ポルシェ911930のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.558(お問い合わせの際にお伝えください)
model
ポルシェ 911 930
system
メインユニット:carrozzeria DEH-P01
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO RX165
リアスピーカー:JBL P6462
パワーアンプ:carrozzeria PRS-D800
ケーブル:SAEC SL-1980、SPC-850comment
ヘッドユニット→アンプ2基+フロント2wayのマルチシステムの事例です。
薄目のドアなので、控えめにアウターバッフル化して高さを稼ぎ、しっかり鳴らせるように配慮しました。
ポルシェ911のダッシュボードです。
ポルシェ乗りの方には説明不要ですが、ポルシェを代表するモデルである911の初期型(901)の後継の930型になります。
1974年から1989年までの15年間に渡って生産されました。(ちなみに最新型は8代目にあたる992型です)
今日の911ブランド価値はこの930によって高められ、固定されたといっても過言ではなく、リヤ置き空冷ボクサーエンジンの様式とともに、車好きに永遠に記憶されるクルマの一つです。
今回の930は、一瞬964と見間違いそうな程、パリッとしたコンディションの930で、オリジナルのアロイホイールもバッチリきまった極上の個体です。
8年前の2011年に初めてご入庫頂き、デッキとフロント・リヤのスピーカー交換と一通り施工させていただきました。
そして今回は、フロントスピーカーの交換と、アンプ搭載をご依頼いただきました。
スピーカーは当店人気のBLUE MOON AUDIOのフラッグシップモデルであるRX165(18万)です。
「このスピーカーは単なる機械ではない。音楽、楽器そのものに近い存在だ。」キャッチコピーの通り、ブルームーンオーディオの思想をフルに体現しているモデルです。
癖のないリニアな特性と有り余るパンチ感で、とても彩度の高い音が特徴で、それなりの価格にもかかわらず、安定的にお買い上げいただいているモデルです。
アンプはカロッツェリアのPRS-D800×2個です。
ヘッドユニットに同じくカロッツェリアのフラッグシップであるDEH-P01をお使いなので、RCA出力でツイーターとウーファーの各チャンネルに1基づつ搭載し、マルチ駆動といたしました。
リヤトレイのJBLスピーカーは、DEH-P01付属のセパレートアンプで鳴らします。
ドアが薄手ということもあり、外観に変更を加えるアウターバッフル式での取り付けになりますが、オリジナルの基調を崩さないよう配慮してデザイン、施工しました。
施工の様子をどうぞ御覧ください♪
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フロントドア
ドアの外観です。
これが完成形の状態です。
ドアトリムはハンドルの後方、前方ともに純正の合皮貼りです。
フラッシュマウントされるツイーターとウーファーは、オリジナル製作したバッフルを介して取り付けてあります。
ウーファーは一見すると、純正と置き換えてネジ止めしただけに見えなくもありませんが、きっちり鳴るように、手間を掛けてアウターバッフル化してあります。
続く5カットに渡って、構造をご説明いたします。 -
BLUE MOON AUDIO RX165
それでは最初に、ユニット周りのクローズアップからです。
ツイーター・ウーファーともに、純正ユニットと同位置につけてありますので、違和感は無いと思います。
ツイーターは、ほぼ純正と同じ高さに収まっていますが、ウーファーの方は、奥行きを稼ぐ目的もあってアウターバッフル化してますので、純正より10ミリ高くなっています。
アウターバッフルというと、鏡餅のようなもっこりを連想されると思いますが、「アウターバッフル」の用語の意味としては、スピーカーを取り付ける面(=バッフル面)が外に出てる。ことを指しますので、もっこり具合とは関係なく、露出していればアウターバッフルの範疇です。
とはいえ、今回は単に外にちゃってるのでアウターです。というオチではなく、インナーパネル(鉄板)からしっかり立ち上げるために、コツコツと?作っています。
次へどうぞ(・◇・)
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アウターバッフル制作(1)
バッフルのベースは2種類の木材を組み合わせて作っています。
土台側(インナーパネル側)はフィンランド産のホワイトバーチ材、トップ側はMDFです。
バッフルとしては比較的薄手の部類に入りますので、共振周波数を分散させるべく、2種類の金属を組み合わせたハイブリッド構造にすることになりました。
バームクーヘンのような貼り合わせ面が見える部分がホワイトバーチですが、直径が3段階に分かれるように加工してあるのがお分かりいただけるでしょうか?
ここに上述の金属の輪っかをはめるんですね。
こういう段付き加工はルーターという木工用切削加工機を使います。 -
アウターバッフル制作(2)
金属1つ目です。
最下段には、スチール(鉄)のリングをはめています。
固定は、この上の別金属とスピーカーと共に4本のボルトで貫通して締め込むことになりますが、遊びがでないような精度で加工してあるので、この段階でも、圧入後は容易に外れないくらいのキッチキチ状態になっています。
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アウターバッフル制作(3)
こちらはアルミ製です。
度々ご紹介しているM&M DESIGNのアルミバッフルです。これも、スチールリング同様に圧入します。
圧入、という語感でご想像のとおり、こちらも前コマのスチールリング同様、キッチキチ精度で密着しております(`・ω・´)ゞ
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アウターバッフル制作(4)
ご説明用にスピーカーグリルをあてがってみました。
前コマのアルミリングの上にスピーカー(のフランジ部分)をおいて、このグリルを被せてボルト固定。ということになります。
密着密着とうるさいので、ここでも密着系の論点にふれておきます。
このグリルと、外周の木材(MDF)との間は、写真の状態では約1ミリほど隙間が空いています。というか空けてあります。
この隙間は、合皮の厚み分です。
実際に装着する時、MDFはこのままではなくて、お化粧用の合皮を貼ることになります。
外側から合皮の端っこが見えないよう、リングの内側にまで貼り込みますので、その厚み分をあらかじめ空けておくわけですね。
バッフル制作に関するご説明は以上です。
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スピーカー配線
配線引き込みの写真です。
ご入庫前までは、JBLのPJ62Cという製品をお使いいただいており、その取付の際にMusicSpiritのswingという当店定番ケーブルを敷設していたのですが、今回、SAECのSPC-850という銘柄に交換しました。
紅白の色合いは似ていますが、こちらのほうが少し太くなっています。
スピーカーケーブルの引き込みはかなり大変です。
ドアから車体に渡る部分のゴムブーツを通すところは、さほどでもないのですが、車体側に入ってからダッシュボード裏にたどり着くまでに、しばらくフロントフェンダー内を前進する部分がありまして、ここが難関なんですね。
周囲に負担をかけないように、そろりそろりと進めたこともあり、だいたい3時間くらいかかってしまいました。
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ドアトリム(裏側)
ドアトリム裏側の加工の様子です。
今回は、これまでのドアチューニングからデッドニングにアップグレードするため、ほとんどまっ平らなインナーパネルは全面貼りでやり直しました。
それに対して、写真のドアトリム側はといいますと、、こちらも現行車の凹凸や空間のある樹脂成形でなく、真っ平らなパーチクルボードに合皮貼りという、なんだか温かみさえ感じてしまうクラシックな作りです。
真っ平らなインナーパネルに、真っ平らなトリムという組み合わせですので、両者は全面的触れあうことになり、一番ビビりやすい状態になります。
ということで、この隙間埋めと、吸音のために、ロシア製のSTP BIPLAST Premiumを全体的に貼りました。
930、964のドアはもともと薄手で外来ノイズも結構飛び込んでくるので、そちら方面の対策にもなっていると思います。
あと、懸案の寒さ対策にもちょっとだけ貢献するかもしれませんね。
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スピーカー背面の音圧処理
前述の通り、930はドアが薄いです。
ウーファーの取り付け深さを稼ぐ目的もあって、寸法が許す限り、バッフルで高さを稼ぎました。その甲斐あって寸法内には収まっていますが、コーンの適性な律動のいう観点からは、コーンの裏面からアウターパネルまでの距離がもう少し欲しいなというところです。
ディメンジョンはどうにもなりませんので、背面で生じる圧の排出の効率化によって解決を図る他ありません。
ということで、レアルシルトディフュージョンの登場です。
これによって、コーンが後ろに下がる時に生じる圧がアウターパネルにあたってまっすぐ返ってこずに、あっちこっちに拡散されるようになります。
なお、コーンが前に出る際に生じる負圧についても、脇からヒューッと入り込みやすくなる分、これはこれで抵抗を減らす作用が期待できます。
この写真の最後に、ネジ穴の位置について触れておきます。
スピーカーホールの外周から均等に離れてるじゃないか。と炎上騒ぎになっては困るので、予防的にお伝えしときます。
これは、純正スピーカーの中心と、ドアトリムのグリルの中心とのズレが原因です。
工作の自由度がある場合は、スピーカーホールを開け直す、トリムを切り直すかして補正することも可能ですが、今回はタイトでしたので、トリム側の中心を基準にネジ穴を決めることで解決を図りました。
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パワーアンプ
最後にアンプの設置状況をご覧いただきます。
多くのパターンだと、トランクのフロアにきれいに並べました!とお伝えするところですが、930はリヤエンジンなので、それは叶いません。
まあ、その分、ボンネット側がラゲッジスペースなので、そちら側に持っていく考え方もありますが、バルクヘッド貫通はそれなりにコスト高です。
ということで、今回の設置場所は助手席のシート下です。
左ハンドル車ですので、写真右が進行方向、手前がサイドシルですね。
冒頭の接続図でお示ししましたように、ツイーターとウーファー別々のアンプでマルチにしてますので、PRS-D800が2基あります。
アンプの右側にある1DINサイズの箱は、ヘッドユニットのDEH-P01付属のセパレートアンプです。
申し上げるまでもありませんが、合計3基のアンプには、DEH-P01からローレベル信号が入力されています。
ここから、フロント2wayとリヤに向けてスピーカーケーブルが伸びていくわけですが、これは当然、同じ長さにしておく必要があります。
リアトランクから持ってくる場合は道のりが長いので、途中で調整の余地があるのですが、助手席下からの短距離の場合は同経路だと調整しきれません。よって、左右で経路を変えてとりまわし、最終的に左右等長さになるようにしています。
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作業後記
今回はポルシェ911(930)の施工事例をご覧いただきました。
911も964以前のモデルになると、世間的には、何が何でも純正キープ!ドアも開けませんっ!という向きもそれなりにいらっしゃいますので、今回の例はそこそこ手を入れた部類に入るのかなと思います。
オーナー様のお好みによって、?スピーカー交換のみ。?スピーカー交換+ブルートゥース対応の1DINデッキに交換して内蔵アンプで手軽に。?セパレートアンプやDSPでより音のブラッシュアップ・音場最適化。などなどいろいろ出来ます。
いずれにしましても、964でも20年、930はきっちり30年は経っていますので、よほど保管状況が良くない限り、純正スピーカーが番傘のように、ダンパーが一切なくなってるケースがほとんどです。
腐食の原因となるドア内の汚れが泥に近い感じで溜まっているケースも何度が目にしましたので、サウンドアッププログラムによるスピーカーリフレッシュ兼メンテナンスが有効だと思います。
どうぞご検討ください。
ご不明点やお見積はお気軽にご連絡ください♪
電話もお気軽に♪03-5913-8450です!
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