ポルシェボクスター987のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
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当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
ポルシェ・ボクスターの事例ご紹介です。
ボクスターはポルシェのロードスター専用モデルで、デビューは1996年です。
初期型は986型で2004年までの生産。2代目の987型は〜2012年、3代目の981型が〜2016年。そして4代目となる982型が現行モデルとなります。なお、この4代目からボクスターが718ボクスターへ、兄弟車のケイマンも718ケイマンへと、それぞれ車名が改められました。
なお、「718」という車名は、1957年から1960年代前半にかけて活躍した、同名のレーシングカーの栄光へのオマージュだそうです。
ついでにクルマの作りについてひとつ。。
ボクスターならびにケイマンは、ディメンジョンが近い911と多くの部品を共用しています。一番わかりやすいのはダッシュボード・コンソール・ドアまわりのインテリア部品ですね。
年式的な対応は以下の通りで、当然ながら同世代モデルで共用しています。
986型ボクスター⇔996型911
987型ボクスター/ケイマン⇔997型911
718型ボクスター/ケイマン⇔991型911
メーターパネル、ダッシュボード上部、吹き出し口、ドアハンドルなど、キャラクター決定への寄与の高い部品は異なっているものの、コンソールまわりやグローブボックス、ドアトリム、サイドブレーキレバーなどなど、さほど主張の強くない部分?では、共用部品が多いです。
小ネタはこのくらいにして、今回お迎えしたボクスターの話に移ります。
型は、2代目の987型で、おそらく最近貼り替えたと思われるブラウンの幌がとてもシックに決まっている一台です♪
ご用向は「スピーカーが音割れしているので、対処してほしい」とのことでした。
モデルイヤーが2004年-2012年ですので、保管条件によっては、スピーカーのダンパーが崩落してしまっている場合も少なくありませんが、まれに純正セパレートアンプの故障の影響で、割れたような音がでるケースもあるため、軽々に判断できません。状況確認のためにご来店をお願いしました。
お預かり時のシステムは、OEMの2DINナビをナカミチのCDデッキに換装してあり、デッキのローレベル出力を、純正セパレートアンプに入力して、純正スピーカー(フロント3way+センター+リヤ)を鳴らすという内容になっていました。
ナビは不要で、スピーカー交換とドア防振まで踏み込まない前提の音質アップ策としては、スマートな手です。
トラブル原因の特定・類推のために、ドアトリムを外して確認したところ、スピーカーの破損が確認できましたので、スピーカーの交換は確定です。純正セパレートアンプもやられている可能性も消えていませんが、その場合は、オーディオデッキから直接ケーブルを引き直して対処する計画でご了承いただきました。
結果的に、アンプは正常に稼働していましたので、施工内容としてはフロント3wayスピーカーの交換だけで済むことになりました♪
◯スピーカー選定
多くのオーナー様が御存知の通り、996型以降の911は、フロントスピーカーが3way化されています。
デッキ(ナビ)の交換に伴ってスピーカーケーブルの引き直しを行う場合は、2wayに絞る選択もありですし、DSPを入れる場合は、2way/3wayのいずれも可能です。
仮に2way化する場合は、候補のスピーカーセットは無限にありますが、今回は純正3wayすべてを入れ替えることになりますので、中音域のスコーカーも同ブランドで揃うものとなると、ぐっと絞られてきます。
候補としては、パッシブネットワーク付きのセット物として(1)ETONのPRS-165.3(税込74,800円)、(2)FOCALのPS 165 F3E(税込115,500円)、(3)audisonのAPK 163(税込52,800円)などがあります。
コンポーネントの組み合わせとしては(1)ブルームーンオーディオの2way製品+8センチスコーカーのMX080、(2)FOCAL UTOPIA Mシリーズあたりご紹介の機会が多いところですが、今回はHELIX製品の組み合わせでセットアップすることになりました。
ヘリックスコンポーネントの内訳は以下のとおりです。
P1T(ツイーター)税込19,800円
P3M(スコーカー)税込33,000円
P6B(ウーファー)税込27,500円
インストールに際しては、スピーカーケーブルを引き直す前提なら、1chをパッシブネットワークに入力して3wayに分岐するパターン、2way用ネットワークをツイーターとスコーカー間に使って、ウーファーをフルレンジで鳴らすパターン、DSPでフルマルチにするパターンと如何用にも出来ますが、今回は純正スピーカーケーブルはそのままで、スピーカーユニットだけの交換ということになりますので、ちょっと工夫が必要です。
接続図でお示ししているように、純正アンプからの中高域側への出力は、1chを分岐させて2ユニット分をまかなう方式になっているため、ユニットだけ入れ替えると、ツイーターが許容できない低域信号が入って破損してしまいます。
これを防ぐために、ツイーターに向かうケーブルにハイパスフィルタを接続して対処しました。
上記のヘリックスのスピーカーを使って、抜本的なリフレッシュを果たすことが出来ました。
スピーカーに供給される信号は、施工前と変わりませんが、ユニット群の性能が向上し、それらを鳴らすための環境整備(取り付けとデッドニング)もしっかりと行ったので、音の質も量感も段違いです♪
それでは施工の様子を御覧ください。
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フロントドア
それではドアチェックからです。
ドアには、フロント3wayのうち、スコーカーとウーファーが配置されています。
ツイーターはダッシュボードの奥、フロントカラスに近いところに埋め込まれています。
冒頭で触れました通り、ユニットのみの交換の場合、スコーカーとウーファーは純正アンプからの出力をそのまま繋いでも問題ありませんが、ツイーターの方はハイパスフィルタを加えて調整することになります。 -
ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
この型では、スコーカーがドアトリムの裏側についているので、この写真には現れません。
ウーファーのグリルが大きいですね。
BOSEサウンドシステムの場合は、20センチサイズのウーファーが納まり、非BOSEの場合は、一回り小さい径のユニットに変わります。
いずれの場合でも、ブラケット周辺の形状は共通ですので、特に大きな加工なしで20センチクラスのウーファーに交換可能です。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の作業が終わったところです。
前カットに写っていたエアバッグ機構を外して(しばらく待ってから)、インナーパネルを外してアウターパネルを露出させ、清掃・脱脂の後、防振材を貼り付けます。
今回は制振力の強いデッドニング・グレードで施工しますので、短冊状にカットして貼り付けていきます。
ポルシェやGT-Rのように、インナーパネルがガバッと外れる構造のドアだと、アウターパネルの作業が非常〜に楽なのですが、従来からある外れないタイプで、かつ、サービスホールが小さいと、なかなか難儀します。
◆
防振材の貼り方について、アウターパネルには短冊状にカットするのに、インナーパネルは全面貼りするのはなぜ?と問われることがあります。
これは、アウターとインナーの重量バランスを取ることが理由になっています。
インナー側は、ドアトリムの取り付けに支障がでないように、一回り小さい面積で貼り込むのに対し、アウターは作業面積が広くなります。
この両者に同じ材料を貼れるだけ貼った場合、外側が重くなってしまい、箱としてのバランスが均等になりませんので、間を空けて(間引いて)バランスをとるというわけです。
実際には、アウター用とインナー用の材料は厚み(重み)が違うものを使っているのですが、その差も考慮した上で、「中外のバランスを取る」というのが基本的な考えになっています。 -
インナーパネル作業
インナーパネル側が終わったところです。
インナーパネルにMDFで制作したバッフルがついて、スピーカーを固定してあります。
防振は前カットでも触れました通り、全面貼りですね。
作業手順について、ちょっと書いてみます。
一般的な、インナーパネルが外れないタイプのドアの場合、作業手順は皆様がご想像される通りなのですが、このクルマの場合は以下の順で進めています。
(1)スピーカーケーブルを通す。
(2)インナーパネルを外した状態のままバッフルを取り付ける。
(3)バッフルの内側にアルミテープ等を貼って防水対策をする
(4)引き続いて防振材を全面貼りする。
(5)インナーパネルをドアに取り付ける。
(6)ウィンドウレギュレーターやエアバッグのインフレーターを取り付ける。
(7)スピーカーケーブルに端子を取り付けて、スピーカーに接続して、固定する。
という流れです。
(2)から(4)まではなんだか横着しているように思われるかもしれません(笑)が、フロアに置いて作業するほうが姿勢が安定しますし、防振材のローラー圧着も力が入りますので、合理的です。
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純正スコーカー
ドアトリムの裏側から眺めた写真です。
写っているのは中音域担当のスコーカーです。
バスケットと一体成型されたバッフルとネジ2本で固定されています。
こういったユニットを社外に差し替える場合、バッフルの形をトレースして、MDFやアルミ、アクリルといった素材でバッフルを制作します。 -
スコーカー交換後
スコーカー交換後の様子です。
バッフルの素材はMDFです。スコーカーを固定して内装に戻します。
スピーカー配線は純正のままとお伝えしてますが、コネクタがそのまま刺さるわけじゃないので、接続のために必要な分だけ、市販のスピーカーケーブルで延長して接続しています。
スコーカーに入力されるスピーカー信号は、純正アンプでハイパスされた信号が来ていますので、(下限をカットするための)ハイパスフィルターは使用していません。
上限については、このユニットのスペック上、5kHzあたりで減衰してしまいますので、ツイーターと重複する周波数はさほど神経質にならなくて良いと思います。
(DSPを使ってフルマルチ接続し、設定を追い込む場合に比べるとアバウトですが、スピーカーだけの交換としては上出来の部類という意味で捉えてください。)
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純正ツイーター穴(拡張後)
爪部分をカットした後の様子です。
比較的大きな部分はニッパーで、カットラインが連続するところは音波カッターやリューターを使って作業します。
向こうはガラス、手前はダッシュボードと狭い空間ですので、周囲に傷をつけないように、十分に養生して行います。場合によっては、実作業より養生の時間のほうがかかってしまうケースもありますが、完全に避けられるリスクですので、配慮する価値がありますね。
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純正位置ツイーター取付
ツイーター保持用のステーの仮組みをしているところです。
(見当を付けているところなので、金属部分の見栄えが悪くてすいません。)
ツイーターの奥(下)には仕切りがあるので、スポンと落ち込むことはないのですが、ガタツキが出ないように、簡単な保持金具をこしらえて固定します。
汎用の金属ステーを折り曲げて見当をつけ、この後、テキスタイルテープを巻き付けて仕上げました。
スピーカーケーブルの接続に際しては、冒頭でも触れましたように、スコーカーとの帯域調整(とツイーター保護)のために、ハイパスフィルタとしてのコンデンサーを介在させています。
このあと、純正のツイーターグリルを取り付けておしまいです。
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作業後記
今回はポルシェ・ボクスターのスピーカー交換の事例をご覧いただきました。
OEMナビを採用していた時代のポルシェのリフレッシュを行う場合、ナビ更新とスピーカー交換をセットで施工するのがポピュラーですが、この場合は、純正セパレートアンプをキャンセルして、ナビとスピーカーを直接繋ぐ方法を取るのが一般的です。
スピーカー交換を行うということは、少なからず音質の改善が目的になっているわけですから、新規導入したヘッドユニットのアンプの性能をあいまいにし、かつ、独自にチャンネル配分と帯域分割を行ってしまう純正アンプをキャンセルするのは、自然な判断と言えますが、ケーブル引き直しのためのコストは当然かかりますし、チャンネル数の都合によって一部のスピーカーをキャンセルする必要も出てきます。
これに対して、損傷した純正スピーカーを、機能回復の意味合いで交換するものの、スピーカーケーブルとアンプ機能は純正の水準でよい。という場合は、今回のように純正アンプを活かした方法もとれます。
この場合は、ヘッドユニットがナビであれ、オーディオデッキであれ、デッキからのステレオ出力を純正アンプに入力してやれば、(交換するスピーカー以外は)純正のシステム上で済みますので、費用をそこそこ節約することができます。
ヘッドユニットもスピーカーも交換する前提なら、ケーブルも交換して最善の音質を提案するのがオーディオショップの基本スタンスなのだろうと思いますが、お客様のニーズはそれぞれですので、たまにはちょっと血圧をさげたパターンもご紹介してみました。
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