ベントレーフライングスパーのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.550(お問い合わせの際にお伝えください)
model
ベントレー フライングスパー
system
メインユニット:純正
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:BLAM S 165.100 MG
リアスピーカー:純正
パワーアンプ:内蔵純正
ケーブル:kaiser swingcomment
フロント2wayスピーカーの交換事例です。
ツイーターを標準の位置で入れ替えるためにダッシュボードをずらし、ドアスピーカーの稼働条件を整えるべく、インナーパネル(モジュールパネル)を必要量カットしています。
ベントレー・フライングスパーのダッシュボードです。
街中でそこそこ見かけるクルマではありますが、さすがは英国を代表する高級サルーンですね。
ドイツ車とはまた違う、空気の薄いようなエクスクルーシブ感が漂っております。
2000万オーバーの高級車ではありますが、当コーナーでは過去にもエントリがありまして、ベントレーで3例目、コンチネンタル系で2台目の登場です。
今回はBLAMのスピーカーを使ってのサウンドアッププログラムです。
BLAMは、フランスを代表するブランドであるFOCAL出身の社長さんが独立して立ち上げたブランドで、ここ数年でかなり認知度が上がってきています。
フランス系らしいヴォーカルの描写に強みを持ちながら、縦方向にも結構強く、現代的な音楽もこなせる懐の深さを備えたテイストが特徴のブランドです。
そんな新進気鋭のBLAMから、フラッグシップモデルであるS 165.100 MG(157,000円)をセレクト。
カスタム制作するバッフルを介して取り付け、入念なデッドニングで稼働環境を整え、スピーカーケーブルも交換して音の出口を整えます。
当然、外観への変更は一切生じません!
・・・と、アウトプットだけの説明なら一行で終わっちゃうのですが、今回は、一番奥にあるツイーターを攻略するために、複雑な構造のダッシュボード脱着が必要で、ドアの工作も手がかかって全体の工程が5日と大掛かりになり、作業の上でもメンタルの上でも、なかなかタフな案件となりました。
加えて、最終コーナーを回ってから「な、な、なにコレ?」みたいなホラーな展開にも見舞われたりして、期せずして得難い経験を積ませていただくことができました。
全編22枚の大作です。どうぞお楽しみください〜〜♪
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フロントドア
ドアの外観です。
ふんだんにレザーが使われ、非常に高級感あふれるドアです。
スピーカー周りのデザインに特徴がありますね。
一般的に、一番もっこりしている前方(写真左側)が凹ませてあります。
ご想像の通り、こういう体裁のドアのトリムの脱着は、国産コンパクトカーのようにパコパコ♪とは行かず、そこそこ手がかかります。
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純正スピーカー
ドアトリムを取り払ったところです。
スピーカーグリルがまんまるでしたので、十中八九、、、、と思いきや、スピーカーは楕円ですね。
ドアの筐体のインナーパネル側に大きな開口部を設けてあり、金属製のモジュールパネルで塞ぐ構造になっています。
最近の上級クラスのクルマだと一般的ですね。
パネルはスチール製、吸音材の下にはウインドウレギュレータ等の電装品がアッセンブリーされています。
それではスピーカーを外して、アウターパネルを覗いてみましょう。。
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インナーパネル
あれれ?視界ゼロです。
インナーパネル側にスピーカーが付いている場合、外せばスピーカーホールが空いていて、アウターパネルが見えるのが「常識」のつもりでしたが、こんなこともあるんですね。穴が空いていません。(黒い丸は作業用の小さな穴を塞ぐ貼りモノです)
要は、「バッフル付きのスピーカーが、穴なしモジュールパネルにネジ止めされている」格好ですね。
確かにこれであれば、車外と室内を、ドア筐体の内部とドアトリム側を完全に仕切ることが出来るので、遮音性はいいはずです。
そういえば、現行BMWの5シリーズ以上や、以前の3シリーズ以下もインナーパネルに穴がありませんでしたので、同様の理由なのでしょう。
ただ、BMWのスピーカーはドアトリム側にぶら下がっていて、一見して構造がわかっちゃいましたが、今回はひとヒネリありましたね。さすがベントレーですw
ちなみに、純正スピーカーの音ですが、、
口径の大きさの割には、低域がほとんど伸びず、中高域も芯がない感じでした。
再生音量にもよりますが、エンクロージャーの容量が不十分な感じはしますね。
吸音材を剥がして、先に進みます。
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ドアアウターパネル(1/5)
モジュールパネルをガバっと外したところです。
下から三分の一のところと、10時から4時方向のナナメはサイドインパクトビームっていうんでしょうか、補強のリブが走っています。
白はシンサレートのような素材でできた吸音材のマットです。
アウターパネルの防振を行うために、一旦はがしましょう。
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ドアアウターパネル(4/5)
全体を清掃・脱脂して防振材を貼っていきます。
デッドニングの工法としておなじみですね。
短冊状にカットした材料をアウターパネル一面に貼ります。
ドア全体の重厚なイメージに対して、鉄板そのものは比較的薄い感じですね。
ドアパネルの軽量化のために、高張力鋼板が用いられる例を耳にしたことがありますので、これもそうなんでしょうね。
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ドアアウターパネル(5/5)
アウターパネル作業の復路に入ります。
冒頭ではがした吸音材に、スプレー式接着剤を軽く吹いて、貼り戻します。
下の方に貼ってあるのは、音の拡散材(積水のレアルシルトディフュージョン)です。
後工程のネタバレになっちゃいますが、いま見えているアウターパネル側の空間もエンクロージャーとして活用すべく、モジュールパネルに穴を開けたんですね。ですから、これまで音が来てなかったところに拡散材を貼ることになったわけです。
アウターパネルも驚いてました。♪(゚o゚)♪
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モジュールパネルデッドニング
モジュールパネルを戻し、デッドニングします。
デッドニングの工法ですので、ほぼ全面貼りです。
スピーカー背面(=バッフル取り付け位置)に穴を開けました。右側が元の写真です。
バッフルと接触するラインにぴったり合わせて切り抜いてあります。
なんとなく気が引けて、これより小さくあけてしまうと、アウターパネル側に広がるエンクロージャーの全体の容積は同じでも、内側にちょこっと飛び出した切りのこし部分が障壁になって、バッフル部分内部で音がこもる結果になってしまい、スピーカーのパフォーマンスを最大化させる目的が完全に達成されません。
ここはきっちりのところで切らないといけません。
モジュールパネルを戻し、窓ガラスを固定したら、窓を上下させて引っ掛かりや異音がしないかを確認します。
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スピーカー取付
それではドアの仕上げです。
純正の樹脂製バッフルと、硬質MDFを組み合わせた立体バッフルを取り付けます。
バッフル周囲はお城の城壁の如く、防振材でしっかりと固めます。
スピーカーはBLAMのS 165.100 MG(157,000円)です。
カーボンコンポジットのコーンと、中央のフェーズプラグのコントラストがかっこいいですね。いい仕事してくれそうです♪
吸音材を戻して、ドアトリムを取り付ければドアは完了です。
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大解体(2/3)
まあ、一言で言えば全バラなんですよね\(^o^)/
前カットのツイーターパネルが視界から消えているのがわかりますか? -
大解体(3/3)
運転席側からの記念写真です。
「確かに大変そうだけど、キズ防止の養生をして、あれこれ外しただけだよね。」との声が聞こえますね。違うんですよ。
一番奥のツイーターパネルを取り外すために、ダッシュボード全体を約20センチ。手前に引っ張り出してあるんです。
なぜ20センチか。
そこまでずらさないと、ツイーターパネルが外れなかったというのもありますし、シフトが当たるので、これ以上は下げられないラインということでもあります。(苦しそうなシフト周辺注目)
たかだか20センチですが、ここまで出すには、ダッシュボードに繋がっているハーネス類はほとんど取り外す必要があり、単なる力仕事以上の気苦労がありました。
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ツイーター比較
折角の機会なので、ベントレー様の純正ツイーターを拝んでおきましょう。
直径が60mmほどあり、表面が平らな珍しいユニットです。
こういった構造のスピーカーは初めて見ました。
元祖真っ平らなサブウーファーで、フェーズリニアの「アリアンテ」というのがありましたが。強いて言えばあんな感じでしょうか。
少なくとも、指向性の高い高音域に向いた作りには見えませんねぇ。
最初に試聴させていただいたときに感じた、「芯のなさ」の一因はここにもありそうです。 -
謎ワイヤー
今回、タイムロスに大きく貢献してくれたのがこのワイヤーでした。
グローブボックスを取り外した、奥のカーペットの下あたりから飛び出してました。
ワイヤーの先に鉛玉がついていて、トランク、ボンネットやヒューエルリッドのオープナーを引っ張るワイヤーのように見えます。
しかし、位置的にそんなはずないし、一連の作業で外した覚えはありません。
ということで、夜明け&営業時間を待って、ディーラさんに確認TEL。
「シフトロック解除のワイヤーです。」との回答でした。
多くの国産車の場合、キー、ペダル、エンジンの状態と関係なく、シフトレバーを操作できるようにするための解除ボタンがシフトパネルのあたりにありますよね。このクルマの場合、それが表に無いんですね。
用があるときは、グローブボックスを外して、カーペットの下に隠れているこのワイヤーを探り出して「引っ張る」んだそうです。
せめて指を引っ掛けるリングでもついていれば、なんとなく推測できたんですけど、、これじゃどこかの操作部から外れてるようにしか見えませんよねぇ。
・・・またひとつ賢くなりました(`・ω・´)ゞ
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作業後記
今回はベントレーのサウンドアッププログラムの施工の様子をご覧いただきました。
そうなんです。作業メニューの内容は、防振・バッフル制作・スピーカー交換・スピーカーケーブル交換をパッケージにしたサウンドアッププログラムそのものなんですが、大掛かりな分解を伴うツイーター入れ替えや、金属の切除を伴うバッフル周りの工作が絡んだので、だいぶ騒ぎが大きくなってしまいました。
ダッシュボード周りから外した大きなパーツや、ドアトリムなど、あれこれ安全に保管するために、クルマもう一台分のスペースが必要で、工期も5日間と、通常の5倍かかったこともあり、予算も大人の風格です。
材料費と工賃一式(スピーカー代金含まず)で約35万円といったところになりました。
「ツイーター交換だけで工賃25万」というディーラーさんの価格を引き合いに出すわけじゃありませんが、手間と場所と時間からすれば妥当なところかと思います。
なお、ダッシュボードを降ろさない場合は、当該工賃の15万円が減額になります。
以上が今回の事例のご紹介でした。
同じベントレーのオーナー様はもちろんのこと、ロールス、マイバッハ、アストン、マセラティ、ジャガーなど、相応の気遣いが必要な高額車両のオーナー様もどうぞお気軽にご相談ください。
標準の外観に変更を生じさせない仕上がりは当然のこと、ドアやダッシュボード裏側の加工、配線の引き回しなど、車体への負荷の程度についても、ご要望に合わせて提案させていただきます。
お問い合わせはお気軽にどうぞ。
ご連絡お待ちしておりますm(_ _)m
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電話もお気軽に♪03-5913-8450です!
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おまけ画像
当店のデモボードにサインして、ウェーイ♪と写メ撮ってるおじさんはBLAMの社長さんです。
昨年の夏に来日されたときにお店に来てくれました。(^o^)