メルセデスベンツSクラスS500 4MATIC(W223)のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.709(お問い合わせの際にお伝えください)
model
メルセデスベンツ Sクラス S500 4MATIC(W223)
system
メインユニット:Burmester3Dサラウンドサウンドシステム
デッドニング:フロント、リア
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO AX165/MX080
センター:BLUE MOON AUDIO MX080
リアスピーカー:BLUE MOON AUDIO MX080/CX100
サブウーファー:なし
プロセッサーアンプ:HELIX V-TWELVE DSP
ケーブル:audiotechnica、SAECcomment
フロント3way・センター・リヤ・リヤトレイの全11個のスピーカーを交換し、14ch対応のDSPで制御するシステムです。
純正ケーブルを極力活用して総額85万円とリーズナブルにまとめました。
メルセデス・ベンツS500の事例ご紹介です。
Sクラスはメルセデス・ベンツ最高位のモデルとして1972年に産声を上げました。
21世紀に入ってすぐの2002年。よりラグジュアリー性を高めたモデルへの需要に応えるべくマイバッハが登場したことで、フラッグシップの座を明け渡すこととなりましたが、あくまでもSクラスをベース車とした派生モデルであることを鑑みると、依然としてラグジュアリーセダンの根幹をなすブランドであることは、異論のないところでしょう。
Sクラスは1972年の発売以来、6回のフルモデルチェンジを経験しており、現行は7代目(2020年〜)のW223型です。
近年のメルセデス車全般に見られる曲線を多用したボディをまとい、ダッシュボードには12.8インチ!というぶっちぎりサイズの有機ELディスプレイを備えています。
車両価格が1,338万円〜だそうですが、すごいのがオプションの値段です。レザーエクスクルーシブパッケージは66万円/3Dコックピットディスプレイは13万円/ARヘッドアップディスプレイは41万円/リヤコンフォートパッケージは、135万円・・・とオプションだけでもう一台クルマが買えてしまいそうな王者ぶり。頭がくらくらしてしまいます。
現在のSクラスには、大きくワケてS400/S500/S580の3グレードがラインアップされていますが、今回はS500の4MATICをご紹介いたします。
Sクラスのオーディオシステムの構成は、400dと500の標準オーディオが9スピーカーで、それ以外は15スピーカーを操るBurmester(ブルメスター)ハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムが搭載されています。(車種限定でスピーカー数31個の4Dサラウンドサウンドシステムというのもあります。。。)
今回のS500は15スピーカーの3Dサラウンド搭載車で、さすがハイエンド純正オーディオらしく、どこにいても偏りのない、スイートスポットの広い音に身を委ねることができますが、もう少しリアリティのある音を志向される方には、BOSE然り、物足りなく感じられてしまう傾向があるようです。ただ、これは量産車として掲げざるをえない開発要件のあり方と、それなりに没入したい個人の嗜好の行き違いでしかありませんので、永遠に埋まらない溝ですね。
今回のオーナー様もその一人、ではありますが、抜本的に音の性質を作り替える!というのではなく、表現力の向上に力点をおいた、全体的なレベルアップをご希望とのことでご相談いただきました。
最初から4スピーカー、6スピーカーといったシンプルな構成のクルマであれば、いっそスピーカー数を絞ってシンプルに定位させるような方法も選択肢に挙がるのですが、もとが15スピーカーのゴージャスシステムですから、そうもいきません。
音場の形成への寄与度の低い一部のスピーカーを除いて、パフォーマンスの良い社外品に交換し、多チャンネルDSPで駆動するプランを提案し、ご用命頂きました。
○ヘッドユニットとDSPアンプ
ヘッドユニットという概念を死後の世界に葬り去ってしまいそうな、近未来なルックスですが、一応COMMANDシステムで制御されているようです。
そのうち、オーディオシステム部分は上述のとおり、Burmesterハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムが司っています。ブルートゥース接続などのインターフェースはシステム側で担い、物理的なコンポーネントとしては、左リヤフェンダー部分にセパレート式のアンプがあります。
ここから、全15スピーカーに向けてスピーカーケーブルが伸びて(一部分岐しているため、根本で15chあるわけじゃありません)いるわけですが、このうち、フロントのツイーター・ミッド・ウーファー・センター、リアのツイーター・ウーファーの合計11chをDSPアンプに入力しました。
それぞれの入力信号と、合成される出力信号との関係は、システム図でご確認ください。
使用したDSPアンプはヘリックスのV-TWELVE DSP(税込264,000円)です。
これは今回のように、沢山のスピーカーがついているクルマをターゲットとして開発された商品です。入力はスピーカー出力で12ch(RCA出力で6ch)に対応し、プロセシングできるチャンネル数は、内蔵アンプの12ch+RCAプリアウトの2ch=14chまで対応できるようになっています。
今回は、前述の通り入力側で11ch使い、出力側は11個のスピーカー(コアキシャルスピーカー2個含む)を鳴らす接続になっています。
○スピーカー群
すべてBLUE MOON AUDIOで統一しました。
フロント3wayのうち、高域のツイーターと低域のウーファーは、2wayモデルのAX165(税込93,500円)、中音域のスコーカーは8cm口径のMX080(税込33,000円)で構成し、センタースピーカーとしてもMX080を使いました。
リヤ側については、ドアの純正2wayをコアキシャルスピーカーCX100(税込40,700円)にまとめ、リヤトレイ上のサテライトスピーカーをMX080に置き換えました。
上記以外の純正スピーカーとして「フロントサテライトスピーカー2個(ルームミラー付近)」というのだけが残っているのですが、これは音場への寄与度が低そうだし、DSPのリソースも上限いっぱいだし、という理由でDSPの管理下には含めませんでした。
スピーカーのフィッティングについては、当然ながらポン付けできるようなところは一つもなく、全てにおいて異型バッフルをカスタム製作して、きっちりと取り付けました。(これはだいぶ手がかかります(ΦωΦ))
スピーカーケーブルは、コストを抑えるために極力、純正ケーブルを活かしましたが、DSPへの入出力のために30mほど追加することとなりました。
以上を持って、DSP活用による11ch入力→11スピーカー駆動という、多チャンネルラグジュアリーカーの典型的なシステムが組み上がりました。
予算的には、26万のDSPを筆頭に、11個のスピーカー、30mの追加スピーカーケーブル、全てのフィッティング作業と合わせて、税込約85万円ほどと、だいぶコスパ良くまとめることができました。
それでは加工の様子をごらんください♪
【注記】
今回は作業箇所が多かったこともあり、写真・画像点数が37点と多いです。
よって、以下にインデックスを付けますのでご活用ください。
(1)フロントドア系
(2)センタースピーカー系
(3)エマージェンシースピーカー
(4)キックパネル系
(5)リアドア系
(6)リアトレイ系
(7)DSP系
(8)全スピーカーのカスタムバッフル一覧
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(1)-1/8_フロントドア外観
どれではドアチェックからです。
芸能人のお宅訪問ってこんな感じでしょうか。
ホワイト系レザーがライティングに彩られてめちゃめちゃファンシー!荒川区の凡人には評価不能の世界です。
とは言っても、メカニカルな部分については、辛うじてコメントできますので、気を取り直してトライしてみます。
刮目したのは、画期的なシートアジャスターです。
シートの形状を模したスイッチが取り付けられているのは、はるか昔からのメルセデスオリジナル様式ですが、今回のスイッチは押しても部品はスライドせず、感圧式とでもいうのでしょうか、指の圧迫を感じ取って、パワーシートのモーターに指示を伝える仕組みになっています。なんともかっこよいですが、修理代に100万円とか請求されないことを祈ります。
ドアのスピーカーレイアウトは、中程に見えるスコーカー(ドアスピーカー)と、ミラー裏のツイーターの2つです。
低音域のウーファーは、運転席と助手席のキックパネル(つま先の壁)に埋め込まれています。
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(1)-2/8_ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
最近主流の樹脂パネルを使った構造で、金属のドアフレームに、たくさんの部品がアッセンブリーされた樹脂パネルが取り付けられています。
スピーカーも、樹脂パネル上に取り付けられていますが、パネルにスピーカーホールが設けられている訳ではなく、スピーカーバスケットから生えている3本のステーによって、パネルの上に「立っている」ような状態です。
要は、スピーカーが宙に浮いた状態ですね。そしてスピーカーの前面(スポンジのところ)が、ドアトリムの裏側に接することによって、この樹脂パネルとドアトリムとの空間がスピーカーボックスの役目を果たすようになります。
よって、さらに樹脂パネルを外して、アウターパネル側に手をかけるようなことはせず、この樹脂パネルと、ドアトリム裏を防振して、スピーカーボックスとして機能させるようにします。
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(1)-3/8_樹脂パネル防振
樹脂パネル側の作業が終わったところです。
前述の3本足スピーカーはフルームーンオーディオのMX080に替わっています。純正ブラケットから純正スピーカーを取り外し、MDFで制作したバッフルを介してMX080を取り付けています。(全スピーカーの加工後の様子は(8)に並べています)
防振は全面貼りのデッドニンググレードで加工しています。
この防振はスピーカーボックスを構築を第一の目的として実施していますが、これだけの防振材の壁が加わることで、もともと高かった静寂性がさらに高まります。(ドアトリム裏にも実施しますのでダブルです)
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(1)-4/8_ドアトリム(加工前)
純正の状態のドアトリムの裏側です。
前出の樹脂パネルと対になってスピーカーボックスを形成する、もう片側の壁にあたります。
静寂性の演出にはだいぶ気を使ってあるようで、もこもこの吸音材が全体を覆われています。この後、ドアトリム裏に防振加工を行う関係で取り外しますが、その効果は引き続き確保したいので、再度取り付け直します。
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(1)-5/8_ドアトリム(加工後)
防振加工後のトリム裏の様子です。
吸音材を外して裏面を露出させ、共振しやすい平面部分を中心に、防振材を配置します。
欧州車というか、メルセデスは、リサイクルっぽい風情の素材を随所に使ってますね。
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(1)-6/8_純正ツイーター(加工前)
ドア内部が終わったので、次はツイーターです。
写真は加工前の純正ツイーターです。ミラー裏に取り付けられているツイーターグリルを抜き取ると、ツイーターユニットごと取れてきます。
このユニットをAX165に付属のツイーターに交換します。
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(1)-7/8_純正ツイーターカバー比較
ツイーター差し替えに伴って、純正部品を別途調達することになったので並べて撮りました。
左側が車両にもともとついていたブルメスター用のツイーターカバーです。
右側は、9スピーカーの標準オーディオ用のカバーです。(税込2,387円/個)
ブルメスター用は全面が金属製のメッシュで、標準の方は樹脂製です。真正面から見ると、ユニットがハマる穴が目に付きますが、これはユニットがついてないからそう見えるだけで、着地はほとんど違いがわかりません。
なぜ標準カバーを調達することになったか。ですが。
今回のインストール作業全般において、基本的に純正に戻すことを条件として進めているのですが、このツイーターカバーの加工については、全く戻せなくはないものの、加工の手間(=戻しの手間)が結構掛かる事がわかりました。であるならば純正の方は温存して、加工用に別途一組調達することにしよう。という事になったのです。
一時は全く同じブルメスター用で考えましたが、標準がカバーのみであるのに対して、ブルメはツイーターもついてきてしまうので、値段も上がるし無駄にもなるしということで、標準のほうにしました。
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(1)-8/8_純正ツイーター(交換後)
作業後の様子です。
標準オーディオ用ツイーターカバーにユニットを取り付けて、所定の位置にはめ込みました。
純正部品ですから、当然ながら違和感はないですね。
純正戻しの際はパカッとはめかえるだけで完了です。
配線関係も、純正のカプラーは切り落とさずにスプライスで割り込ませているだけなので、純正配線にほとんど負荷を与えずに離脱させることができます。
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(2)-1/3_センタースピーカー(加工前)
次はダッシュボード上面に移動して、センタースピーカーです。
ダッシュボード中央を覆っている大きなスピーカーカバーを取り外すと、、ちんまりとしたセンタースピーカーが収まっていました。
ちんまりといって10センチクラスなので、センターの大きさとしては一般的です。カバーがデカすぎですよね。
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(2)-2/3_純正センタースピーカーユニット
純正スピーカーの裏を見ています。
配線が2系統入力されているのがおわかりになると思います。
このスピーカーはダブルボイスコイル構造になっているので、接点が2つあるのです。ダブルボイスコイル方式とは、2系統あるコイルを直列につないだり(普通)、並列につないだり(音量重視)、同ソースを2つに別々に入れたり(キレ重視)と、基本的に同一のソースを前提として、目的に応じた特性を得るために考えられた仕組みですが、ここでは、違うソースを再生する目的で使われています。
1つは、全15スピーカーからなるオーディオシステムの一部として、楽曲を再生するためです。これは皆さんの予測通りだと思います。そしてもう一つは、エマージェンシー通信時にオペレータの声を再生するために用いられます。
今回はオーディオ用のシングルボイスコイルのMX080に交換しますので、今後は楽曲再生専用となります。
そのため、エマージェンシー用の入力は別のところに移設して、機能を維持できるようにしたいと思います。→結果は(3)でご説明します。
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(2)-3/3_センタースピーカー(交換後)
差し替え後の状態です。
ドアスピーカーでも登場した、MX080をカスタム制作したバッフルに収め、同位置に取り付けました。
純正よりもひと回り小さくなりますが、素材も性能も違いますので、よりメリハリのある音を出してくれます。
インストール面においても、背面のマグネットが小型強力のネオジムですので、奥行が控えめで取り付け性が良好です。
(取り付け性という新語には未だにしっくりきてません。流されている自覚はあります。)
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(3)-1/1_エマージェンシー用スピーカー
センタースピーカーの交換に伴う、エマージェンシー用スピーカー機能の代替手段です。
運転席のキックパネルには、センタースピーカーと同径のスピーカーが付いていて、各種アラーム音を鳴らすための専用スピーカーとして機能しています。
大きさが同じですので、ここにセンターに付いていたダブルボイスコイルスピーカーを移設して、片方のコイルにアラーム音の入力を、もう片方のコイルにエマージェンシーコールの出力を、それぞれ繋ぎ込んでやろうというアイデアです。
写真の右がキックパネルにトレードインした旧センタースピーカーで、左が退役したアラーム用スピーカーです。
幸い、スピーカーへの接続用カプラが同じ規格でしたので、両入力ともスンナリ接続することができました。
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(4)-1/5_運転席足元(加工前)
次にフロントスピーカー群で最低域のウーファーの設置に移ります。
場所はキックパネルと言って、つま先の奥にある壁です。
奥に見えるのが純正のウーファーユニットです。手前に見えるのがブレーキペダルですので、位置関係がよくおわかりいただけると思います。
純正ユニットは樹脂製のブラケットに収められて、キックパネルに埋め込むように取り付けられています。
今回は、このブラケットを流用して、中身をそっくり入れ替える形で差し替えを行います。
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(4)-2/5_運転席足元(加工前)
ウーファーユニットを外したところです。
3本のネジで留まっていました。
奥に見えるのは不織布に覆われた吸音材です。スピーカーの背面に十分な奥行きが取れない場合などによく適用される手法で、綿のような細い繊維を詰めることで、スピーカーの背圧の直接的な跳ねっ返りを抑え、奥行きがあるエンクロージャーのような特性を演出することができます。
今回はスピーカーを入れ替えるものの、この背面の仕掛けには引き続き機能してもらいたいので、このままにします。
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(4)-3/5_運転席足元(加工後)
AX165のウーファーへ差し替え後の状態です。
2カット前の(4)-1/5の状態から取り外した純正ウーファーユニットを分解し、ブラケットだけの状態にした後、ブラケットの内側にMDFで作ったバッフルを挿入し、AX165のウーファーユニットを固定しています。
正面のスピーカーグリルはAX165の付属品です。パンチングのメッシュグリルで特に色気はありませんが、小クズが飛び込みやすい足元という条件を考えると、釣り合いが良いように思えます。 -
(4)-4/5_助手席足元(加工前)
運転席側についで、助手席側の状況です。
カーペットをめくり、白い樹脂製のフロアパネルを取り外すと、写真の状態になります。
このフロアパネルは、向かって右側の電源部品を保護し、助手席搭乗者の足の位置(深さ)を、運転席側のペダル類と同等にすることを目的とした、「防護板兼スペーサー」のような役割をもたせてあるようです。
ウーファーユニットの位置は運転席のそれと同等です。こちらもAX165のウーファーに交換します。
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(4)-5/5_助手席足元(加工後)
助手席側ウーファーの入れ替え後の様子です。
運転席と全く同じ工程を踏んで、AX165のウーファーに交換します。
前述の通り、樹脂製のフロアパネルをかぶせてしまう点において、運転席側と再生条件が異なってしまいます。
しかしながら、全スピーカーごとの再生条件の差異をひとまとめにして制御できるのが、DSPの最大のメリットですので、いくらか気が楽です。
※部分的にテキトーでもなんとかまとまる♪という意味ではなく、各ユニットの取り付けをしっかりすることと、ユニット前の障害物をできるだけ避けるように配慮することは、DSPによる音場調整を有効に機能させるための大前提です。(`・ω・´)ゞ -
(5)-1/5_リアドア
次にリアドアの作業に移ります。まずは外観から。
シート調整ボタン以外はフロントと同様ですね。
スピーカーのレイアウトは、右側の一つだけのように見えますが、リヤの場合は、スピーカーグリル内にツイーターとウーファーが収まる2way構成になっています。
今回はそれぞれを入れ替えるのではなく、ツイーターはキャンセルして、スコーカーのところに10センチ径のコアキシャルスピーカーを入れることで、ツイーターの帯域までカバーする作戦でいきます。
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(5)-2/5_ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
リアスピーカーもフロントと同様で、3本足のブラケットで空中に立っています。
写真の樹脂パネルと、ドアトリムの裏を防振することで、スピーカーボックスを形成していきます。
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(5)-3/5_樹脂パネル防振
樹脂パネル側が終わったところです。
見た感じはフロントと同じですが、スピーカーが違いますね。リアスピーカーは、2wayセパレートから同軸タイプに変更しています。
フロントで使ったMX080が8センチ径で、こちらのCX100は10センチ径です。
スピーカーの奥行きも異なりますので、樹脂パネルの干渉部分を少し削っています。
このコアキシャルスピーカーは、ウーファーと中央のツイーターとで別の信号を入力できる仕様になっていますが、今回は1本(1組)のスピーカーケーブルで鳴らすので、インラインネットワークを独自に制作して、組み込みました。
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(6)-3/3_リアサテライト(加工後)
トレードイン完了です。
こちらにもMX080を使いました。
固定は、純正スピーカーブラケットと同様、リアトレイにダボを差し込む方法を採っています。純正と同じ機構をMDFバッフルで再現していますので、表面にネジなどの固定具は見えません。(構造は後出のスピーカー一覧でご確認ください) -
(7)-1/2_純正アンプ
次はDSPアンプ関係です。まず純正アンプから。
純正アンプはトランクの左サイドに設置されています。写真だと見えにくいと思いますが、放熱フィンの右側に「Burmester」の刻印があります。
右側に見えている青いカプラーを介して、ヘッドユニットからの音声信号の入力と、スピーカーへの出力が行われています。
HELIXのV-TWELVE DSPを取り付けるにあたって、DSPに入力するための信号をカプラー付近から取り出します。
DSPからスピーカーへ向かう出力については、冒頭でも触れましたように純正スピーカーケーブルを使いますので、DSPから伸ばしてきたスピーカーケーブルを、写真のカプラーから出ているスピーカーケーブルに繋ぎこむ方法を採っています。
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(7)-2/2_トランク地下一階
DSPアンプの設置状況です。
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トランクのフロアをめくるとバッテリーが設置されているスペースがあります。写真中央の黒いハコがバッテリーですね。結構大きいです。
ご覧のように、この手前にDSPアンプを設置しています。
スピーカーケーブルは純正を活用する前提ですが、前述のように純正アンプ付近へのつなぎ込み需要が大量に発生するため、追加のケーブルを30メートル使っています。この写真を見ればご納得いただけるんじゃないでしょうか。
皆様お察しの通り、ここには、カーペット生地のカバーで覆うようになっていますが、DSPアンプが干渉するので、切除する必要がありました。しかしながら、切り落としや穴あけ加工は避けたいとのご意向でしたので、カバーへの加工なナシ。写真の状態での納車となりました。 -
(8)-1/6_ツイーター取付加工
部品で用意したツイーターカバーにAX165のツイーターを組み込んだところです。
このパネルは、メッシュ状に成形された表側と、ツイーターキャリアの2ピース構造になっています。
キャリアの方に空いている穴は、AX165の大きなツイーターのサイズにまで拡大し、エポキシ接着剤を使ってユニットを固定しています。
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(8)-2/6_フロントスコーカー
ドアの中央についているスピーカーです。
純正の脚と純正スピーカーを分離して、スピーカーのサイズのバッフルを製作してMX080を接着しました。
バッフルも脚と接着して固定しています。
純正スピーカーは、ロック式で固定されているので、接着剤を奇麗に剥がせば純正に戻すことができます。
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(8)-3/6_純正フロントウーファー(加工前)
キックパネルに付いている「純正」のウーファーユニットです。
3点のネジ穴があるブラケットと、スピーカーユニットと、穴あきのカバーとのスリーピースで構成されていて、接着剤で結合されています。
ユニット径はおおよそ16センチで、左右に同じ部品が取り付けられています。
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(8)-4/6_フロントウーファー(加工後)
スピーカー差し替え後の状態です。
AX165にかぶせてあるパンチンググリルの周囲に、つや消し黒の部分があるのがわかるでしょうか?これはMDFで作ったバッフルです。
樹脂製のブラケットにバッフルをネジ止めして、AX165がちょうど収まる素地を整え、次にバッフルに対してAX165をネジ止めして出来上がりです。
右側からおめでたい感じで出ているのはスピーカーケーブルです。
皆様ご存知のとおり、接続端子は背面にあるのですが、キックパネル裏では配線できないので、バッフルに切り欠きを入れて表側に引き出しています。 -
(8)-5/6_センター・リアサテライト
ダッシュボード中央のセンタースピーカーと、リアトレイのサテライトスピーカーとして共通で使うスピーカーです。
MX080をオリジナルスピーカーベースを製作して接着しています。
車両への固定方法は、3点支持のピンによる圧着ですので、ダボ(木製の軸)でピンを製作しています。
車両側の受け止めはゴムブッシュ式になっていますので、ギュッと押し込んで固定完了です。
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(8)-6/6_リアドアスピーカー
リアドアにつけたコアキシャルスピーカーです。
3本足方式はフロントと同じですが、足の形状は微妙に異なっています。
フロント用のそれと同様に、各パーツをばらして、MDFバッフルを挿入し、CX100を取り付けています。
使うユニットは、収まりだけを考えればMX080でもよかったのですが、MX080はリアトレイに配置しますので、口径が大きい分、低域が出せるCX100の方が有利だと判断しました。 -
作業後記
今回はメルセデス・ベンツS500 4MATICのサウンドアップ事例を御覧いただきました。
カーオーディオの音質向上において、最も優先順位が高いのはサウンドアッププログラムとしてご紹介しているようなスピーカー交換+ドア防振ですが、当コーナーに登場する機会の多い、小型〜中型車、そしてスポーツ系のクルマのスピーカーだと、最小セットでフロント2way、仕様によっては3way、そしてリアのフルレンジが交換対象になります。
数にして4つから6つくらい。MAX8つくらいでしょうか。(パワードサブウーファー除く)
市場全体においても、やっぱりこのグループがボリュームゾーンになりますので、複数のスピーカーを制御するためのDSPも、8ch+パワードサブウーファー用プリアウト1chを扱える9chを上限とした仕様の商品が豊富です。
中心があれば、その上もあるわけで、豪華なオーディオシステムを搭載しているラグジュアリー系のカテゴリにおけるサウンドアップは、交換するスピーカー数がたくさんになりますし、それらを制御するためのDSPも、より多くのチャンネルが扱えるタイプが発売されています。
今回のS500は、その典型的な事例と言え、全15スピーカーのうち、主要な11個を交換し、最大14chまで扱えるDSPで制御しています。
このように沢山のスピーカーを交換する場合、その取り付け方法がある程度標準化されている、フロントドアのスピーカーとツイーター以外の大小さまざまなユニットを交換することになりますが、アッセンブリー形式の純正スピーカーユニットにカスタムバッフルを組み込んで、スピーカーだけ入れ替えたり、ブラケットの形状をそっくりコピーしてバッフルを作るなど、純正スピーカーの取り付け方法をきれいに踏襲して施工することになります。
純正と全く同じサイズの社外スピーカーがあればそう難しくないでしょうけれども、実際には径が多少違うのでバッフル制作の調整が必要ですし、パフォーマンスのよいスピーカーは総じてマグネットが強い分、奥行きが深いので、クリアランスを見極めて工法を検討・調整する必要が出てくるので、そこそこの図画工作パワーが必要になります。
こういった現物合わせが多くなる仕事は、どうしても作業効率が低下しますので、十分な利益を確保しにくいのが正直なところですが、幸か不幸か、当店は手のかかる仕事ほど燃えてしまう傾向があるので、そこそこの作業品質を維持できてると思います。(手前味噌ですいません)
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以下にスピーカー多めの制作例を複数挙げさせていただきますので、参考までにご覧になって下さい。
○全12個中11個交換・純正アンプ駆動
BMW 760Li
○全12個交換・DSP駆動
ジャガー Fタイプ R RWD COUPE
○全16個中フロント側8個交換・DSPアンプ駆動
BMW X7
○全14個中13個交換・純正アンプ駆動
プラド
○全12個中フロント側6個交換・DSPアンプ駆動
パナメーラGTS
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仕事のボリュームが大きい分、フルにやると総額が大きくなりますが、オーナー様のご希望とご予算に応じて柔軟にプランさせていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせください♪♪
直接のお電話もお気軽に♪03-5913-8450です!