ポルシェケイマンGTS(981)のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
ケイマンGTSの事例ご紹介です。
兄弟車的に認知されるボクスターは、水平対向6気筒エンジンをミッドシップに積むロードスターモデルとして、1996年にデビューしていますが、そこから約10年後の2005年にケイマンが発売されています。
ボディサイズ、水平対向6気筒のエンジン型式、ミッドシップレイアウトは同じですが、ボクスターは幌屋根が開閉するコンバーチブルであるのにたいして、ケイマンは開閉しないクローズドボディである点は明確な違いですね。
ボクスターが発売から24年、ケイマンは15年経ち、911と並んで「低いかたちのポルシェ」として、認知が十分に深化した感があります。今後もしっかり台数を伸ばして稼いでくれることでしょう♪
ケイマンはこれまでに3回モデルチェンジを経て、現行は3代目の982c型です。今回お迎えするのは2代目981c型のGTS。沼津からひとっ走り駆けつけてくださった、深い紺色が素敵な一台です。
システムプランは純正ナビの出力をDSPアンプで料理して、フロント2wayを鳴らす比較的シンプルな内容です。
他の多くのエントリでもご説明しておりますように、ポルシェの2018年までの純正ナビはクラリオン製のOEMで、そこからRCA出力で純正外部アンプに入り、フロント3way+センター+リヤというのが標準オーディオのシステムです。
オーディオの仕様は車のモデルごとの差別化の材料にはならないせいか、996以降の911、ボクスター、ケイマン、カイエン、マカン、パナメーラと、上級オーディオはBOSE一択という設定まで含めて、判で押したように多くのモデルで同じフォーマットが取られています。
純正ナビは外部アンプが増幅してくれてるおかげで音が出せているようでありながら、実はナビ本体に4ch分の内蔵アンプを隠し持っている点も見事に同じ(量産品ベースのため)なので、ここからフロント/リヤの最大4chのフルレンジ出力(ハイレベル出力)を取り出して、欲望と予算に応じてお好きに料理することができるわけです。
ということで、話をもとに戻すと、今回は純正ナビのフロント出力→DSPアンプ→フロント2wayということでしたね。
フロント出力はナビ裏のカプラーから分岐させて取り出して、受け止めるDSPアンプは老舗audisonのAP 8.9bit(税別100,000円)・・・じゃなくて、AP4.9bit(税別76,000円)です。
9ch分のプロセシングができる点は8.9bitと同じですが、内蔵アンプのチャンネル数が8つに対して4つである点が違います。小数点の前がアンプch数になってるわけですね。
ちなみに8.9bitは35W×8ch、AP4.9bitは70W×4ch。他にAP5.9bit(税別76,000円)というのもあって20W×2・50W×2・150W×1(どれも4Ω前提)と用途に応じて選べるようになっています。
スピーカーの方は我らがJBLのフラッグシップモデル、670GTi(税別10万円)をセレクトしました。
これをウーファー、ツイーターともに標準の位置に取り付けます。
デザイン性に優れたアルミとカーボンのスピーカーグリルがかっこよいのですが、今回はインナーバッフル形式のなので出番なしです。(下取らせていただいてこちら等で活用しています)
それでは施工の様子をご覧ください♪
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フロントドア
それではドアの外観チェックです。
タンカラーのレザーがラグジュアリ〜な雰囲気を醸し出していますね。
一見、どこがスピーカーか判断付きにくいですが、ドアポケット奥の全面がメッシュ状のスピーカーグリルになっています。
ドアにはスコーカー・ウーファーの2つのユニットが付いていて、手の甲の部分がスコーカー、それより前方がウーファーのエリアになっています。
(注)ここでウーファーと称しているのは、純正スピーカーの正式名称としては「サブウーファー」ということになっていますが、フロント実質的に3wayであることには変わりないので、他のエントリとの整合を優先してに以後、ウーファーの呼称で統一します。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外した様子です。
10センチスコーカーと20センチウーファーが見えます。
このように標準オーディオでフロント3wayのユニットを取り付ける場所があるので、外観に影響を与えずに存分に音質向上が履かれます。特に20センチウーファーを含む3wayの解像度はワンランク上なので、是非トライしていただきたいです。
今回はこの大径ウーファーの位置に厚めのバッフルを組み、17センチウーファーを取付けます。スコーカーの方は、(純正スピーカー線が繋がっている)外部アンプの接続を解除してしまうので鳴りません。
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アウターパネル作業
アウターの防振に向けた作業を開始します。
インナーパネルの上端前方には、緊張感を漂わせるエアバックのインフレーターが座っているので、最初はこれの攻略からです。
まずはバッテリーのマイナス端子を外し、しばらく放置してからエアバッグ関係のパーツを外し、ついでインナーパネルを外します。
インナーパネルは樹脂ではなく、エンクロージャーの堅牢性の点からうらやましい金属製パネルです。
これを外して見晴らしを良くしたら、アウターパネル全面を清掃、脱脂し、短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
赤とグレーのスピーカーケーブルを通したら、インナーパネル側作業に移ります。 -
アウターパネル作業
アウターパネル防振後、金属製インナーパネルをボルトで取り付けます。
ウーファーは、もとの20センチ径ユニットのスピーカーホールに合わせて作った重厚なバッフルを介して取り付けます。
これだけしっかりした土台で取り付けるので、低音の伸びへの貢献度が高いのはご想像のとおりです。
また、土台の重みによってバスケット微細なブレも抑制され、ひいては振動板のストロークの軸がまっすぐになりますので、発生させる振動(音)の精度も上がり、一番の関心事である音像のクリアネスの向上が図られるということになります。
かっちりした金属製インナーパネルには、防振材を全面貼りしてデッドニングを完成させます。
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純正ツイーター
ドアが終わったところで、ツイーター交換に移ります。
ツイーターは、ダッシュボードの上面に4つ並んだ、三葉虫が張り付いたようなデザインのエアコン吹出口の上面に仕込まれています。
写真の左側が車の進行方向ですね。純正ツイーターが金具に押さえつけられています。
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ツイーター入れ替え
交換後です。
金具を開放して純正ツイーターを取り外し、670GTiのツイーターを差し入れ、再度固定します。
バネがちょっとだけ膨らんでいますが、変形するほどではありませんので、純正戻し時の再利用は十分可能です。
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AP4.9bit
助手席シート下の様子です。
こちらにaudisonのAP4.9bitを設置しました。
シート下というよりは後方ですね。いずれにしても後部座席がないので、真下じゃなくても問題ありませんね。
配線は全てカーペットの下からアプローチして、シート真下のあたりで地表にでて、DSPに向かいます。
前方に折り返しているのは、設定、調整用のUSBケーブルです。
(ウミヘビのようにうねうねしているのはシートにつながるハーネスです)
USBケーブルは調整時に助手席のシート上のノートパソコンにつながるくらいの長さにしてあり、通常はフロアマット下に潜ませておきます。 -
ハーネス加工
これは純正ナビを一旦外した開口部のアップです。
写真のカプラがナビの裏に刺さっており、ナビに常時電源、ACC電源、車速信号などを供給しています。
市販のクラリオン製ナビだと、このカプラからフロント/リヤのスピーカー出力線が出ているのですが、このOEMナビではアキになっているので、カプラ内で接触させるためのピン(コンタクトという)をつけたDSPに向かうケーブルを差し込んでなりすまし、フロント出力をいただく。という算段です。
純正戻しのときはこのコンタクトを抜き取るだけなので、無傷で原状復帰ができるわけですね。時代にあってます。
ちなみに、純正の外部アンプへのRCA出力は、三軒ほど先にある別のカプラから供給されています。
あと、写真の奥で微妙に目につくエレクトロタップは当店で取り付けたものではありません。。
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ヒューズホルダー
最後は電源取り込みの現場の様子です。
この車はミッドシップなのでエンジンは背中の後ろですが、バッテリーはトランクの前。重量バランスを考慮してのことだと思いますが、車両のほぼ中央にあります。ここからプラス線を直接引き込んでいます。
DSPやパワードサブウーファーなど、車両のヒューズボックスが分配する電気よりも大きな電流を必要とする製品を取り付ける場合、ショート時に車両を保護する手段として指定容量のヒューズを装着します。これがないと、最悪で車両火災ということになります。
DIYなどで頻繁に整備をする場合は、家庭のブレーカーと同様に、カンタンに手動で開閉できる車用のブレーカーを使う場合もあります。
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作業後記
今回はケイマンGTSのサウンドアップ事例をご覧いただきました。
構成的にはフロント2wayの交換+デッドニングに、DSPによるソースマネジメントを加えたシステムで、当コーナーのポルシェのエントリの中では、比較的ライト目な内容でした。
とは言っても、多くのポルシェ車のメリットである、ケタ違い大きくて分厚い特大バッフルのおかげで、音場の広さに大きく寄与する低音域の伸びは、17センチユニットの限界レベルまで引き出せていると言っても過言ではなく、純正外観キープの枠内でこのグレードアップが図れる素性の良さはホントに評価に値すると思います。
とは言っても(2回め)、必要十分でとどめておく理由がないのが趣味の世界です(笑)
文中でも触れましたように、外部アンプつきの仕様でありながらも、ざっくりここ15年ほどのポルシェ車は内蔵アンプを隠し持ったクラリオンOEMヘッドユニットを持っているので、容易にハイレベル出力が取り出せますし、さらにはパワードサブウーファー運用に都合の良いRCA出力も備えているので、あとはご予算次第♪でシステム設計の自由度の高い車です。
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せっかくなので、やれることをざっと整理してみますと・・(予算昇順)
○入れ替え系
フロント3way・センター・リヤの各スピーカーだけ社外品に交換(+防振)(マカン)
○パッシブ系
・フロント出力→ネットワーク→フロント2wayあるいはフロント3way(ケイマンGTS/911)
・フロント/リヤ出力→バイアンプ対応ネットワーク→フロント2way(ボクスターS)
・+RCA出力→パワードサブウーファー追加
○マルチ系
・フロント出力→4chアンプ→フロント2way+RCAからパワードサブ
・フロント出力→DSPアンプ→フロント3way+リヤ+RCAからパワードサブ(ボクスターS/GT3)
・フロント出力→DSP→4chアンプ→フロント2way/モノアンプ→サブ(パナメーラGTS)
※BOSEアンプの出力から先で展開する事例もあり(パナメーラGTSグランツーリスモ)
当店のインストール事例を遠い目で顧みてみますと、ざっとこんなところでしょうか。
3way格納可能なレイアウトと大径バッフルのメリットを活かし、コスパ重視でいくと、フロント3wayのパッシブ(+パワードサブ)あたりはなかなか良い選択のように思えます。
あとは電源引き込みを伴うマルチ系でDSP音作りの方向にいくわけですが、ここは予算に応じて音質が上がっていく世界ですね。
フロントの中高音域スピーカーの音場をぐーっと広げるサブウーファーは、ぜひ導入したいハイファイ不可欠アイテムですが、室内がタイトなポルシェの場合、据え付け型のエンクロージャー(スピーカーボックス)にスペースを専有させたくない方が少なくないので、シート下(背面)設置が可能なパワードサブウーファーが支持される傾向が強いようです。
フロント3way・DSP・パワードサブと一通りやっても、(シート下を覗き込まない限り)外観に変更を加えずにサウンドアップが可能です♪
どうぞお気軽にお問い合わせください♪
直接のお電話もお気軽に♪03-5913-8450です!