スバルレヴォーグSTI Sportsの事例紹介です。
レヴォーグのデビューは、2013年の東京モーターショーの翌2014年です。
1989年発売のレガシィ、1992年発売のインプレッサ、2010年発売のXVといった主力車種に続くモデルとして発売されました。
ボディタイプはステーションワゴンで、このジャンルの開拓者であるレガシィ・ツーリングワゴン(とインプレッサ・スポーツワゴン)の後を継ぐ格好でスタートを切りました。
初代のVM型は2014年から2020年までの7年間に渡って生産され、多くの期待を集めて、2020年に現行のVN型が誕生することになります。
当店のようなプロショップのお客様は、やはり車好きの方がくすぐられるような車のオーナー様が多くなるわけですが、BMWやメルセデス、GT-Rやスープラと並んで、このレヴォーグもよくご入庫いただくクルマです。
より正確に言えば、レヴォーグに限らず、スバル車全般に渡ってまんべんなく。という感じでしょうか、トヨタ・ホンダ・日産といった大手に比べて個性が強く、旧中島飛行機をルーツとした伝統ある技術牽引型のブランドと、スバル車のアイデンティティーである水平対向型エンジンの存在が、趣味性の高いオーディオプロショップとの親和性を高めているようで、長期に渡ってグレードアップを積み重ねながら、お付き合いいただいているお客様が少なくありません。
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今回ご紹介するSTi Sportsは、初期型に属し、スバルテクニカインターナショナル(STI)とのコラボレーションによるレヴォーグの最上級グレードとして、2016年にラインアップに加わったモデルです。
オーナー様は、上述のスバル愛に満ちたお客様で、2017年のビッグマイナーで登場したこのSTIをいち早くオーダーされ、「関東での納車第一号!」をゲットした縁起の良い方です♪
その際は、納車と同時にご入庫いただき、クラリオンの9インチナビ・audisonのプロセッサーアンプ・パワードサブウーファーの投入に加えて、純正オプションのDIATONEスピーカーの取り付け直しと防振といった一通りのシステムアップをご用命いただきました。
その後、オーディオ面はちょこちょことグレードアップを重ねていたのですが、この度、メインユニットの画面大型化によって一段落つきそうなので、公開させていただくことにしました。
全容としては、機能的に古くなったクラリオンのナビ→最新のフローティングタイプへの入れ替えを中心に、従来からお使いのDSPへのデジタルソース入力のためのインターフェースの追加や、後席のご子息用のフリップダウンモニタ+DVDプレイヤー搭載に加えて、ハイエンドオーディオに必須の電源面の強化などなど。といったところです。
以下、コンポーネント紹介です。
◯ヘッドユニット
アルパインの
DAF11Zです。
大画面ナビ市場の開拓者である「BIG-X」のディスプレイオーディオ版ブランドの「BIG DA(ディス・プレイオーディオの略)」の製品で、11インチと9インチのラインアップのうち、大きい方の11インチ方をお選びいただきました。
音声は、内蔵4chアンプによってフロント/リヤにフルレンジ出力されますが、オーナー様のご指定により、DSPへの入力はリヤ出力によって行い、フロント出力のほうは、純正ツイーターグリル内に新規設置した小径スピーカーにつなぐ接続にしています。
通常の運用では、ヘッドユニットのフェーダー調整により、原則的にリヤ100%の配分とし、フロントの方からは音を出しません。(理由は本文内にて)
◯DSPアンプ
audison Prima AP 8.9bit(税込11万円)です。
2014年に市場投入され、DSPアンプの低価格化と市場拡大の立役者となった製品です。
当店でも、前述のBMWブライトオーディオパッケージやGT-Rスーパーサウンドアッププログラムなどのパッケージメニューのデフォルト機として採用する他、多くのお客様にオススメしてきました。
2020年には、ハイパワー&ハイレゾ対応版の
AP F8.9bit(税込154,000円)が上市され、しばらく併売という形を取ってきましたが、audisonのアンプ/DSPアンプ製品全体のフルリニューアルに伴い、現在(2023年11月)では流通在庫のみの対応となりました。
DSPへの入力は、ヘッドユニット部の説明で触れましたように、ヘッドユニットのリヤ出力によって行い、出力はフロント2way(ツイーター・ウーファー)と、プリアウトを通じてサブウーファーに対して行います。
DSP関連機器として、コントローラーのDRC-ABも追加しました。これは後述のデジタルソースの追加に伴い、ソース選択のために必要となるためです。(デジタルソース選択時のボリューム調整のためにも必要になります)
◯デジタル入力インターフェース
オーディオテクニカの
AT-HRD5(税込77,000円)を投入しました。
これはDSPにデジタルソースを入力するために必要な機器で、今回の(音質面での)メインソースとなるHiByのDAPと、普段遣いのiPhoneのソースをハンドリングするために使います。
本機に対して、HiByのソースは同軸デジタルケーブルで入力し、iPhoneの方は、本機に接続したハイエンドブルートゥースレシーバーであるaudion
B-CON2を介してワイヤレスで入力します。
本機とDSPアンプとの間は、光デジタルでの接続となります。
◯スピーカー・サブウーファー
フロント2wayとリヤは、スバル純正オプションのDIATONE G500がついています。
これは前回の施工時にスピーカーバッフルの作り直しと、ドア防振が済んでいますので、今回の施工ではタッチしていません。
サブウーファーはちょっと変わっていて、CerwinVegaのパワードサブウーファーと、アリアンテのボックスタイプサブウーファー(いずれも終売品)の選択式になっています。
ラゲッジスペースに大きな積載物がなく、サブウーファーボックスをドン!と置けるときにはアリアンテのほうを使い、大荷物を積むときには、スリムなパワードサブウーファーを使うという発想で、両社はトグルスイッチで切り替えられるように工作しました。
◯電源周り
オーディオテクニカの
AT-RX100(税込96,800円)/
AT-RX60(税込49,500円)を使いました。
前者はいわゆる安定化電源です。
車両から送られてくる電気の電圧は常に変動しており、各種ノイズも乗っています。安定化電源は、これを設定値でピタッと安定させ、かつ、フィルター機構によってノイズを大きく減らすことにより、オーディオ機器の安定稼働の条件を整えてくれる機器です。
バッテリーから本機に電源を接続し、デジタルインターフェース・パワードサブウーファー・アンプ等の機器に供給し、安定稼働をサポートします。
後者はキャパシターです。
バッテリーとDSPとの間に並列で接続し、バッテリーからの電圧の変動をマイルドにするバッファとしての仕事をします。
電圧の安定という観点からみると、
AT-RX100から供給しても良さそうなのですが、ACCオフと同時に電源供給が絶たれてしまうと、DSPアンプの終了処理が正常に行えなくなって都合が悪いので、常時接続となるキャパシタを選択しています。
◯追加モニタ&DVDプレイヤー
スバル純正オプションのフリップダウンモニタを後付けしました。
こちらのオプションカタログの18ページに収載されている製品で、商品名は「リヤエンターテイメント(10.1型ワイドVGA+LED)」で、定価は税込99,000円です。
そして、このモニタに映像をとどけるDVDプレイヤーとして、carrozzeriaの1DINオーディオデッキ
DVH-570(税込み23,100円)を搭載しました。
このプレイヤーからの映像出力は、分配器を介して、フリップダウンモニタ or フロントのヘッドユニットに選択的に入力できるようになっています。
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以上をもって、レヴォーグのフルオーディオ&エンタメ強化バージョンアップが完了しました。
機器は新旧混在しておりますが、一度に施工した場合はだいたい150万円くらいの予算になるシステムです。
施工の様子をどうぞ御覧ください♪♪
ディスプレイオーディオ




交換後のディスプレイオーディオです。
ALPINEの
DAF11Zで、コンソールに儲けられている2DIN分の枠のうち、1DIN分をつかって、本体部分が格納されています。
交換前も、9インチと大きめなモニタの製品をお使いでしたが、フローティング11インチともなると世界が変わりますね!
モニタの位置調整は、前後方向の首振りと、上下方向のスライドが可能です。写真だとちょっと下向きっぽく見えるかもですが、ドライバー目線ではこのあたりがベスポジです。
インストールに要した関連部材はこんなところです。
・KCE-GPH16(アルパイン製汎用電源コード)
・ALPINE KCE250IV(AUX入力ケーブル)
・ALPINE KWX-G003(ダイレクトーRCA カメラ変換ケーブル)
・KTX-G601R(ステアリングリモートコントロールキット)
・66065VA310(純正オーディオパネル ピアノブラック)
・7インチ枠用アダプター(当店製作)
DVDプレーヤー(1DINメインユニット)




残り1DIN分のスペースにDVD再生機構をもつメインユニットを搭載しました。
製品としては、いわゆる1DINオーディオデッキとして販売されているものですが、今回はDVDプレイヤーの位置づけで搭載し、映像を後出のリヤモニター or DAF11Zに出力するように接続しています。
もし、DVD/CDといった回転系メディアが再生可能なディスプレイオーディオがあれば、一台で済んでいたはずですが、昨今のメディア再生はUSB・ストリーミングといった「非回転系」に軸足を移してつつあるため、ナビ製品に比べて価格の安さが求められるディスプレイオーディオ系の製品には、コスト削減の理由も加わって、回転メカが搭載されない状態になっています。
アルパインの製品には、「ダブルゾーンエンターテインメント」という、前席と後席で音と映像を分けて再生する機能があります。今回はそれと同じような機能をアナログ的な構成で実現しています。