外し、あるいは移設して希望の製品を取り付けるかの二択になります。
トヨタのように複雑に機能を入れ込んである例を中心として、基本的には手を付けないケースが多いのですが、当店で取り扱いの多い現行(ND)ロードスターは、割と単純な作りであることもあり、取り外してオーディオパネルを制作し、1DINデッキを取り付ける事例が多いです。
以下がロードスターの事例です。いずれもセグメントオーディオを取り外した後、オーディオパネルをカスタム製作しています。
NDロードスタ990Sに9インチディスプレイオーディオを取り付けた例
NDロードスタ990Sに11インチディスプレイオーディオを取り付けた例
NDロードスタ990Sに1DINオーディオデッキを取り付けた例

B. 信号伝送時の損失低減

電気製品間の接続には、必ず電線が介在します。それら電線に求められる性能の第一は許容電流(どれだけ電流を流せるか)で、微弱であれば細く、大電流であらば太くという選択になります。次の性能が耐ノイズ性です。銅などで出来た導体を電流が通るとき、周囲に存在する電波や振動といったノイズによって、電流の波が影響を受けてしまいます。

一般的な電気製品は、内部の基盤内/基盤間に使われている配線ケーブル、ならびに電子部品に養生を施して対策してありますし、電源ケーブルやLANケーブルのような機器間をケーブルについても、導体を直接覆う絶縁膜の外側をさらに外装皮膜(シース)で覆って防護する等の手立てを講じています。
カーオーディオでは、比較的強い電流(12V・5A-100A)といった機器動作用の電流と、音声を伝えるための比較的微弱な電流(RCA上限約5V程度<スピーカー出力最大約20数ボルト程度)の2つを使います。
まずノイズ耐性の点では、微弱な後者は当然のこと、前者も意外とノイズの入口になりますので、ケーブルの適切な選択に加えて、敷設方法(接続方法や通す位置など)もそれなりに気を遣います。
次に性能の点ですが、流せる電流(許容電流)については、用途に応じた適切な太さを選ぶだけですので、何も頭を使うことはなく、最大の関心事は組成の素直さです。これはノイズ耐性の話とも通底するのですが、銅の純度や製法によって、電流の通り方にクセが生じるようで、高音域の抜けが悪いとか、なんか力強い、音が前に出てくる!などといった、理系の方々に笑われてしまいそうだけれど、他の条件を全く同じにして聴き比べると、プラシーボ以上の違いがあります。

純正スピーカー然り、純正ケーブル然り、最初からついている純正品は、なにかにつけ低く評価されがちですが、正直言って純正ケーブルが特別プアであるとは感じません。比較的クセはないし、ドア周りをちゃんとやって、標準デッキの音をいい感じに聞こう♪くらいの水準であれば全く問題ありません。第一、追加のコストが不要です。
ただ、もっと楽曲データをピュアに聞きいてみたい、ディテールを感じられるハイファイの世界に踏み混んでみたいと思われる場合、一定の値段のケーブルを使う価値はあります。

あと、伝送の主役であるケーブルの影に隠れがちですが、ケーブル同士、あるいはケーブルと機器の接点となる端子、ならびに接続方法も気を配る価値があります。ケーブル間に介在させるギボシや、電源ケーブルの途中に配置するヒューズ、スピーカーケーブルをスピーカーの裏に接続する際のY端子など、接点抵抗が低くなるような方法と部材を使うことで、それなりの変化が生じてきます。

最後に、カーオーディオでつかうケーブルの引込時の車両への負担についてです。昨今は査定コンシャスなお客様が増えましたので、この視点は重要です。
例えば純正ケーブルの末端は、現場の作業性を有線して、全てカプラでパチンと接続できるように設計されています。当店では、車両にできるだけ損傷・負荷をかけないこともオーディオ屋の品質のひとつだと考えていますので、このカプラ、ならびに純正ケーブルに一切傷をつけずに、スピーカーを接続するための「変換カプラ」をご用意し、ご要望に応じて使っています。また、社外のスピーカーケーブルを引き込んでみようという場合においても、窮屈なドアのヒンジ部分を通す際など、負担が減らせるように、ケーブル側に加工をしたり、通し方の経路を工夫するなどの配慮をしています。

C. 電源の安定性確保

オーディオ機器に限らず、電気機器の仕様通りの性能を発揮させるには、電源の安定が大前提になります。家庭の電圧が100Vであるように、車は12Vか24Vですので、この電圧が出ていれば、まずは製造メーカー的にはOKです。

しかしながら車の場合、灯火を点灯させたり、ワイパー・パワーウインドウのような電動機(モーター)を稼働させたり、エアコンの室外機や、発電機などの起動によって、10ボルトを遥かに下回る水準から、瞬間的に20ボルトに迫るようなところまで、実に広い範囲で変動し続けています。そういった「現場」に対して、アンプのように消費電流の多いオーディオ機器を設置すると、大元の変動に加えて、アンプ類自身が要求する電流が思うように確保できず、動作が不安定になったり、動作しなくなったりという事態も発生します。

こういった状況下でも、オーディオ機器が所定の性能を発揮し、かつ、より安定的に稼働させるために、適切な電源ケーブル配線と、その電圧を安定させるための補機類の組み込みが推奨されるわけです。

C-1. バッ直1

カーオーディオの初心者さんにとっても、おなじみになった感のあるこの言葉。室内への電源引込のことを指します。

基本的的な理解として、室内にアンプあるいはDSPアンプといった消費電力の大きな機器を設置する場合は、必ず必要となります。この呼称は、ボンネット(orトランク)内のバッテリーのプラス端子に直接電源ケーブルを繋ぎ、室内に引き込むという、「バッ」テリーから「直」接に由来しています。

使用するケーブルの太さ、ならびに途中につけるヒューズの容量は、アンプ類の消費電流の合計に余裕をもたせた水準で決めます。例えば、売れ筋DSPアンプのaudison AF C8.14 bitであれば、アイドリングの電流1.4Aに対して、最大音量のときに34Aとなっていますので、オーディオテクニカの電源キット製品でいくと、TPK-800R(ケーブル太さ8ゲージ・許容電流65A・ヒューズ60A)で足ります。ちなみにこの上のTPK-400Rだと、太さ4ゲージ(許容電流115A)でヒューズ80Aですが、マルチアンプ構成にして消費電流が増えた場合、ケーブルは2ゲージ(許容電流150A)、ヒューズは100A、125Aといった世界になってきて、このレベルになるとセット商品はなく、必要に応じてアソートすることになります。

配線方法は、上述の通り、プラス側をバッテリーのプラス端子から直接引き込みますが、マイナス(アース)側については、ボディーの鉄板がバッテリーのマイナスとつながっているので、トランクのフロアなど、アンプの設置場所近くの金属部分からとることになります。

C-2. バッ直2(プラス・マイナス同時バッ直)

これは、目的は上記1と同じものの、引き込み方に一工夫したパターンです。タイトルのとおり、プラスだけでなく、マイナス側も室内に引き込もうという考え方です。

上述の通り、プラスは太いケーブルで引き込むものの、マイナス側はボディを経由するので、それぞれの抵抗値に差が出ます。これをできるだけ同じにして、スムースに流れるようにします。当然ながら、電流の流れを促進することはできませんが、トータル(回路全体)の抵抗値は下がるので、音質そのものは良くなりますし、音の立ち上がりも良くなります。

C-3. キャパシター

これは電気を貯めておく機器です。

筒状、あるいは箱状の筐体の中に、大きなコンデンサーが入っていて、プラスとマイナスの電極がついています。あたまも小さなバッテリーのようです。 これを、電気を消費するアンプ類の近くに設置します。回路的には、アンプのプラスとマイナスに並列につなぎます。
このキャパシターは充電式電池のように、電気をためておけるので、電気の源であるバッテリーからの電圧が一瞬下がっても、相対的に高い電圧を維持しているキャパシターから電気が流れ出ることで、電圧降下が打ち消されます。バッテリー電圧が低下するといっても、ほんの一瞬のことで、基本的にはオルタネーターが発電して補ってくれるので、ごく短期間のバックアップができれば(オーディオ的には)十分なのです。また現実に、キャパシタをいれると音が澄んで、ディテールが細かくなるのがわかりますので、電圧のこまかな変動による音への影響の大きさを思い知らされます。

C-4. 安定化電源(レギュレーター)

この製品は、そのタイトル通り、もっと積極的に電圧を安定させる動作をする機器です。

キャパシターが蓄電池的のように、ダム的に振る舞うので、厳密に言うと、キャパシタから給電して、キャパシタの電圧が下がった分、アンプに供給できる電圧は(微妙に)下がるわけです。
これに対して、安定化電源はコンデンサーに加えて、昇圧および降圧の機構を持っているので、一定水準を維持できるようになっているわけです。ということですから、当然任意の電圧を指定できるようになっています。決めた値を割るようなら、キャパシタからの給電に加えて、昇圧機能で足し前をし、突発的な高電圧に対しては降圧カウンターを当てるという格好です。(下げる機能までついているのはオーディオテクニカのAT-RX100のみ

キャパシターのところでお伝えしました通り、電圧の安定の音質への寄与度は非常に強いので、DSP+マルチアンプくらいのシステムになる場合は、特におすすめです。