ポルシェ911930ターボのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.844(お問い合わせの際にお伝えください)
model
ポルシェ 911 930ターボ
system
メインユニット:Nakamichi CD-700
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO CX165
リアスピーカー:BLUE MOON AUDIO CX130
サブウーファー:carrozzeria TS-WX010A
パワーアンプ:carrozzeria GM-D1400II
ケーブル:SAECcomment
アンプレス1DINのソースを外部アンプに入力し、前後4スピーカーとパワードサブウーファーを鳴らすシステムです。
ハイエンドBluetoothレシーバーも搭載し、手軽に高音質を楽しめます。
ポルシェ911(タイプ930)の事例紹介です。
911は1964年から生産されている、ポルシェの看板モデルです。
モデル名は数字3文字の「911」で固定されていますが、世代に与えられる識別子もまた数字3文字で表されるため、門外漢には難解です。
初期型は901型といい、時期によって、Oシリーズ、Aシリーズといった12世代のコードが与えられながら、1977年まで生産されました。
1978年には2代目となる930型に改められ、3代目が964型(1989年-)、4代目が993型(1993年-)、5代目996型(1997年-)、6代目997型(2004年-)、7代目991型(2011年-)と続き、現行型が2018年からの992型となります。
911は長きにわたってカエル目のライトにグラマラスな流線型ボディをまとっており、駆動型式は一貫してRR(リヤエンジン・リヤドライブ(四駆もあり))です。
大昔のコピーで、「最新のポルシェが最良のポルシェ」というのがあったと聞いてますが、コアなファンの方にとってはそうでもないようで、3代目(993型)までの空冷エンジンモデルを特別視なさる傾向があるようです。
最近は少し落ち着いたようですが、コロナ後の投機的な資金流入も手伝って、964の中古が1000万円台あたりまえで、カレラRSやスピードスター等、物によっては2000万、3000万という流通価格も示現したようです。。。
今回ご紹介するのは、2代目にあたる930のターボモデルです。
古くからお付き合いいただいているお客様のお車なのですが、結構な車好きのお客様で、そこそこの頻度で乗り換えたり増車したりなさるため、その都度オーディオのリフレッシュ/グレードアップ施工をご依頼いただいています。
そんなお客様から「930を衝動買いしたので(今回も)よろしく!」と持ち込まれてきたのが今回の930です。
ターボモデルは1975年から販売されてますので、最長でそろそろ50年を迎えようというクラシックカーですが、年式の割には程度のよい個体で、純正ホイールを含めてオリジナル状態がキープされており、衝動買いの理由がわかるような気がしました。
しかしながら、フロントの純正スピーカーのコンディションはよくありません。また、見えるところで唯一の変更点であるリヤスピーカーは、性能のよいリヤトレイ置き型である分、存在感が強すぎで、ちょっと見直したいところです。
施工プランについては、「できるだけキープオリジナルの前提で、原則おまかせ」のお客様なので、できれば使ってほしいと、お手元のコレクションからお預かりしたオーディオデッキとブルートゥースレシーバーを使って、以下のプランを考えました。
・1DIN CDプレーヤーを不調の社外品からナカミチ製に交換(アンプレスモデルなので別途アンプが必要)
・ブルートゥースレシーバーを搭載し、↑1DINデッキのAUXに入力
・フロントスピーカーは16センチコアキシャルに入れ替え(見た目が変わるセパレートツイーター形式にはしない)
・リヤスピーカーは13センチコアキシャルに交換(リヤトレイにフラットに取付。純正に近い仕様)
・小型パワードサブウーファーを投入
・小型4chアンプを投入
インストールに当たっては、外観に変更が及ばないように、アンプ、BTレシーバー、サブウーファーの全てを助手席下に集約するように工夫しました。
以下がコンポーネント紹介です。
〇オーディオデッキ
ナカミチの高級CDレシーバーCD-700です。発売は1999年で、当時の価格は170,000円(税別)でした。
今ならナビが買えてしまう価格ですが、CD1枚の再生に命を懸けた!往年の名機です。
44.1kHz-16bitに対応するチップに代表される高品位のパーツや、ディスクの安定した回転のための機構が盛り込まれ、パイオニア、DENON、アルパイン等とシノギを削ったハイエンド機です。
今回のCD-700の後、2000年にCD-700Millennium(税別210,000円)、2004年にCD-700II(税別210,000円)という改良版も出ています。
このデッキは当時のハイエンド・フラッグシップ機の様式にならって、ノイズや歪みの原因となりうるアンプを内蔵していません。
よって、別に4chアンプを用意して鳴らすことにしました。
〇ブルートゥースレシーバー
素晴らしいデッキの性能をカジュアルに堪能できるように、BEWITHのRT-1(税込55,000円)を組み込みました。
最近はほぼすべてのナビ・オーディオデッキに実装されているので、BT単体のハイエンド製品が開発される環境にありませんが、この製品とaudisonのB-CONは独自の進化を遂げており、孤高の存在となっています。
RT-1は、優れた音の分解能と、チャンネルセパレーションをもたらす独自の内部構成に加え、32bit D/Aコンバーター、高剛性アルミニウムボディなどの採用により、従来のワイヤレスオーディオレシーバーとは一線を画す受信・再生性能を有しています。
出力が3パターンから選べるのも評価ポイントで、アナログ、光デジタル、同軸デジタルから切り替えられるようになっています。
今回のメインユニットであるCD-700はデジタルAUXが備わっているので、同軸デジタルにて入力しています。
〇アンプ
カロッツェリアの小型定番アンプ GM-D1400II(税込17,600円)です。
定格45 W(最大100W)×4 chのパワーが有りながら、181 mm(W)×38 mm(H)×64 mm(D)というコンパクトさがウリの製品です。
今回は前出のブルートゥースレシーバーと、後出のサブウーファー、そしてこのアンプと、計3つのコンポーネントを運転席の下に納める必要がありましたので、このコンパクトさが存分に発揮されました。
接続としては、デッキからの4ch(フロント・リヤ)を入れて、そのままフロント・リヤに出力していますが、パワードサブウーファー向けの出力を、フロント出力から分岐させて確保している点が通常と異なります。
※スピーカー線を分岐させて、二つのユニットを並列につないてしまうと合成抵抗値が半分になってしまいますが、今回は片方がパワード(アンプ付き)なので、フロントスピーカーの抵抗値は4Ωで変わりません。
〇パワードサブウーファー
カロッツェリアのTS-WX010A(オープン価格)を使いました。
これは、ウーファー(ドアスピーカー)とのクロスポイント以下の低音域を全体的に受け持つような従来のパワードサブウーファーとは異なり、100Hz近辺の周波数をピークとした、ウーファー寄りの低域を補強することで、アタック感・ビート感を演出するという新発想の製品です。
「BASS SOUND CREATOR」というサブタイトルがその思想を物語っています。
製品コンセプトとしては、くぼんだ形をしている助手席の足元に設置して鳴らすことで、ホーン効果による音の広がりを狙うという取付方法を第一に掲げていますが、230 mm (W) × 70 mm (H) × 116 mm (D)というコンパクトさが、タイトなスペースへの取り付けを可能にしています。
ブルートゥースレシーバーの説明でも触れましたように、7センチの高さ(薄さ)を活かして、シート下への取り付けを実現しています。
〇スピーカー
前後ともBLUE MOON AUDIOのコアキシャル(同軸)スピーカーで揃えました。
フロントがCX165(税込48,400円)、リアはCX130(税込44,000円です)
標準の外観に変更を及ぼさないようにとの考えから、フロントはセパレートではなくてコアキシャルとし、インストールについても、純正スピーカーとのトレードインで済ませてますので、純正スピーカーグリルを含むドアトリム側は標準のままです。
リヤは、前オーナーが設置した置き型スピーカーを撤去すると、大き目の穴が開いていたので、バッフルボードできれいにふさいで、13センチユニットを取り付けました。
当然ながらリヤの純正グリルは喪失してしまっているので、標準のルックスとの乖離が生じてしまいますが、CX130のグリルは非常にシンプルなデザインなので、さほど違和感は出てないと思います。
以上をもって、ポルシェ911(930)のオーディオリフレッシュ&グレードアップが完了しました。
4スピーカーともに、セパレート式ネットワーク付きの上級モデルで揃え、デッドニングによる環境整備も済ませてますので、とても上質な音が再生できていると思います。またパワードサブウーファーも、ガオガオと元気なエンジン音に抵抗して低音域を固めてくれており、これもつけてよかった♪というところですね。
予算的には、前後スピーカー、アンプ、ブルートゥースレシーバー、施工費一式で(1DINデッキを除く)税込み346,500円といったところです。
それではインストールの様子をどうぞご覧になってください♪
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オーディオデッキ・ナカミチ CD-700
それではハイエンドデッキの雄姿からスタートです。
ナカミチのCDプレイヤーCD-700です。
オーナー様の手元にあった製品をお持ち込みいただいたわけですが、前車で使っていたものではなく、新品購入後、ずっと温存していた製品なのです。
1999年発売ですから、四半世紀の仮眠から覚めたことになります!
その証拠として、液晶パネルの保護フィルムがまだくっついています。
新品ですので、CD・ラジオと動作は万全ですが、事実上のメインソースはAUX入力されるブルートゥース経由のiPhoneのソースです。
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フロントドア
フロントドアの外観です。
930型のドアはこのデザインで共通しています。
写真の標準パターンのほか、回転式のドアロックのあたりにツイーターが付いている車両と、ドアポケットがエンクロージュアになっているBOSEシステムの3パターンを経験したことがあります。
スピーカグリルは、樹脂タイプと金属メッシュの2パターンがあるようです。
欧州は古くからカスタムオーダーの文化があるので、知られざる仕様の車があるかもしれません。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを取り外したところです。
40年を超える時が流れていますので、ビニールは劣化し、随所に汚れが堆積しています。
よく見ると、ビニールシートは剥がされた跡があるので、何かしらドアのメンテナンスはされていると思います。
スピーカーについては、コーン部分に損傷は見られませんでしたが、周囲はガサガサになっていました。
音の面では、音割れがあったのでマグネットとコイル周りにサビが発生しているのかもしれません。
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アウターパネル作業
アウターパネルの作業が終わったところです。
ビニールシートを剥がし、清掃を済ませたら、アウターパネルに短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
インナーパネルにこびりついている糊の跡は、手持ちの溶剤を使ってもビクともしなかったので、これ以上はグラインダーによる研磨&塗装しか手はありません。
ちょっと悔しい気もしますが、カチカチに固着しているだけに、この上から貼り付ける防振材はしっかり安定してくれそうなので、これで良しとします。
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インナーパネル作業
インナーパネル作業が終わったところです。
なんとか素地を整えたインナーパネルの全面に防振材を貼っていきます。
現代の車のドアロックは、(自転車のブレーキのような)スリーブに包まれたワイヤーで引っ張って動作させる方式がスタンダードですが、その昔は複雑な形に折り曲げた金属の棒で引っ張る「ロッド式」しかありませんでした。
オーディオショップのセールストークとして、デッドニング後の「ロッドの動作のスムーズさ」をアピールしてたんですから、なかなか顔が真っ赤になります。でも実際、デッドニングをしたら、ドアロックがシブくなった or しばらくしたら動かなくなった。。。というトラブルはよく聞かれた時代でした。
スピーカーの取り付けにあたって、最近の車だと、鉄板のインナーパネルとスピーカーの間に、MDFで制作したバッフルボード(リング)を取り付けますが、930は真っ平なインナーパネルの上に真っ平なドアトリム(事実上の板)をかぶせる方式で、まったく隙間がないため、スピーカーは純正と同様に、インナーパネルに直付けで固定しています。
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リアスピーカー・お預かり時
リアスピーカーは、据え置きタイプが取り付けてありました。
ケンウッド製です。
よく見ると、ウーファーのエッジが割れて欠落しており、当初の性能は発揮していないようですが、これくらいのエンクロージャー容量がある製品は、結構性能が良かったりします。
最近はこういった商品ジャンルが消失してしまいましたが、ごくたまに、大型トラックのダッシュボードの奥に設置なさってる方を見かけます。きっといい音が出てるんじゃないかなと思います。
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リアトレイ・お預かり時
ケンウッドスピーカーを外したところです。
思わず、うおー。。と声が出てしまいます。リアトレイは思いのほか豪快に加工されていました。
この状態では、純正風にということもできません。
考えられる対応策は・・・、
(1)リアトレイを新品に交換
(2)生地を新たに張り替える
(3)バッフルボードで隠す
(1)は、ガチで純正状態で乗りたい方向けのプランですが、かなりのコストがかかってしまいます。
幸い、欧米ではレストア文化が定着しているので、アマチュアOEMパーツが多く流通しており、調達自体は可能です。
(2)生地を張り替えてしまえば見た目は何とかなりますが、生地の風合いを揃えるのは難しいです。
ポルシェの内装に使用されているレザーの風味に近い生地を見つけられれば良いのですが、年代相応にヤレているので、どうしても差が隠せません。
(3)最も安価で対応できる方法です。
今回はこの方法です。一般的には、この方法を選択することになると思います。
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リアスピーカー取り付け
インストール後の様子です。
バッフルを製作して13cmの2wayコアキシャルを取り付けました
バッフルに貼った合皮の生地と、オリジナルの生地を見比べると表面のツヤとシボの風味が違うのが判ると思います。
しかしながら、こうやって別パーツにしてしまうことで、その微妙な違いに注意が向かなくなる効果が期待できます。さらに、バッフルを固定するネジもヘックスボルトの黒を配置してメリハリをつけ、全体的な調和を追及してみました。
ちなみに、リアトレイに16cmもしくは16x23cm(6x9インチ)のスピーカーを付けることは難しいです。
面積的にはレイアウト可能なのですが、マグネットの奥行きと位置が合いません。
BLUE MOON AUDIOの同軸スピーカーは、マグネットがネオジムのため、コンパクトで奥行きが浅いので、バッフルの厚みによるかさ上げ効果との合わせ技でなんとか装着ができました。
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助手席シート下の機器
助手席シート下に設置した機器一式です。
スポーツカーのシート下は基本的に狭いのですが、この車の場合、タテにしたこぶし1個分くらいの空間があります。
今回はこの場所に、3つの機器(パワードサブウーファー・パワーアンプ・Bluetoothレシーバー)を設置しました。
設置方法として、フロアの直接並べる方法もアリですが、サブウーファーの低音の伸びをよくするためにしっかり固定したかったのと、後々の扱いをよくする目的で、すべてをアンプボードに固定してからシート下に設置する方法をとりました。
※シート下に滑り込ませてしまうと全く撮影ができないので、設置前に撮影しました。
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アンプボード・表
9mmのMDFボードにパンチングカーペットを貼っています。
シート下に収めた時にガタつきが出ないよう、シート固定具にかるく接触するくらいの大きさをとっています。
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アンプボード・裏
ボードの裏には Dr.Artexの吸音材を貼っています。
パワードサブウーファーが鳴った時に、フロアに板が干渉してビビり音が出ないようにするための配慮です。
この吸音材のおかげて、フロアから飛び出ているねじ頭とうまくなじみ、滑り止めに役立っています。
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作業後記
ポルシェ911(930)のオーディオ・リフレッシュ+αの事例をご覧いただきました。
1DINデッキの交換、前後スピーカー交換&ドア防振に加えて、パワードサブウーファー、ブルートゥースレシーバーも追加しました。
新しい車、流行りの車に最新の機器をインストールする仕事も時代の先端な感じがして好きですが、大事にされている歴史のある車をリフレッシュさせ、さらに付加価値を加えるような仕事も楽しいものです。
ボディーをリペアしたり、エンジンを整備したり、ブッシュやショックを取り換えてリフレッシュが図れるように、オーディオにも同じことが言えます。
むしろ、デッキからケーブル、DSPアンプ、スピーカーと、外観には大きな変更を加えずとも、純正を大きく超えるバージョンアップが計画できる分、投資価値が高いかもしれません。
当店では、多くの年代車オーナーさまからお声掛けいただき、以下のリンク先の例のように、外観に変更を加えないスピーカーインストールや、オリジナルの雰囲気に馴染むバリューアップのお手伝いを致しております。
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