マツダファミリアバンのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
マツダ・ファミリアバンの事例紹介です。
ファミリアは1963年(昭和38年)に生産開始され、マツダの看板車種として一時代を築いた車です。
ファミリアブランドに親しみを感じる方(大半が昭和生まれ)にとっては、ハッチバックの印象が強い車だと思いますが、初期型ではセダン、クーペ、ライトバン、ステーションワゴン、ピックアップトラックと、幅広いボディタイプを揃えてデビューしています。
4代目(1977-1985年)になって、丸目ハッチバックが投入され、幸せの黄色いハンカチの劇中車に登場するなどの販促策の甲斐もあって大ヒットとなりました。このヒットが後のハッチバック路線を決定づけることとなり、5代目(1980−1985年以降はハッチバックに完全に軸足を移し、セダンとの2パターンで推していくことになります。(商用向けとしてバンとワゴンもあり)
その後、バブル期を乗り越え、マツダらしいスポーツマインドを秘めたコンパクトカーとして安定した時期もありましたが、9代目(1998−2004年)を持って、ハッチバックとセダンはモデル終了となりました。
商用バンとワゴンについては、6代目まで自社生産していましたが、7代目(1994-1999年)から日産のADバンの供給をうけることになり、9代目(2007-2018年)までの3代・19年間に渡って続きました。
その後、2017年8月にトヨタと業務資本提携を締結したのをきっかけとして、10代目(2018年-に切り替わるタイミングで、最速の営業車!?として知られるプロボックスの供給を受けることになり、現在に至っています。
今回ご登場いただくのは、プロボックスベースの10代目ファミリアバンです。
建設会社さんの営業車なので、一般的にはオーディオを含むエンタメ要素は求められない車のハズですが、当店にアクセスしていただく多くのお客様と同じく、「仕事車ではあるけれどメリハリのある音を聴きたい。特に低音域をしっかり鳴らしたい!」とのお考えで、ご連絡いただきました。
この車の仕様上の前提からお話ししますと、やはり商用向けに企画されているため、スピーカーはダッシュボード両端の10センチが一対のみで、ドアにはスピーカーがありません。
10センチという小径でも、しっかりとエンクロージャーを整備してあげればそれなりに鳴るのですが、オーナーさん(社長さん!)はビートのきいたノリのいい曲が好みらしく、(より低音域を得るために)ドアにスピーカーを追加することは可能なんだろうか??と検索され、当サイトの事例を発見してご連絡に至った。というわけです。
ヘッドユニットはカロッツェリアのディスプレイオーディオ(が付いてましたので、これを継続利用するとして、スピーカー周りの改変の検討は以下のように進みました。
・スピーカーのないドアにウーファーを取り付ける→これは可能。プロショップの得意とするところ。
・社外スピーカーの選択として、一般的な2wayスピーカーセット(ツイーターとウーファー)を選ぶのが定石。コストもリーズナブルに収まる。
(ここで施工中のレクサスNXのスピーカーをご覧になる。。)
・NXのように、ダッシュ上のスピーカーは10センチのままコアキシャルに入れ替えて、ドアにウーファーをつけるのは、この車でも可能か?→コアキシャルスピーカーとウーファーを別に調達することになるので、ちょっとコストが膨らむけど可能。
・(さらに言えば、高域専用のツイーターがセットになった2wayセットに比べると、高音域の輪郭がちょっと甘くなる傾向はあるけれど、人間の可聴帯域の中心である中音域の再生を10センチに委ねられるのは大きなメリットなので、これはこれで価値のある選択だと思いますよ。。)
という流れで、10センチコアキシャル+17センチウーファーという組み合わせでいくことに決まりました。
以下、コンポーネント紹介です。
○ヘッドユニット
カロッツェリアのFH8500DVSです。御入庫時点交換済みでした。
カロッツェリアのヘッドユニットは地図データを自分で持っているナビ(サイバーナビ)と、ネット経由で引っ張ってくるディスプレイオーディオに大別されますが、当機は後者・ディスプレイオーディオの中堅機です。
2DIN枠に収まるヘッドユニットとしては、ベーシックな6.8V型のモニタを持ち、DVD・CD・USB・スマホ接続・Bluetooth・AUXアナログと一通りのメディア接続が可能です。AppleCarPlay/AndroidAutoに対応しているので、スマートフォンを有線接続することで、ナビやストリーミング配信等の通信経路を活用した各種サービスを利用できるようになっています。
当機を含むカロッツェリアの中堅-上級ヘッドユニットには、スピーカー出力モードの選択機能が組み込まれており、自在に音作りをしたい方には非常に有用な機能です。
内蔵する4chのアンプ全てをフルレンジ出力する「スタンダードモード」か、2chをハイレンジ出力、もう2chをミッドレンジ出力とし、プリアウト出力でローレンジのサブウーファーを制御する「ネットワークモード」のいずれかが選べるようになっています。
後者はいわゆる簡易型のDSP機能であり、各チャンネルごとに○出力帯域を設定できるクロスオーバー機能、○出力タイミングを調整できるタイムアライメント機能、○帯域ごとの出力レベルを調整できるイコライジング機能が備わっています。調整のきめ細かさや内部処理のサンプルレード等の点において、外付けのDSP専用機には及びませんが、コストバランスを考慮すると非常に価値があります。
今回は、このネットワークモードを使って、ダッシュ上のハイレンジ・コアキシャルスピーカーと、ドアに新設するローレンジ・ウーファーの4ユニットを個別に制御します。
○スピーカー
audisonのAPX4(税込15,400円)と、AP6.5P(税込17,600円)を使いました。
前者は10センチ口径のコアキシャルスピーカーでダッシュ用、後者は165mm口径のウーファーでドア用です。
ツイーターとウーファーがセットになった一般的な2way商品であれば、どんなブランドでも選べるのですが、10センチコアキシャルとウーファーのそれぞれを同一のブランドで揃えるとなると、BLAM(フランス)、audison(イタリア)、ETON(ドイツ)、KICKER(アメリカ)、MOREL(イスラエル)あたりに限定されます。
今回は、この選択肢の中で最も低価格で揃えられるブランドとして、audisonで揃えました。
・スピーカーインストール
ダッシュ上のハイレンジスピーカーの交換は、純正ネジで取り付けられる単純なトレードインですので難易度は算出できないくらい低いですが、ウーファーは全くなにもないところにつけることになるので、一定の工作が必要になります。
ドアポケット兼ドリンクホルダーになっているドアトリムと、インナーパネル(鉄板)を切り抜いて、アウターバッフルを組んで土台をこしらえて、ウーファーユニットを取り付けました。
ドア筐体をエンクロージャー化するためのドア防振は、内蔵アンプでの駆動に合わせて、制振力のマイルドなドアチューニング・グレードで施工しました。
以上を持って、ファミリアバンのサウンドアップが実現しました。
きっかけとしては、ドアにスピーカーを追加できたらいいな♪というささやかな希望でしたが、なにもないところにつけるとなると、ハイファイの理想とされるアウターバッフルスタイルが前提となるので、期せずして非常に本格的な造りへと変貌を遂げることになりました。
ご想像の通り、出音は最高で、中音域再生にアドバンテージのある10センチコアキシャルとのクロスポイントを低め(1.25kHz)に設定することで、非常に聴きやすいシステムに仕上がりました。
予算は、スピーカー2セットと、アウターバッフル工事、スピーカーケーブル新規引き込み、ドア防振の一切で税込215,930円で上がりました。
それでは施工の様子をどうぞご覧になってください♪
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フロントドア
それではまず、着手前のドア外観からスタートします。
標準の状態では、上半分は取り立てて特徴がありませんが、下半分はドアポケットとドリンクホルダーで占められています。
ラジオなどの音声を聞くにはダッシュ上の10センチスピーカーで十分ですから、機能重視の商用車としては極めて妥当な造りと言えると思います。
ポケット部の構造は、奥側の壁をインナーパネルでまかなっている点がユニークです。ご想像の通り、コストが低く抑えられるので、軽自動車の一部で採用されている方法です。
ダイハツエッセのドア
写真は助手席側ですので、運転席側と内装のデザインが異なります。
運転席は、ドアハンドルとパワーウィンドウのスイッチが一体型なのに対して、助手席側はドアハンドルがグリップ形状になってパワーウィンドウスイッチも簡素なものに変更されています。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
サービスホールはおなじみのビニールで塞ぐ方式がとられています。
上述のとおり、下段はポケットの壁を兼ねているので、広く平らな鉄板が確保されています。
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アウターバッフルデザイン
実作業にかかります。
最初は、アウターバッフルを取り付ける位置の検討から着手します。
この車には、ドアスピーカーがある車のような起伏がなくほぼ平らで、バッフルをつけたいところにつけられますので、まずスピーカーの径にあったバッフルのリングをあてがって場所の見当をつけます。
次いで、適宜ドアトリムをカットしながらインナーパネルに接触するまでの道筋をつけ、複数のリングを組み合わせて、最終的に写真のようなバッフルを構築していきます。
バッフルの筒と鉄板が触れている境界の黒い線は、鉄板をカットするためのケガキ線です。
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アウターパネル作業
アウターパネルの作業が終わったところです。
アウターバッフルの設計がひと段落したところで、ビニールを取り除き、ケガキ線に沿って鉄板をカットします。
カット後の鉄板には適宜、防錆処理を施しておきます。
その後、全体の清掃と脱脂を済ませたら、ドアチューニングの資材である、オーディオテクニカのAT7550Rを貼っていきます。
繰り返しになりますが、この車のドアにはスピーカーが無く、したがってドアに向かう「純正スピーカーケーブル」というものが無いわけですが、線を通す経路はありますので、それを活用してスピーカーケーブルを通しておきます。
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インナーパネル作業
インナーパネル側の作業が終わったところです。
防振材でサービスホールを塞ぎ、インナーパネルの側の防振作業は完了です。
スピーカー部については、2ピース構造になっているバッフルのうち、インナー側のベースリングをインナーパネルに固定するところまでです。
アウター側バッフルはドアトリムを付け戻した後から取り付けます。
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アウターバッフル取り付け
完成!の状態です。
順番としては、まずドアトリムを付け戻し、合皮生地を貼って仕上げておいた筒状のアウターバッフルを取り付けます。
次いで、スピーカーを取り付けて、防護用のスピーカーグリルで覆って完成となります。
なお、今回使用したウーファーAP6.5Pにはグリルが付属されていませんので、別途audison APG 6.5(税込3,630円・ペア)を調達しました。
オーナー様は何もないところにスピーカーを取り付ける工法・技術について驚かれていましたが、30年ほど前は、ドアにスピーカーのない車がたくさんありましたので、プロショップの仕事の大半がこういう作業が中心でした。
例えば、最近リバイバル人気で目に触れる機会のあるところで、「私をスキーに連れてって♪」の劇中車であるセリカ(ST-165)や、豆腐店の社用車?であるAE86あたりはドアにスピーカーがありませんでした。
その後、ヴィッツの登場を境に小型車の品質の底上げが進み、どんな車でもドアにスピーカーが付くようになってから、「トレードイン」という新語が編み出され、個人さんのDIYでもなんとかなる時代になりました。
昔のカーオーディオは、何をやるにも一定の加工が前提でしたので、プロショップの仕事量が多く、異様に活気があった時代でした。
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ハイレンジスピーカー
audison APX4へ交換後の様子です。
車両側は無加工ですが、スピーカーには90度ごとに4方向に設けられている足のうち、2枚をカットして、純正のネジを使って取り付けます。
スピーカー配線は、メインユニットのハイレンジ出力(フロントスピーカー出力)から直接引き込んでいます。
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今回はファミリアバン(プロボックス)のサウンドアップの事例をご覧いただきました。
上述の通り、この車のスピーカーはダッシュの10センチのみです。今回の事例に登場したようなコアキシャルスピーカーに取り替えるだけで、一定の音質改善は図れるものの、しっかり低音も出したい!となると、純正ベースでの対応では限界があります。
加工度の低いところで、パワードサブウーファーで低域を増強するアイデアもあるにはあります。
ただ相手が低域に弱い10センチだと、中低域が主体の曲だとつながりの悪さが目立ってしまうので、あまり現実的ではありません。
高音から低音まで、広い帯域に渡って、バランスのとれた音量で自然に聴けるような環境を作るには、やはりドアへのウーファー取付がベストです。
作業内容的には、当コーナーで時々登場するアウターバッフル化事例と同じアプローチですので、プロショップのお仕事としては特段難しいわけではありません。
ただ、もともとスピーカーを取り付ける前提のドアだと、スピーカーホール周りは平らにプレスされているので、インナー側のバッフルが無加工でぴったり合う確率が高いですが、スピーカー取付予定箇所にリブがあったり、斜めになっている場合には、「平らな足場」を作る手間をかけることで解決することになります。
いずれにしても、その程度の判断と手間が加わる程度で、「ドアスピーカー新規取付」はクリアできます。
今回の事例に挙がったファミリアバン、あるいはプロボックスをお使いのお客様で、ドアにスピーカーをつけてみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお声かけください。
今回の内容と同一であれば税込215,930円。ヘッドユニットを加えても20万円台で十分収まります。
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