フェラーリ488GTBのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
フェラーリ488GTBの事例紹介です。
フェラーリのクーペには、V型12気筒エンジンのFRレイアウトと、V型8気筒のミッドシップレイアウトとの2つの系統があり、488GTBは後者に属します。
V8の系統を思いっきりさかのぼってみると、最初は308/308GTB(1976年)、次いで328(1985年)、その後は348(1990年)、348GTB/GTS(1993年)、360モデナ(2000年)、F430(2004年)、458イタリア(2009年)、488GTB(2014年)、F8トリブート(2019年)という変遷をたどっています。
V12なんて聞いただけで縁が遠すぎる存在ですし、V8にしたって全く庶民の生活になじみのない存在ですが、下町の当店には、なぜか御縁の赤い糸がつながっているらしく、V8のF430、458イタリア/458スペチアーレ/458スパイダー、488PISTAといった車両をお預かりした経験がございます。
今回の488GTBは、先代の458の改良版として2014年に発売されたクルマで、GTBのネーミング、ならびにそのスタイリングから、1980年代に入って生産された308GTBをオマージュしたモデルなんだそうです。
ちなみに、この488のパワーアップ版であるPISTAはお預かり実績があります。PISTAは、フロントグリル中央に設けられたトンネルからボンネット上方にエアを抜いてダウンフォースを得るというクレイジーな構造を持つクルマで、当店周辺の下町の空気からは、完全に浮き上がってましたが、今回のGTBの方は多少、理解しやすいデザインです。
今回のGTBオーナー様は、純正システムとは関係なく1DINデッキを新設して、スピーカーの交換もしてオーディオシステムを整えてほしい。というご要望でお問い合わせいただきました。
並行輸入車あるあるなんですが、純正デッキのラジオ周波数が日本と違うので受信ができないんですね。これが決定的に困るポイントで、他にも操作系の使い勝手が悪い点を挙げられるオーナー様は多いです。
こういった場合の対処としてポピュラーなのは(1)スマホをヘッドユニットと位置づけて、小型アンプ、あるいはDSPアンプを投入するパターンで、次いで、スペースが許せば(2)1DINデッキを新設するパターンの2つです。
これまでの施工実績で行くと、(1)が7割、(2)が3割といったところでしょうか。
今回のお客様は(2)を選択され、併せて、フロント2wayスピーカーの社外品への交換と、デッドニングによる環境整備もご依頼頂きました。
以下コンポーネント紹介です。
◯ヘッドユニット
カロッツェリアのDEH-970(税込38,500円)です。
当サイトを御覧頂いているお客様はご承知いただいていると思いますが、DEH-970は2022年3月をもって生産終了となった廃盤品です。
しかしながら、その音質の良さと、DSP機能の水準が価格を大幅に凌駕している「超ハイコスパ機」としての評価は揺るぎませんし、物価高の昨今、この値段でこれ以上の性能の製品が出てくるとは思えなかったので、終売時点でのメーカー在庫の多くを引き取らせていただいた経緯があります。
終わった商品のスペック紹介をしてもナンですが、もう少し店頭在庫があるので以下に続けます・・
この製品の主要なセールスポイントの一つが、選択式のスピーカー接続モードで、ネットワークモードとスタンダードモードから選べるようになっています。
ネットワークモード選択時は、フロント2way+パワードサブウーファーをマルチ制御できるようになり、当店のお客様に人気の高いモードです。
対して、スタンダードモードは内蔵4chアンプを、フロント/リヤの4chに振り分け、必要に応じてパワードサブウーファーも追加できるという、より一般的なスタイルです。
今回は、前者のネットワークモードを選び、ツイーターとウーファーのフロント2wayを、デッキ内蔵の4chアンプで個別に駆動します。
当然ながら、全チャンネルに関して、再生周波数の帯域調整(クロスオーバー)、発音時間の調整(タイムアライメント)、ならびにイコライジングを加えることが出来るので、1DINデッキ一つで実用に十分なレベルの音場を演出することができます。
取り付けは、コンソール中央の下側に吊り下げる格好で固定し、各スピーカーへの配線は、純正スピーカーケーブルを活用してつなげています。
デッキへの入力については、純正デッキの出力をAUXで入力するようなことも可能ですが、今回は純正デッキとの関わりは一切ナシとし、付属のUSB入力と、ブルートゥース経由のスマホソースがメインソースとなります。
◯スピーカー
当店を代表する人気国産ブランド!BLUE MOON AUDIOのSX165(税込48,400円)です。
同ブランドの2wayスピーカーシリーズはフラッグシップのRX165、ミドルグレードのAX165、ベースグレードのSX165と3グレード展開となっており、同ブランドのエッセンスをリーズナブルにお楽しみいただけるSX165をお選びいただきました。
ブルームーンオーディオのスピーカー製品は「音を鳴らす機械ではなく楽器」を標榜しており、カーオーディオ用途に向いたパンチ力・メリハリはありながらも、癖の少ない素直な鳴り方が持ち味のユニットです。
このように特徴のあるスピーカーですが、これを活かすも殺すも取り付け方法次第です。
この2wayスピーカーのうち、ウーファーの方は、デッドニングで防振を施したドアにMDFバッフルを介して取り付け、ツイーターの方は、純正のツイーターグリルの中に取り付けました。
以上をもって、1DINデッキ+フロント2wayのコンパクトなオーディオシステムが出来上がりました。
デッキは新設となるため、標準の外観に変更が生じるものの、オーディオ製品のように操作頻度が高い機材が馴染みやすい位置なので、違和感が出にくい仕上がりになったと思います。
スピーカーコンポーネントについては、ウーファー、ツイーターともに標準の位置での差し替えとなりますので、純正に対する変更は生じていません。
オーナー様にはだいぶお喜びいただけたご様子で、当店も分解のヒヤヒヤの苦労が報われました(^o^;)
それでは施工の様子を御覧ください♪
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ヘッドユニット
カロッツェリアのDEH-970の取り付け状況です。
コンソールの下段にエアコンコントロールのパネルがありまして、その下方に吊り下げる格好でとりつけました。
使用部材としては、1DINが収まるボックス形状のブラケットを取り付けて、その中にDEH-970を格納しています。
用語としては「吊り下げ」ですが、ソリッドなハコに収めて取り付けているし、色目も背景になじんでいるのでので、純正の空気をほとんど乱していないと思います。いかがでしょうか?
前述のとおりメーカー出荷は終了していますが、在庫を少し確保しています。
ご入用の方はネットショップでお求めください。
【DEH-970販売ページ】 -
純正オーディオユニット
純正のオーディオコントロールユニットです。
これはダッシュボードの奥に、セパレートアンプと並んで設置されています。
冒頭でもお伝えしたように、純正システムとは関係なくDEH-970を取り付けるのですが、室内に設けられている純正USBポートにつながるケーブルと、ラジオアンテナ線をDEH-970につなぎ替えるために、ゴソゴソとアクセスしています。
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純正USBポート
センターコンソールの後ろ側にある、純正のUSBポートです。
DEH-970には2つUSBがあるので、一本をこの純正ポートと接続しました。
後付デッキやナビに付属しているUSBケーブルの処理は、使いやすさを考えてキレイに処理しておきたいものです。
一番コストがかからないのは、単純に引き出しておくだけのパターンですが、写真のように純正ポートにつなぎ込めると、見た目も使い勝手もグッとよくなりますね♪
なお、もう一本のUSBケーブルは(基本的に使いませんが)グローブボックス内に引き込んで、コンパクトにまとめておきました。 -
フロントドア
それではドア作業の方に移っていきます。
まずは外観です。
ほんとにイタリアとフランスのアートだけは、真似しようと思ってできるもんじゃないですね。
写真でもそれなりに伝わると思いますが、現物の迫力はかなりのものです。
488ではPISTAというレーシングなモデルの施工事例がありますが、それとはカラーリングが逆になってるようです。
スピーカーレイアウトは、フロント2wayのみで、いずれもドアにレイアウトされています。
ウーファーは前方の定位置で、前方上端にある黒いひし形がツイーターカバーです。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
国産に比べてだいぶ複雑な構造をしているのですが、ピスタで経験済みなので、過剰に緊張することなく外せました。
上段に取り付けられているのはエアバックシステムです。前方のアルミの筒みたいなのがインフレーターですね。 -
アウターパネル作業
アウターパネルの施工が終わった状態です。
サービスホールを塞いていたスポンジシートを取り除き、ドアの内外をきれいに清掃・脱脂します。
作業に伴ってエアバッグインフレーターを外す必要があるので、バッテリーのマイナスを外して放電を待ちながら、別の作業を進めました。
今回は1DINデッキの内蔵アンプで鳴らすので、それほど駆動力は強くありませんが、制振力の強いデッドニンググレードでドア防振を行いました。
今回サブウーファーはつけないので、ウーファーのローエンドを伸ばす意味で、しっかりめのデッドニング・グレードにしといて正解だったと思います。また、音のディテールをきれいに出す上でじゃまになる「外来ノイズ」の侵入防止の点においても有効だと思います。
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インナーパネル作業
インナーパネルの作業が終わったところです。
スピーカーは、MDFでカスタム製作したバッフルを介して固定しています。
スピーカー配線は、純正スピーカーがダブルボイスコイル(プラス線とマイナス線が2本づつ接続されている)でしたので、カプラのピンアサインを確認して接続しました。
純正ケーブルをフルに活用するとしても、ラストワンマイル?の接続部分はお店のケーブルを足すことになります。これにはSAECのSPC-350を使っています。
純正スピーカーケーブルの活用の理由は、単なるコストダウンだけではなく、車体に穴を開けたくないのも大きな理由です。
ドアとキャビン間のハーネスはカプラ式になっており、新たに配線を引きこむ余裕も無いので、通すとなったら新たに穴を開けるしかなくなります。
音質へのこだわりが強くて、多少コストがかかってもいいから!とおっしゃる場合は別として、純正ケーブルを活用する方が圧倒的にコストを抑えることができます。
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純正位置ツイーター取付
ツイーターグリルを裏側から見ているところです。
SX165のユニット外径に対して、純正ツイーターユニットが収まっている外径は同等なので、基本的にスポッとハマりますが、保持用のツメはサイズが合わないため、一通り取り除いています。
固定には耐熱・耐振動性を備えたエポキシ接着剤を用います。
乾いてしまえば外れることはありませんが、じわりと力をかければ、きれいに外すことはできます。
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ハンズフリー用マイク
最後はハンズフリーマイクの設置状況です。
位置はハンドルの右側です。
定位置はコラムカバーの上なのですが、タコメーターにカブってしまうので、支障のないところを選ぶとここになりました。 -
作業後記
今回は、488シリーズでは初登場のGTBのサウンドアップ事例を御覧いただきました。
こういった欧州のトップクラスのスポーツカーのサウンドアッププランを複数、ご提案&施工させていただく中で、実質的な選択肢をかなり絞り込むことができたように思いますので、こちらに記しておきます。
共通した条件は、皆様お察しの通り、極端にインストールスペースが狭いということです。
(1)ヘッドユニット
純正のヘッドユニット(セパレートアンプ含む)のスピーカー出力から・・・
(1)-1小型アンプに取り込む
候補は今回のアルパインKTP-600(税込19,580円)、カロッツェリアのGM-D1400 2(税込16,500円)とこんなところだと思います。いずれも4chです。
(1)-2ブルートゥース付きハイエンドアンプ
純正デッキからの出力に加えて、ブルートゥース接続によるスマホソースも再生できて、ハンズフリー通話もできるようになるのがこちらの458で取り付けているJOYNです。
(W)178(H)25(D)120と大変コンパクトで薄いボディなのでインストール場所に困ることは有りません。
(1)-3DSPやりたい場合
アンプ内蔵の超小型DSPというのがあります。ちょっと値段が張りますが、ちょこちょこ売れている製品でドイツブランドMATCHのM-5DSP MK2といいます。5chアンプ内蔵で7ch分のプロセシングができて、寸法は(W)110×(H)35×(D)85と手のひらサイズ。価格は税込104,500円です。
(1)-4 1DINユニット新設
今回の事例のように、純正オーディオシステムとは関係なく、DSP機能の付いた1DINを新規に取り付けて、フロント2wayをマルチで鳴らすパターンです。
システム的にも予算的にもさっぱり済ませたい場合はこれですね。
今回は店内在庫のDEH-970で対応しましたが、なくなった場合は現行品のDEH-6600、あるいはMVH-6600(いずれもオープン価格)あたりになります。
(2)スピーカー
極端にマグネットの大きな一部ハイエンド製品を除けば、なんでも対応可能です。
純正のスピーカーグリルの中でベストポジションに収まるよう、バッフルを選定して取り付けて、入念デッドニングで防振します。
(3)パワードサブウーファー
17センチクラスのスピーカーをきちんと付けてデッドニングすれば、しっかり低域は伸びるものなのですが、エグいスポーツカーの場合かなり爆音なので、当たり前のようにサブウーファーをご希望になるお客様が多いです。
そういった場合に便利なのがパワードサブウーファーです。狭いスポーツカーでも、ポルシェはリアの平たいスペースを使えばOKですし、基本的に2シーターですので、今回の例のようにシートバックにボックスをこしらえることもできます。またこちらのボクスターのようにシート後方のフロアに立てて設置するパターンであれば、ほぼすべての車で可能です。
(ちなみにいずれのケースにおいても、左右2台設置が可能です。)
大変ざっくりで恐縮ですが、以上が室内の狭いスポーツカー向けの最小コンポーネント数で組めるオーディオシステムプランです。
エンジン・マフラーの爆音+ロープロタイヤによるロードノイズはスポーツカーの醍醐味ではありますが、それはそれとして、曲もまともに聴けるといいんだけどなぁ、というオーナー様はどうぞご相談ください♪
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