MINIJCWR56のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.880(お問い合わせの際にお伝えください)
model
MINI JCW R56
system
メインユニット:Panasonic CN-HA02D
デッドニング:フロント・バッフル・スタビライザー・ウエイト
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO EX165、MX080
センター:なし
リアスピーカー:純正
サブウーファー:なし
パワーアンプ:内蔵
ケーブル:純正comment
ブルームーンオーディオのユニットを使って、フロントスピーカーを3way化しました。
オプションオーディオ用のツイーターカバーを使うので、外観は極めて自然です。
MINI・John Cooper Worksの事例紹介です。
1959年に産声をあげた先代の「ローバー・mini」が、その41年間の歴史にピリオドを打ったのが西暦2000年のことでした。
現在のスタイルのMINI=BMW・MINIは、1994年からローバーの株主となったBMW主導で開発がスタートされ、1997年のジュネーヴ・モーターショーで2台のコンセプトカーが公開されました。
その後、経営悪化によるローバーの離脱もありましたが、2001年にやっとデビューを果たしました。
先代のローバー・minが、41年間に渡って外観に大幅な変化をもたらすモデルチェンジを行わなかったのと同様に、現在のミニも、初期型(R50/52/53)のテイストを継承しながら、一般の車でいうところのマイナーチェンジなみの変化にとどめたモデルチェンジによって、時を重ねてきました。
ただ、ボディタイプはかなりの多様化を見せており・・・
(初代)初代は3ドアハッチバック(R50)とコンバーチブル(R52)の2種類だけでスタート。
(第2世代)2007年からの2世代でクラブマン(R55)、ハッチバック(R56)、コンバーチブル(R57)、クーペ(R58)、ロードスター(R59)、カントリーマン(クロスオーバー)(R60)、ペースマン(R61)と、一気に7種類に爆発!
(第3世代)2013年からの第3世代では、3ドア(F56)、5ドア(F55)、クラブマン(F54)、カブリオレ(日本名コンバーチブル)(F57)、カントリーマン(クロスオーバー)(F60)の5車種にちょっと整理されました。
(第4世代)2024年からの第4世代では、3ドア(F66/J01)、5ドア(F65)、コンバーチブル(F67)、エースマン(J05)、カントリーマン(U25)の5車種に再編成され、今に至ります。
そして今回ご登場いただくのは、第2世代のハッチバック(R56)のジョン・クーパー・ワークスモデルです。
オーナー様は長らくこのMINIを大事にされており、とてもきれいな状態にメンテされていました。
ダッシュボードを拝見すると、パナソニックの新しいナビを入れてあり、ドラレコもついていて、しっかりアップデートされている様子でした。
しかしながら、オーディオ(スピーカー)関係は純正のままでした。
10年近く経っている車ですので、スピーカーのコンディションも適当に劣化しているでしょうけれど、標準オーディオ車であるため、フロント2way+リヤのツイーターレス仕様です。
高音域を担当するツイーターがないと、音像のシャープさや、情報量にどうしても限界があります。
ということで、既存の2wayスピーカー交換も含めたフロント3way化+ドアデッドニングで、抜本的なサウンドアップを図ることになりました
以下、使用コンポーネントです。
〇3wayスピーカー
BLUE MOON AUDIOで揃えました。
2wayスピーカーセットであるEX165(税込35,200円)を高域のツイーターと、低域のウーファーとして使い、中音域のスコーカー(ミッドレンジ)として、8センチフルレンジのMX080(税込42,900円)を組み合わせました。
EX165は、BLUE MOON AUDIO発足時(2015年)からベースモデルとして支持されてきたSX165の後継モデルで、2023年から発売されています。
現行の同ブランドの2wayセパレートのラインアップとしては、フラッグシップがRX165(税込221,000円/ネットワーク無し209,000円)、ミドルグレードがVX165(税込137,500円/ネットワーク無し110,000円)、そして新ベースグレードのEX165(税込35,200.円)の3つになります。
このEXは、別体式のネットワークをもたず、ツイーター/ウーファーそれぞれのスピーカーケーブルにインラインフィルターを組み込むことで、帯域を分割しているので、2wayの純正交換の場面では非常に扱いやすいメリットがあります。
〇接続に関する工夫
今回のサウンドアップによって、標準の2wayから3wayになるわけですが、それぞれのユニットが受け持つ周波数帯域をきちんと整理・分割してあげないと、その価値を引き出せません。
ベストはDSPアンプで精密に設定することですが、コスパ重視でも十分にやれることはあります!
システム図に表現してありますとおり、今回は低域のウーファーはフルレンジ(制約なし)で鳴らし、ツイーターとスコーカーに向かうスピーカー線の途中に(低音域をカットする)ハイパスフィルター(A)を入れてあります。
さらに、そのハイパスの先には、インラインハイパスフィルター(B)がついたツイーターと、同じくローパスフィルター(C)がついたスコーカーがつながるという格好になっています。
言い換えると、ハイパスフィルター(A)によって、中・高域域ユニットに向かう信号の下限を決めておいて、さらに(B)と(C)によって、ツイーターとスコーカーがケンカしないように分割しているというイメージです。
こうすることによって、聴感に大きく寄与するツイーターとスコーカーはきっちりすり合わせが出来るため、情報量はグッと上がります。その一方で、ウーファーの上限には制限が掛かっていないので、厳密に言えばスコーカーの下限と若干カブっていることにはなるのですが、明らかな違和感があるか?と言われれば、多くの方は気にならず、むしろデッドニングによる効果と相まって、かなりの音質改善効果を感じるというのが現実です。
〇デッドニング関係の秘密兵器
ドアのウーファーの取り付けにあたっては、MDFでのオリジナルバッフルを制作・固定し、制振力の強いデッドニング・グレードで防振加工を行いました。
これは、スピーカー取り付けの土台を整え、ドアをエンクロージャー化(=スピーカーボックス化)するためのスタンダードな手段ですが、今回はスピーカーの稼働条件のさらなる改善のために、バッフル・スタビライザー・ウエイトも取り付けました。
これはスピーカーバッフルの裏側(ドアの中)に取り付けるウエイトで、スピーカーの振動板が動作する際、その反動によってスピーカーバスケットが逆方向にブレて、振動板の振幅の一部が相殺されてしまう現象を防ぐことを目的としています。
一つ320グラム程度のウエイトを、3つあるいは4つ、スピーカーバッフルの固定ボルトに共締めし、スピーカー周辺の質量を増加させることで、振動板の動作により生じていた反動を吸収し、振動板の安定した動作を可能にします。
全帯域の基調を決める低音域の規律がキチッと整うことで、低域は伸び、中高音域のディテールがきれいに表現され、音場は広くなり、音像がクリアにまとまるといった目覚ましい効果が得られます。
以上をもって、MINI(R57型)のフロント3way化を含む、サウンドアップが完了しました。
既存のスピーカーのスペック向上に加えて、ツイーターが新規に加わったことで音の輪郭がはっきりしました。加えて、バッフル・スタビライザー・ウエイトが音の基調となる低音域のキメを揃えることで、音場全体に規律が整い、非常にクオリティがアップしました。
予算的には、3way分のスピーカー(EX165/MX080)とバッフル・スタビライザー・ウエイト、インストール費用、デッドニング費用までの総額で税込193,600円であがりました、
※お客様持ち込みによるAピラーカバー代は含まず
それでは施工の様子をご覧ください♪
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フロントドア
フロントドアの外観です(3ドアなのでリアドアはありません)
MINIのスピーカー構成は、標準オーディオがフロント2way+リヤで、ハーマンカードンのプレミアムオーディオだとフロントが3wayになります。
スピーカーのレイアウトには世代によって違いがあり、ツイーターがAピラー、スコーカーがドア中央にある点では共通ですが、ウーファーについては、型式がRから始まる第1・第2世代はドアの下方(一般的なドアスピーカーの位置)にあり、型式がFから始まる第3世代以降は、シート下フロアへの埋め込み形式となっています(多くのBMW車と共通仕様)
今回の車はR56型なので、ドアについています。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
外した・・・といっても、周りの化粧枠を外しただけで、ドアハンドルを含むパネルがインナーパネルと一体化しているので、見た目はあんまり変わりませんね。
実際のところ、この黒いパネルを外すことは出来ますし、アウターパネル(外側の鉄板)へデッドニング施工を行う場合は、外さないと仕事ができません。しかしながら、ドイツ車あるあるの複雑構造のため、ウインドウガラスを外さないと、このパネルが外れない構造になっており、脱着には一定の追加コストをお願いすることになってしまいます。
そういった理由から、今回の分解はここまでとし、デッドニングはスピーカーホールから手が届く範囲限定ということになります。
バランバランにしてアウターパネルにまでアクセスした事例はこちらです。
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デッドニング
スピーカーホールから中をのぞいているところです。
ウーファー(向かって右下)を外し、手が届く範囲に防振材を貼ったところです。
理想的には全面に貼りたいところですが、上述の理由で、スピーカーの裏周辺に限定した箇所のみの施工です。限定的とはいっても、より強い振動にさらされるスピーカー付近に力点をおくわけですので、制振は効果的に抑制され、音質は改善します。(後出のバッフル・スタビライザー・ウエイトの寄与もあり)
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当店オリジナルの秘密兵器バッフル・スタビライザー・ウエイトです。
デッドニング関連の新商品として発売開始以降、特にハイファイ志向の玄人筋のお客様中心に売れ続けております。
スピーカーを取り付けるには、まずその土台となるバッフルボードをドアに取り付けることになります。その際に通す固定用ボルトの裏側に「共締め」する格好で、このバナナ型のウエイトを取り付けます。
この製品は、バッフルボードの真裏におもりを取り付けて、スピーカー周辺の質量を増加させることで、スピーカー振動板自身の動作により生じていた反動を吸収します。スピーカー周辺(スピーカーバスケット・バッフルボード・ドア鉄板)に生じていたブレを全体的に抑制し、いわば「スピーカーの足元をしっかりさせる」ことで、スピーカー振動板の前後ストロークを安定させる効果を発揮します。
上述の通り、デッドニングは完全に行えていませんが、振動の発生源を直接負荷をかけ、抑え込むことができるので、効果はバツグンにありました。(こちらの寄与のほうが大きかったかもしれません)
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スピーカー取り付け
スピーカーを取り付けて、インナーパネル側の作業が終わったところです。
左上が中音域担当のスコーカーです。ここにはBLUE MOON AUDIOのMX080を取り付けています。
このユニットの背面は、ドアの中に通じておらず、カップ状のクローズドスペースになっていますので、波動の乱反射を防ぐために吸音材を充填してあります。
右下がウーファーですね。純正スピーカーの配線は、バッフルの脇のカプラ経由で接続されていましたが、交換後はスピーカー裏側の端子に接続することになりますので、スピーカー左上に見えるグロメットからドア内に挿入してスピーカーに接続しています。
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ハーマンカードン用ピラーカバー
オプションオーディオ用のツイーターグリル付きピラーカバーです。
冒頭で触れましたように、標準オーディオはツイーターレスなので、ピラーカバーはツルンとしています。
標準ピラーカバーにツイーターを埋め込む加工もできなくはありませんが、純正の見た目を好まれる方は、オプション用カバーを調達するのがよいですね。
この部品の調達は当店が代行するケースがほとんどですが、今回のお客様は中古で購入され、(クリーム色だったので)ご自身で黒く塗装されたとのことでした。
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ツイーター取り付け
ピラーカバー裏にツイーターを組み込んでいるところです。
元はこの色だったんですね(^O^)
純正ツイーターがつく位置に、きっちりトレードインしました。固定はエポキシ系接着剤を使っています。
取付角度は、素直に純正の枠に沿ってセットしたので、車の中央に向いています。通常のパッシブであれば理想的ですね。
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作業後記
今回はMINIのフロント3way化によるサウンドアップ事例をご紹介しました。
標準オーディオには含まれていないツイーターを付加し、中音域をつかさどるスコーカーと、低域のウーファーを交換することで、メリハリのある、輪郭のはっきりした音に生まれ変わらせることが出来ました。
本文中でふれましたように、MINIの標準オーディオはフロント2way+リヤの6スピーカーで、ハーマンカードン仕様だとツイーターとセンタースピーカーがついて9スピーカーになるという構成です。
標準オーディオ車に対してオーディオ改善を考える場合、以下のようなプランあるいは要素が考えられます。
(1)スピーカー交換によるフロント3way化
今回のパターンです。フロアのウーファーはフルレンジで鳴ってますので、厳密には3wayではないのですが、便宜上こういう呼び方にします。
2wayセットのスピーカーと、スコーカーに使える小径スピーカーを調達し、高域のツイーター・中音域のスコーカー・低域のウーファーを入れ替えて、全帯域に渡ってはっきりさせます。出来る限りデッドニングとバッフル・スタビライザー・ウエイトの導入もお勧めしたいところです。
(2)サブウーファー投入による低音域補強
いちばんエネルギーの高い、低い帯域のリズムがきちっと刻めると、車室内の空気の動きの規律が揃います。そうなると、相対的にエネルギーの小さい中音域・高音域も連れてキメが整います。より低ーーい音が出せると、高音域の伸びもよくなります。
出来る限りアンプの出力が大きい方が、振動板の駆動力(押し出す&止める)が強く、空気をしっかりグリップできるのでお勧めです。
(3)DSP投入による音像の調整
やはりこれで決まりですね。
DSPの機能をおさらいしますと、以下の3つになります。
(a)室内にあるユニットを鳴らす周波数帯域を全て制御し、ユニット間のオーバーラップを排除します。
(b)全ユニットからリスナーの耳に届く音のタイミングを揃えます。
(c)室内のでこぼこの影響で、大きく聞こえる帯域を下げ、低く聞こえる帯域を上げるように補正して、フラットに聞こえるようにします。
これらをやると、落ち着いた大人の方でも、車の中で聴いたことのない音に気が動転するようです。
右目と左目の視力にかなり差があっても、脳内で補正して一つの像として解釈するように、まちまちのボリュームで乱反射して届く車内の音についても、ある程度処理をしてるんだろうと思います。DSPで調整をかけると、その「脳内補正」前の段階でピシッとそろって届けられるので、衝撃が走るんだと思います。
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この他にも、ケーブルの入れ替えによる損失逓減や、電源レギュレーターによる電圧の平準化など、ハイファイ目線でやれることはたくさんありますが、スピーカー入れ替えとデッドニング+DSP+サブウーファーといったところをひとまずのゴールと考えていただくのが適当だと思います。
お客様のご希望とご予算に応じて、できるだけご満足いただけるプランを提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
ご興味のある方はどうぞお気軽にお問い合わせください♪♪
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