LAND ROVERディスカバリースポーツのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.786(お問い合わせの際にお伝えください)
model
LAND ROVER ディスカバリー スポーツ
system
メインユニット:純正
デッドニング:フロント
フロントスピーカー: RockfordFosgate T2652-S
リアスピーカー:純正
プロセッサーアンプ:HELIX M-FOUR DSP
ケーブル:audiotechnica、サウンドプロオリジナル4芯ケーブルcomment
純正マルチアンプの出力をDSPアンプに入れて、フロント2wayを鳴らすシステムです。
お預かり時は中音域が抜けている「中抜け」状態でしたが、DSPアンプで整理することで、キレイに音が繋がる状態に仕上がりました。
お客様から感想のメールをいただきました。
(個人/団体名、必要に応じて商品名は伏せさせていただいております。)
竹原様
この度は、お世話になり誠にありがとうございました。インストールギャラリーへの掲載については大丈夫です。
私の現在の車は、2年前に購入し、その際に、ある他のお店でフィルム施工もカーオディオも対応できるという事だったのでデッドニングとスピーカーの交換を行っていただきました。
しかし、その音質にはどこか満足できず、「これが限界なのだろうか」と思っていました。
そこで今回、システムアップを目的に、貴社にお願いすることにしました。
車を引き取りに行った時、試聴をさせていただいた音は、私の予想をはるかに超えていました。
音のメリハリがしっかりと感じられ、その音質の良さには驚かされました。
帰り道は音楽を楽しみながら、まったりと高速を流して遠回りしました。
そんな時間を過ごすことができたこと、それは最初から貴社にお願いしていれば良かったと痛感させられました。
また、車を乗り換える際にも、システムの入れ替え、システムアップなどについても教えていただき、大変感謝しております。
次回乗り換えの際にも、是非とも貴社にお願いしたいと考えております。
この度は、本当にありがとうございました。
ランドローバー・ディスカバリースポーツの事例紹介です。
ランドローバーは、もともとローバー・モーターというイギリスの会社(1904年-1967年)が、大戦中に活躍した米ジープをお手本に開発したオフロード向け車両の車名でした。(トヨタのような社名じゃなくて、カローラのような車名)
その後、ローバー・モーターがランドローバーを子会社としてスピンオフし、ローバーグループ(1986年〜)、ブリティッシュ・エアロスペース(1988年〜)、BMW(1994年〜)と漂流し、2000年にBMWがランドローバーをバラして・・・(+_+)長いので中略)・・・2008年からインドのタタ・グループの子会社に収まっています。
2023年時点でランドローバーが生産するクルマは、
レンジローバー(1970〜・現在4代目)フラッグシップ
レンジローバースポーツ(2005〜・現在2代目)スポーツツアラー
レンジローバー・ヴェラール(2017〜・現在初代)
レンジローバー・イヴォーク(2011〜・現在2代目)コンパクト
ディスカバリー(1989〜・現在5代目)中核モデル
ディスカバリースポーツ(2015〜現在初代)コンパクト/フリーランダーの後継
ディフェンダー130/110/90(1990〜)ランドローバー・シリーズIIIの後継
と、3車種・9モデルに渡っています。
社名のランドローバーにも、車名のレンジローバーにも、同じくローバーという音が含まれるので混同しやすく、注意が必要です。先々赤っ恥をかかないように「社名=ランドローバー」と覚えておいてください。今回のエントリでここが一番大事です。
で、今回ご登場いただくのは、ディスカバリー・スポーツです。
オーナー様は以前、当店をご利用いただいたことのあるお客様です。
久しぶりにご連絡いただいたので、ご要件を伺うと、、
・車を乗り換えたので、フィルムの施工を頼んだ。
・オーディオも一緒にやりますよと持ちかけられたので頼んだ。
・取り付けからしばらく経つが、なんかおかしいな。。こんなもんか???ともやもやする。
→ほんとにこれが妥当な状態なのか検証して、結果に応じて改善策を提示してほしい。
との事でした。
早速ご入庫いただいて、検証した結果、このクルマあるあるというか、「マルチ・アンプ採用車に対するスピーカー交換あるある」の症状が認められました。
高音域と低音域はそこそこはっきりしているのに対して、中音域の音量が低い、というか、情報がなくて抜けているような感じがするという症状です。
この症状の理解については、何かの機会にマウンティングをとっていただけるように、後ほど図解でご説明しますが、、
「アンプ出力の段階で帯域分割されている2ch(ツイーター・ウーファー)の信号を、社外スピーカー付属のバイアンプネットワークに通して接続すると、高い確率で中音域が出なくなる」という理屈です。
俗に言う「中抜け」状態の音です。
こういったアンプ段階で帯域分割されている車のスピーカー交換を行う場合、(理由は後述しますが)ツイーターの方にだけ付属ネットワークを接続して、ウーファーの方は純正アンプの出力をそのまま接続するという方法が最も安く上がります。
ただ、ツイーターとウーファーの再生帯域がまあまあカブるので、スピーカーメーカーの意図とは違う鳴り方にはなってしまいます。
これに対する抜本的な対処としては、帯域分割ずみのアンプの出力をDSPアンプに入力して、1つの信号に合成し、2wayなり3wayなり、システム構成に応じてきちんと分割して出力し、各ユニットを鳴らすという方法です。
ということで、今回はこの対処を採りました。
以下、かんたんですが使用コンポーネントの紹介です。
◯DSPアンプ
HELIXのM-FOUR DSP(税込88,000円)です。
これは、同社製4chアンプのM-FOUR(税込66,000円)にDSP機能を組み込んだ製品です。
有名DSPアンプである P-SIX DSP/V-EIGHT DSP/V-TWELVE DSPも、DSPアンプとしては同カテゴリとして捉えられますが、これらはDSP機能に多くのリソースを投入した、「アンプ付きのDSP」であり、軸であるアンプにDSPをつけたM-FOUR(M-SIXというのもあり)とは趣が異なります。
M-FOUR DSPは、100w×4chのアンプに、10chまでプロセシングできるDSPをくっつけた製品です。
先々のシステムアップの可能性を排除するわけじゃないけど、当面は2way(=4ch)分のアンプがあればいいという方に対して、無駄のない選択になります。
同様に、フロント3way、あるいは2way+サブウーファー、あるいは2way+リヤのように6chほしい方にはM-SIX DSP(税込110,000)ということになります。
今回は、純正のセパレートアンプから出力されるツイーター/ウーファーに分割された、4ch分の信号をM-FOUR DSPに入力し、合成→再分割してから、フロント2wayに出力します。
◯スピーカー
ロックフォードのT2652-S(税込99,000円)です。
これは業者さんのおすすめで購入された製品で、当店でご購入いただいたものではありませんが、ハイエンドグレードに属する立派な商品です。
上述のとおりバイアンプ・バイワイヤー接続に対応したネットワークがついており、フルレンジ信号を(片側あたり)2ch入力すると、ch間の相互干渉の少ない、クリアな音が楽しめます。
音の傾向としては、パンチの効いたアメリカンサウンド!ということになりますが、ハイエンド製品だけあって、それなりにキメが細かい、情報量の多い音がします。
これにて、純正アンプで帯域分割された信号を、キレイに再生できるシステムが出来上がりました。
お客様は長らくしっくりこない気分で過ごされていたこともあるのでしょうが、出来上がりには大変お喜びいただけたようで、アップテンポなコメントを頂戴できました♪
それでは、お預かり時の問題点の解説に続いて、施工の様子をごらんください。
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音がおかしかった理由
文字でごちゃごちゃ書いても、読解するのに疲れてしまうかもと思い、図にしてみました。
上段Aのグラフが、このクルマの純正アンプから出力されている、片側2chの周波数です。
青がウーファー用で、赤がツイーター用。
低音域側にはローパス(ハイカット)が適用され、高音域側にはハイパス(ローカット)が適用されてることで、全体の繋がりを演出する仕組みです。
純正システムの場合、両者の境目は4kHzくらい(多分)でクロスさせるケースが多いように思います。
中段Bのグラフは、ロックフォードに付属していたネットワークに、フルレンジ信号2chを入力した場合に、帯域分割される周波数を表しています。
こちらは、3kHzを境にクロスするように設計されています。
下段のグラフが、お預かり時の周波数の状況です。
Aで表した信号を、Bのネットワークに通すと、中音域の信号の高い方がウーファーに供給されないため、俗に言う「中抜け」状態になっていました。
純正レベルのツイーターは低めの信号を入れられない(ロースペックな)ものが多いのに対して、社外のはもっと低いところまでツイーターに担当させる傾向が多いです。
そのため、純正マルチアンプの出力を社外バイアンプネットワークに通すと、中抜けになる確率が高いですね。
あんまり文字を書くと図を作った意味がなくなっちゃうので、あとは図の中の文字を御覧になってみてください♪
引き続き施工の様子を御覧ください♪ -
フロントドア
それではドアの外観から始めます。
車両の外観との調和が感じられる、シンプルなデザインのドアです。
結構な高さ(厚み)のあるサイドシルをドアパネルが覆うように設計されているので、ドアトリムの下部にパネルがおおきく張り出しています。
スピーカー構成はフロント2way+リヤの6スピーカーで、ドアパネルの中段にあるのがウーファーで、ドアミラー裏がツイーターです。
ドアパネルが大きいので、ウーファーがスコーカーみたいに見えますが、17センチクラスのユニットが収まっています。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
ロックフォードのスピーカーにご対面です。
ネットワークの設置位置の関係で、ドアトリム取外しに手こずってしまいました。(後述)
当コーナーでもおなじみのDr.Artexの防振材を使っていらっしゃいますね。
当店だと、この材料は(制振力の強い)デッドニンググレードで使用するため、インナーパネル全面に貼り付けるのですが、こちらではポイント貼りで対処していらっしゃるようです。
この辺はお店のポリシーによるので、正解は無いと思います。
今回の作業では、ドア防振の手直し・再施工は行なわず、スピーカーケーブルも純正ケーブルを活用する前提でしたので、その点ではドアを開ける必要はないのですが、DSP投入によって(ドア内に設置されていると推定した)ネットワークが不要となるため、その取り出しのために開ける必要がありました。
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ドアトリム裏側
ドアトリムの裏側を覗いてみました。
こちらにも防振材が貼られていますね。
ドアトリムがスピーカーから発せられる音に同調してビビってしまうと、音を濁しますので、できるだけ実施したい作業です。セオリー通りにやっていらっしゃいますね。
手前でブラブラしてるのは、ネットワークからウーファー(ドアスピーカー)とツイーターに向かうケーブルです。末端がギボシ処理処理されています。
あと、写真を省略しましたが、確認のためにスピーカーを外して、アウターパネルの裏側も見てみました。
ここにも、ある程度の量の防振材は貼ってありました。
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パッシブネットワーク
バイアンプ対応のネットワークは、ドアトリムの裏側に固定されていました。
テープで留めてあったものの、しっかりテンションがかかっていたわけではないので、ひょっとしたらカタついていたかもしれません。
今回、DSPアンプによるマルチ化に伴って、信号の帯域分割をしてくれるネットワークは不要になりますので、これはご返却となります。
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純正マルチアンプ
純正のセパレートタイプのマルチアンプです。
配線のつなぎ込み作業の関係で、車体から外した状態ですが、運転席下のフロアに固定されていました。
純正アンプやデッキ裏(以後純正アンプ類)のスピーカー出力から、DSP入力のための信号を取り込む作業は頻繁に行います。
信号取り出しの方法は、条件に応じて2つに別れます。
(1)DSPからスピーカーまでのスピーカーケーブルを新規に引き直す場合
純正アンプ類の出力ケーブルの被膜を1センチ弱むいて、DSP入力用のケーブルをスプライスでカシメて取り付けることで取り出します。
(2)DSPからスピーカーまで純正のスピーカーケーブルを使う場合
・純正アンプ類の出力ケーブルをカットして、アンプ側のケーブルに、DSP入力用ケーブルをギボシで取り付ける。
・純正スピーカーケーブルの方に、DSPから出力するスピーカーケーブルをギボシで取り付ける。
今回は(2)のほうです。
上記では、理解のために2ステップに分けて書いていますが、要は純正スピーカーケーブルの一箇所をカットして、信号を取り出しつつ、プロセシング後の信号を同じ場所に戻すようなイメージになります。よって、4本の導線から構成されるケーブルを1本用意するだけで、2ch分の取り出しと供給を済ませることができます。
(ツイーター用とウーファー用で合計2本必要になる)
当店では、こういった用途にも使える、4芯タイプのオリジナル・スピーカーケーブルを用意しています。
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DSPアンプ設置
DSPアンプ(M-FOUR DSP)の設置状況です。
場所は運転席の下です。
前カットで、純正アンプも運転席下にあるとご説明しましたが、それはフロアに直接取り付けられており、その上部には、アンプを防護するための樹脂カバーが取り付けられていました。
写真のDSPアンプは、そのカバーの上に設置してあります。
固定は両面テープです。
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設定切換スイッチ
DSPアンプを横から(助手席側から)みたところです。
矢印で示したところに、小さな「CONTROLスイッチ」というのがありまして、これを押すことで、プリセット済みの音響セッティングパターンを切り替えることができます。
設置場所によってはアクセスしにくいので使わないこともありますが、今回は運転席下ということで、ちょっと左手を伸ばせば届くので、2パターン設定してみました。
コチっと押すごとに、2つのプリセットが切り替わるようになっているので、クロスオーバー(帯域分割)は同一のまま、タイムアライメントありとなしを登録しました。
有りの方だとドライバーの両耳に音声到達時間が揃い、なしのほうだと全スピーカーから同じタイミングで音が出ます。
なお、5秒以上長押しすると、全セッティングがリセット(工場出荷状態)されるので、オーナー様にはご注意ください♪とお伝えしてあります。
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audiotechnica TPK-800R
最後に電源周りを。
DSPアンプを設置するということで、バッテリーから電源を直接引き込む「バッ直」配線を行いました。
音質への配慮に応じて、高品質・高価格のケーブルを使うことも多いですが、今回はお手軽なオーディオテクニカのキットを使いました。
型番はTPK-800Rというやつで、最近リニューアルになりました。
ケーブルの仕様は変わってないのですが、ヒューズの仕様が、これまでの管ヒューズからMAXIタイプ(板状)のヒューズホルダに変更になりました。
なお、これまでの管ヒューズ(AGU)は廃盤となりました。
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作業後記
今回はランドローバー・ディスカバリーのDSPアンプ投入によるマルチ化の事例をご覧いただきました。
しっくりこなかった理由は、すでに帯域分割されているアンプ出力に対して、さらにネットワークを通してしまったため、中音域が抜けてしまったということですね。
これ、実は時々ご相談をうけるパターンです。DIYで取り組まれる方などはご注意くださいね。
純正アンプ段階で分割されている場合、文中でも書きましたが、多少のオーバーラップには目をつぶって、ツイーター側にだけ付属ネットワークを適用し、ウーファー側は素通しで鳴らすのがもっともローコストな対応策です。
そうでない場合は、今回のようにDSPアンプに入力して、フルレンジ信号を合成してしまい、スピーカー構成によって分割するという対処になります。
今回の事例の特徴的な点がこの一点だけだったので、妙に長々と解説してしまいましたが、お分かりいただけたでしょうか?
お乗りのクルマのセパレートアンプが(帯域分割されている)マルチタイプのアンプかどうか、判別がつかない方も多いと思いますので、もしおしりになりたい方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
分かる範囲でお答えするとともに、ご要望に応じて、音質改善の提案をさせていただきます。
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