ロールス・ロイス ファントム VIIのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。円安の影響で大きく価格が変わっているものもあります。ご了承ください。>
登録日 2025/08/01-
事例No.889(お問い合わせの際にお伝えください)
model
ロールス・ロイス ファントム VII
system
メインユニット:carrozzeria DMH-SZ700
デッドニング:なし
フロントスピーカー:純正
リアスピーカー:純正
パワーアンプ:純正
ケーブル:純正
フロントカメラ:Datasystem MVC811
バックカメラ:Panasonic CY-RC110KD
カメラスイッチャー:Datasystem CSW298comment
古くなったナビをディスプレイオーディオに交換した事例です。
フロント・バックカメラも更新し、ビデオスイッチャーを使ってモニタで確認できるようにしました。
ロールス・ロイス・ファントムの事例紹介です。
ファントムはロールス・ロイスブラントの高級ショーファーカーです。
ロールス・ロイスはイギリスで設立されたロールス・ロイス・リミテッドが製造を開始した車で、その履歴は以下の通りです。
1925年:ファントムI
1929-1935年:ファントムII
1936-1939年:ファントムIII(715台)
1950-1958年:ファントムIV(18台)
1963年:ファントムV(112台)
1968-1991年:ファントムVI(374台)
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1971年:経営破綻し、イギリス政府によって国有化、イギリスのヴィッカーズ(過去に存在した大手重工業グループ)に譲渡、ロールス・ロイス・モーターズとなる。
1998年:フォルクスワーゲングループが買収
2003年:BMWが買収、ロールス・ロイス・モーター・カーズ社として製造販売を開始。(ベントレーブランドは今もVWが継続保有)
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2003-2017年:(BMW入り第一弾)ファントムVII
2017年-:(第二弾)ファントムVIII
第二次大戦から中東戦争あたりにかけて覇権国としての英国の地位が急速に低下する過程で、イギリス経済が斜陽を迎え、ジャガー/ランドローバー(タタ)、MINI(BMW)、MG/ローバー(上海汽車)等と同様に、歴史あるブランドが漂流していく様が見て取れます。
日産自動車も危うい局面を迎えており、本当に他人事ではありませんが、ロールスがBMW資本とはご存じない方が多いのではないでしょうか。
今回お迎えするのは、ファントムVIIです。
法人所有のお車で、お客様の送迎の為に最近ご購入なさった中古車両です。
ご購入段階で設置されていたナビが陳腐化しているため、最新の製品に刷新を希望されたものの、当初ご相談された業者さんでは辞退されたということで、ネット検索を進め、当店にご連絡いただくことに至りました。
その他のご希望は以下でした。
(1)カーナビだと、古くなった地図の更新が面倒なので、サービス提供者による最新な情報を取得できる、ディスプレイオーディオにしたい。
(2)現状ではスマホを繋ぐこともできないので、ハンズフリー通話、楽曲再生といった機能もほしい。
(3)フロントカメラ、バックカメラ共に最新の製品に更新したい。
なお、スピーカー関係は特に不具合が出ておらず、車の使用目的からも必要以上に手をかける意義も薄いため、現状のままでよいとのことでした。
以上の背景から、現状のナビをディスプレイオーディオに入れ替えて、前後のカメラを刷新し、カメラの切り替えを任意に行うためのスイッチャーを加える内容にて承ることとなりました。
以下が使用コンポーネントです。
○ヘッドユニット
カロッツェリアのDMH-SZ700(オープン価格)です。
従来からのラインアップである○サイバーナビ、○サイバーナビX、○楽ナビといったナビゲーションシステムとはことなり、ナビ機能とオーディオビジュアルの機能の一部をアップルとグーグルが提供するサービスに委ねるディスプレーオーディオです。
ナビ機能を内包しないので、商品カテゴリとしてはカーAV(オーディオデッキ)の仲間になっており、カーナビ同様の大きなディスプレイに、スマホが送出する情報を表示して、ナビやメッセージング、ストリーミング音楽再生などのサービスを利用できるようになっています。
今回のDMH-SZ700は、インストゥルメントパネルに設けられている2DIN枠に収まる6.8V型の製品で、ソースはUSB、ブルートゥース、スマートフォン、HDMI入力、AV入力に対応(DVD・CDドライブはなし)し、今回は活用しませんが、カロッツェリアお得意のネットワークモード接続もできる製品です。
〇接続方法
DMH-SZ700の設置は旧ナビと入れ替えて、音声出力は純正オーディオのAUXに入力することとしました。
純正オーディオシステムは(恐らく)セパレートアンプを介して12スピーカーを鳴らす仕組みになっているので、そのシステムには手を付けず、ディスプレイオーディオの出力を一つのソースとして、AUXに入力するのが最もローコストで仕上がる方法だからです。
カメラについては、前後カメラモジュールからの2つの信号をデータシステムのカメラスイッチャーを介在させて1つの信号としてディスプレイオーディオに入力しています。
スイッチャーを切り替えるスイッチはステアリングコラムの左側に取り付けて、いつでも切り替えられるようになっています。
以上をもって、ロールス・ロイスの古ナビ→ディスプレイオーディオへの更新と、前後カメラの入れ替えが完了しました。
ダッシュボード周りの分解に加えて、カメラ通線の為にルーフの内装を降ろす作業も加わり、初回の取り組みということもあって激闘は約一週間に及びました。
費用はディスプレイオーディオ、前後二つのカメラ、スイッチャーと工賃を含めて税込60万円となりました。
それでは施工の様子をご覧ください♪
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施工前のダッシュボード
施工前のダッシュボードの様子です。
ダッシュボード中央に見えるのが旧ナビです。
製品としてはパイオニアの楽ナビ(オンダッシュタイプ)でした。分解してみると、いわゆる純正ナビのモニタが内部に残されていたので、交換を依頼された業者さんが取り付けたのだろうと推察されます。
ナビに用がないときに画面がクルっと下を向いて、時計が埋め込まれたパネルが顔を出すギミックが維持されていて、かなりの苦労の後が感じられました。
左側のグローブボックス内に見えるのは楽ナビの本体です。
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ディスプレイオーディオ
ディスプレイオーディオへの換装後の様子です。
製品はcarrozzeria DMH-SZ700です。
オーナー様との協議によって、回転カバーの機構は取り外すことになりましたので、画面を固定する枠を製作して設置しています。
HDMIとUSBケーブルは、運転席と助手席の間にある、コンソールボックスの中に引き出しました。
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純正フロントカメラ
お預かり時の純正フロントカメラの設置状況です。
ミラーが組み込まれていて、左右の画像をキャッチするトンガリ形状のカメラユニットですね。
配線をたどってみると、コネクタは市販のものでないように思えたので、純正のカメラではないかと判断しています。
念のためディーラーで問い合わせもしてみたのですが、この車にはカメラオプションは装着されていないということで、配線図の提供はしていただけませんでした。
しかし、カメラの映像をどうやって見るのかはわかりませんでした。
購入者の依頼に応じて、多数のカスタマイズを施して販売する車らしいので、すっきりしないことが多いです。
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フロントカメラ
変更後のカメラの様子です。
DatasystemのMVC811というマルチビューカメラです。
リヤカメラとして高いシェアを誇っているパナソニックのCY-RC110KDの水平画角が162度であるのに対し、こちらは180度の広角カメラで、付属の切り替えスイッチを操作することで、フロント/リアの様々な用途に使える製品です。
ハンドル付近に設置するスイッチによって、以下の6パターンの映像を受け取ることができます。
(1)ワイドビュー(180度)
(2)ノーマルビュー(120度)
(3)コーナービュー(正面を省略して左右方向だけを組み合わせた2分割画像)
(4)トップビュー(リアカメラ用途の見下ろすような画角)
(5)上段ワイドビュー+下段コーナービュー(3分割画面)
(6)上段ワイドビュー+下段トップビュー(上段にリア遠景・下段にリアバンパー下周り)
製品紹介ビデオ
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新旧カメラ比較
左側が純正カメラで、右側が新しく取り付けるカメラです。
純正カメラは、左右にカメラがあるのに対して、MVC811は超広角レンズでとらえた一つの画像を信号処理して表示させています。
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カメラスイッチャー用スイッチ
続いて、スイッチャースイッチの機能紹介をいたします。
繰り返しになりますが、マルチカメラスイッチャーは、DatasystemのCSW298を使っています。
黄色が見える二つのスイッチの内、上部がスイッチャーの電源スイッチです。
これをONすることで、スイッチャーが機能するようになります。
この状態で、シフトをリバースに入れると、ディスプレイオーディオにバックカメラの映像が表示されます。(当然ながら別途操作は不要です)
下のスイッチを押すと、走行状態、シフトの位置に関係なく、フロントカメラの映像が表示されます。
引き続き、(下の)スイッチを押すごとに、前カットでご紹介した、バックカメラ画像を含む6パターンの画像が順番に表示されます。
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バックカメラ取付
バックカメラの様子です。
写真は純正の位置で既に差し替えが完了している状態です。
前述の通り、特殊機能を持たせたフロントのマルチビューカメラではなく、安価な後方撮影に特化した広角カメラで、当店ではスタンダードとなっているPanasonic CY-RC110KDです。
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純正AUXポートの加工1/2
グローブボックス内に設けられている純正オーディオシステムへのAUX入力ポートです。
冒頭でご案内しましたように、今回設置するディスプレイオーディオの音声出力は、AUXから入力します。
AUXは写真の1ポートしかありませんし、実務的にはディスプレイオーディオからの出力→純正オーディオへの入力はダッシュボードの裏側でダイレクトに接続するになりますので、写真のように外向きにポートを維持する必要は無くなります。
よって、ここはフタをしてしまおうと思います。
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GPSアンテナ設置
GPSアンテナの設置状況です。
フロントガラスのミラー裏辺りに、GPSアンテナが設置されていたので、入れ替えて取り付けしました。
最初に(楽ナビの)取付を担当された業者さんはいろいろ工夫されていますね。頭が下がります。
アンテナ関係としては、地デジ用のアンテナも取り付けられていたのですが、ディスプレイオーディオには地上波放送を受信する機能はありませんので、撤去しておきました。
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資料映像-2DIN固定用枠制作
ディスプレイオーディオのモニタを固定する枠です。
モニターが回転するギミックは再現しないものの、既存の内部構造との兼ね合いで、独特な形になりました。
この固定枠に、本体を固定して車体に固定したら、周囲のパネルを戻していきます。
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資料映像-激闘の記録1
ダッシュボードのパネル部分を外しているところです。
実は、ナビ設置部分にアクセスする道のりとしては、この作業は一番最後なんです。
実は、ダッシュボードのパネルを外すには、まずAピラーのカバーを外す必要があります。そしてさらに、Aピラーカバーを外すには、ルーフの内装を降ろさなければならない(後出)という、地獄の構造になっております。
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資料映像-激闘の記録2
長い道のりの第一歩。ルーフ内装を降ろしているところです。
この後、やっとAピラーカバーを外すことができて、その後、前カットのようにダッシュボードのパネルを外せるようになるというわけです。
さすが(超)高級車ですね。ルーフに防音施工がしっかり施されています。
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取り外したパーツ群
もともとは1台の車の容積・面積に収まっているパーツたちも、ばらしてしまうと何倍にもなってしまいますね。
カーオーディオプロショップに求められる一番の能力は「記憶力」かもしれません。。
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作業後記
今回はロールス・ロイス・ファントムVIIのナビと前後カメラの更新事例をご覧いただきました。
ホント、ナビの陳腐化は車種・車格に関係なく、太陽の日差しのように等しく訪れるんですね。
CPUやメモリの集積度の向上とともに、電装品の性能は上がってくるので、どんなに普遍的な美しさをもつ車でも、電装品の陳腐化スピードはPC並です。
オーディオ部分のみの改善であれば、ヘッド自体には触らず、スピーカー出力をプロセッサーに取り込む方法もありますが、ナビ機能そのものをアップデートしたい場合は、やはり本丸に手を入れざるを得ません。
もともとの純正ナビを取り外してしまってよいタイプ、残しておかなければいけないタイプとがあり、構造の複雑さも様々ですが、今回の事例のように、モニターの設置部分の構造、内装の構造が込み入っているようなパターンでも、(非常に手間がかかるものの)なんとかしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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これまでに、今回と同様のナビの更新案件は数多くお任せいただきました。
その中から、25例をピックアップして1ページにまとめ、ご覧いただけるように準備しております。
ご興味のある方は、以下よりご覧になってください。
古い!遅い!動かない!純正ナビ・純正オーディオ・交換事例紹介!
ずっと乗っていたいけど、これはどうしたものかなぁ。。と暗礁に乗り上げてしまったお客様。
ご予算に応じて、抜本的な解決を提案させていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせください♪♪
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