ダッシュボード

フロントドア

フロントドア外観です。

メガーヌは複数グレードがありますが、当然ながら共通デザインです。相違点は見いだせません。
肘掛けからドアハンドルへのラインと、ポケットからスピーカーへラインの仰角がきれいにパラレルになっていて素敵です。

スピーカーはお決まりの位置で、ツイーターはダッシュボードの両端にレイアウトされています。

ドア内部

それでは仕事にかかります。

冒頭でも触れましたとおり、ソニックデザインの製品はその使います。
製品は2wayのセットではなく、ツイーターとウーファーユニット別売りの商品のようです。オーナー様から直接お聞きしなかったのですが、外観からすると、UNIT-N70Fという製品かなと思います。

筒状のエンクロージャーの中には、77ミリ径のスピーカーが入っています。
このエンクロージャーの筒状部分の外形が一般的なスピーカーの内径に合わせて作ってあるようですね。
筒からは固定用のフランジがちょこっと飛び出していて、車両側のネジ穴とは別途変換用のバッフル等を介在させて取り付けるようです。

メガーヌの場合、インナーパネルにリベット留めされた樹脂ブラケットが基準となりますので、このブラケットとユニットの間をワンオフ制作っぽいアルミパネルでつなぐ格好で取り付けられていました。

配線については、スピーカーまで来ている純正スピーカー線とユニットの間にバンドパスフィルターを噛ませてつないてありました。
バンドパスフィルター＝広域と低域をカットして、特定の幅の周波数帯だけ通過させるフィルターですね。

今回のフロントドアへの対処としては、DSP導入に伴うスピーカー配線は引き込むものの、防振に関しては、小さなエンクロージャーに収まっていることも合って寄与度が低いので行わないことにしました。

ツイーター

純正グリルの下に設置されているツイーターです。

こちらはSD-T25という製品でしょうか。
標準の位置にきちんと取り付けられていました。

配線は、純正スピーカー配線とユニットの間にハイパスフィルターを介在させてありました。よくある解決方法ですね。

今回、audisonのDSPから信号を供給するので、ツイーター、ウーファーともに既存の配線はそのまま残し、新規に配線を敷設します。

リアドア

次にリアドアです。

今回の手直しにあたって、サブウーファーとしてキチッと機能させることになりましたので、ユニットこそ純正ですが、デッドニング含めて作業量が集中します。

冒頭で触れましたとおり、この車はリヤも2way仕様になっています。
ドアオープナーの前方のメッシュグリルがそれです。
前述の通り、フロントツイーター・ウーファーと、リヤウーファーが主役になりますので、ほとんど音は出しませんが、一応DSPのチャンネルは割り当てます。

ドアトリム取り外し

トリムを外して、デッドニングと配線敷設の準備をします。
サービスホールを塞いでいる白いのは、欧州車でおなじみのスポンジシートです。

スピーカーまわりの構造はフロントと同じですね。インナーパネルにリベット留めされたブラケットに純正スピーカーがボルト留めされています。

アウターパネル作業

作業を進めます。

取り外せる小物をすべて外したら、清掃と脱脂を済ませ、アウターパネルに防振材を貼っていきます。
材料はおなじみ？のドクターアルテックスのEarth Quatroです。

フロントドアのスピーカーケーブルはウーファー用のみ引き込みましたが、こちらはツイーター用も引き込むことになります。

引き込み作業はフロント同様、かなり手間がかかります。詳細は最後のコマでご説明いたします。

インナーパネル作業

インナー側が仕上がったところです。

純正スピーカーにカプラーを戻して固定したら、サービスホールを全面貼りで塞いでいきます。こちらの材料は同じくドクターアルテックスのEarth Gold HDですね。

右上に残されている穴は、穏やかな地雷です。
確認不足でうっかり塞いでしまうと、ドア内装のガイドの突起が入らずに往生することになります。

シート下DSP

DSPは助手席のシート下です。

シート下といっても、正確にはフロア下ですね。
カーペットに溶着されているスポンジを切除してスペースを確保するのですが、従来からあるAP 8.9bitに比べ、内蔵アンプの出力が大きくなったAP F8.9bitは発熱量が大きいため、周囲にだいぶ余裕を設けました。

シート下レギュレーター

これはDSPに供給する電気の電圧を安定させる効果のあるレギュレーターです。

一度納車したのち、エンジン始動時にDSPの電源が入らなかったり、バッテリー電圧が不安定なときに電源が落ちる症状があるとご指摘いただいたので、調査の結果、レギュレーター導入によって解決を図りました。

これはなかなか同類の事例がなく、メガーヌの電源周りの仕組みに由来する現象ではないかと考えています。調べてみると、エンジンスタート時にバッテリーからかなりの放電をするようで、10ボルトを遥かに下回る水準まで電圧が低下しています。即、オルタネーターが全力で発電し、すぐに10Vは回復するものの、おおかたの車載機器が問題なく動作する13ボルト超えの水準にまでは一気に行かないため、AP F8.9bitが起動しないという因果に繋がっているようでした。

こちらのメガーヌGTの事例では、ESX社のDSP（XE6440-DSP）を使ったのですが、これでは症状が出ていないため、要求電圧の下限が低いと推察しています。

こちらのメガーヌRSの事例では、最初の段階から安定化電源を入れていたので、結果的に問題の事態に遭遇することはなかったのですが、オーナー様いわく、オーディオ機器はちゃんと動いているが、純正モニタがつかない時があり電源周りがおかしい感じがする。とのことでした。

正確に原因を特定できるだけのリソースがなく、現況レポートの域を出ないので恐縮ですが、いずれにしても、電圧の低下・変動に対する解決策としててっとり速いのが安定化電源であることは間違いなく、今回の症状の封じ込めには成功しました。

追加の出費になってしまったことは申し訳なく思いましたが、聴いて分かるほどの音質向上への効果は間違いなくあるので、どうにかご了解いただきました。

こういうことは国産車ではまず考えられず、外車あるある。。というほど遭遇したこともないので、引き続きデータ収集には努めますが、要求電圧が高い機器との相性問題には気をつけておきたいと思います。

フロントドア配線引き回し加工

最後に、前述したスピーカー配線引き込みの様子をご覧に入れます。

当コーナーの多くのエントリでご説明しておりますように、ドア内にスピーカー配線を引き込む際は、ドア前方のヒンジ部分にある、ゴム製のブーツの中を通します。

古くからあるスタイルでは、車体側、ドア側ともにトンネルのように口を開いていて、その中にハーネスを通してあるため、空いている隙間にスピーカーケーブルを通していましたが、最近の車は両端がカプラになっているケースが増えています。
この場合はカプラ内の空きスペースを探して、ドリルで少し拡げてケーブルを通すのですが、そのわずかな空きさえもない場合、、別経路を開拓するしかなくなります。

メガーヌはまさにそのパターンです。
写真の左がドア、右がボディでして、ちょっと毛羽立った風合いのテープで保護されているのが新規に引いたケーブルです。
ボディ側のサービスグロメットから外に出し、ゴムブーツの根本・下側から侵入し、ドア内へと抜けています。

ヒンジ部とはいえ、ボディの外側ですので、雨水が入らないように、できるだけ下側に最小限の穴を開けて線を入れ、柔軟性のある素材で塞いで処理を行っています。

リアドア配線引き回し加工

ついでですのでリア側もご覧に入れておきます。

別経路を開拓せざるを得なくなる背景はフロントと全く同じですね。
ただ、こちらについては、最寄りのサービスグロメットがかなり遠いところにあるので、ボディを出てからゴム侵入までの距離が長いです。

そのため、スピーカーケーブルがヒンジの脇を通ることとなり、誤って挟みそうでキケンな空気が漂っておりますね。
でも配線クリップでボディ側に固定してありますのでご安心ください。

作業後記

今回はメガーヌの事例ご紹介でした。

ご不満の解消を目的とした改善プランでしたので、非定型的な構成にはなりましたが、それなりに聴けるようになりました。
ゼロからのスタートの事例に比べて、少々わかりにくい点があったかもしれませんが、実情に合わせて個別対応した結果ですので、ご了承ください。