メルセデスベンツCクラスC220dのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.878(お問い合わせの際にお伝えください)
model
メルセデスベンツ Cクラス C220d
system
メインユニット:純正
デッドニング:なし
フロントスピーカー:HELIX Ci3 K100.2FM-S3
センター:なし
リアスピーカー:純正
サブウーファー:純正
パワーアンプ:carrozzeria GM-D2400
ケーブル:純正、audiotechnicacomment
フロントスピーカーを2way化して中高音域の質を上げ、足元のウーファーについても運転席側を追加して、左右のバランスをとりました。
フロント2wayとリアスピーカー駆動用と、足元ウーファー駆動用にそれぞれ4chアンプを入れて音質&パワーを追求しました。
メルセデスベンツ・Cクラス・C220d(S206)の事例紹介です。
Cクラスはメルセデスベンツの乗用車として歴史のあるミドルサイズの車です。
その源流は1982年生まれの190シリーズ(W201型)になります。
当時の周辺環境を振り返ります。1970年代後半のベンツのセダンのラインアップは、(初代Sクラスの)W116と、(現Eクラスの源流にあたる)W123の2グレード体制でした。1980年代に入ると、Sクラスは偉い方と怖い方に大人気だったW126に代替りし、引き続きW123との2グレード体制でした。
その後1982年になり、よりコンパクトなモデルとして発売されたのが、W201(190/190E/190D)でした。
W201は日本の5ナンバー規格に収まるほどのコンパクトなセダンだったため、それまでコンパクト扱いだったW123 はミディアムサイズへ格上げされ、(大)W126(中)W123(小)W201の3グレード体制となりました。
ちなみに、(中)のW123は1986年にW124へとモデルチェンジされて、晴れて初代「Eクラス」のブランドが与えられました。同様に、(小)W201は1994年にW202となり、こちらが初代Cクラスとなりました。
その後Cクラスは以下のようにモデルチェンジを重ねて現在に至ります。
各モデルに設定されているボディ・バリエーションは併記の通りで、W:セダン、Sステーションワゴン(オールテレイン)、C:クーペ、A:カブリオレを表しています。
(1994年-)W202/S202
(2000年-)W203/S203/C203
(2007年-)W204/S204/C204
(2014年-)W205/S205/C205/A205
(2021年・現行)W206/S206
今回ご登場いただくのは、現行モデルとなる5代目(S206型)のC220dです。
Sですのでステーションワゴンタイプですね。オーナー様は兼ねてより当店をご利用いただいているお客様のご家族です。
良い音を楽しみたい♪というごく普通の欲求もあったと思いますが、その背景には、この車特有のハンデがあるようでした。
その背景の起源は、一つ前のW205型にあります。
メルセデスのフロントスピーカーレイアウトは、フロント2way(ミラー裏のツイーターとドアの10センチスピーカー)+足元サブウーファーです。グレードによってセンタースピーカーが加わったり、ツイーターが無かったりという変化はありますが、これが基本です。
文字で表現すると、問題なさげに見えるのですが、W205の前期型では、足元サブウーファーが助手席側にしかなく、プレミアムオーディオ(ブルメスター)を選ぶと、運転席側にも設置されるという謎仕様でした。
「サブウーファー」と名がつくユニットは最低音域のモノラル信号を再生します。(2つ付ける場合は別として)基本的にステレオの概念がなく、また、低い音は指向性が低いため、ツイーターやドアスピーカーのように向きや配置はシビアでなくても良いということになってます。そういった常識からすれば、片側にしかなくてもいい。と解釈できなくもありません。
しかしながらメルセデスの標準オーディオの場合、中高音域はドアの10センチスピーカーだけですので、正直言ってこれだけでは量感が乏しく、助手席側だけにあるサブウーファーではエネルギー不足の感があります。そればかりか、むしろ片側に引っ張られて、せっかくドアスピーカーが頑張っているステレオ感が崩れてしまうという、なんとも微妙な現実に直面していました。
しかしながらやはり、クレームが寄せられたのでしょう、W205の後期型になると、標準オーディオでもちゃんと両側に取り付けられるようになり、ホッと一安心というところでした。
がしかし、不確実性の時代には何が起こるかわかりません!!5代目となるW206の登場に際して、あろうことか、再度「助手席側だけ仕様」に戻されてしまったのです。
これはやっぱり困ります!!ということで今回は、以下の2つの課題解決がテーマとなりました。
(1)低音域のバランスの悪さの解消。
(2)中高音域の音質アップのための2way化。
それぞれへの対応策は以下です。
(1)については、運転席側サブウーファーユニットを調達して取り付け。
(2)については、車外2wayスピーカーの取り付け。
(3)(1)でチャンネル数が増えるのでアンプ追加
(4)(2)の高音質化のためにアンプ追加
※アンプを合計2台設置しました。
以下が使用コンポーネントです。
〇ヘッドユニット→純正セパレートアンプ→社外外部アンプ
高精細ワイドディスプレイ搭載の先進的ヘッドユニットで、MBUX(Mercedes-Benz User Experience)システムで制御されています。
MBUXは、メルセデスがCOMANDに代えて導入した次世代インフォテインメントシステムで、AR(拡張現実)ナビや、自由にカスタマイズできる画面UI、OTAアップデート対応等、最新のテクノロジーをふんだんに取り入れています。
操作系も、COMMAND時代のダイヤル+ボタン中心から、タッチスクリーン/タッチパッド/音声へとシフトしています。
当然ながら、オーディオの操作もこのヘッドユニットを介して行う訳ですが、本体部分のユニット(アンプ部含む)はセンターコンソールの奥に設置されています。
アンプの仕様としては、
(A)フロントドアのスピーカー2ch(※純正オーディオにはツイーター無し)
(B)リヤドアのスピーカー2ch
(C)助手席側の足元にあるサブウーファー1ch
の合計5ch構成になっています。
これらの出力のうち、
(A)と(B)を4chアンプに入力して、フロント2wayとリヤスピーカを駆動し、(C)をもう一台の4chアンプにいれて、助手席ウーファー+今回追加する運転席側ウーファーの2つを駆動します。
使用するアンプはcarrozzeriaのGM-D2400(オープン価格)です。
昨年の11月頃に発売になったアンプで、ロングセラー商品だったGM-D1400II の後継品です。
改良点としては、1. ハイレゾ音源対応、2. 放熱性能の向上などがアピールされていますが、当店として評価したいのは、旧モデルでは省かれていた「ゲイン調整」ができるようになった点ですね。
今回の組み込みにおいて、以下の調整が必要になるわけですが、、
〇フロントとリヤの出力バランス調整
〇左右のウーファーの出力バランス調整
ゲインをいじることによって、これらが簡単に実現できます。まあ、一般的なアンプはたいがいゲインがついているので、大騒ぎするほどの事でもないのですが(笑)、GM-D2400ほどのコンパクトさ(181(W)mm×38(H)mm×64(D)mm・旧モデルと同サイズ)で、ちゃんとゲインがついてくれてると有難い。ということです。
〇スピーカー
フロント2way用として、ヘリックスのCi3 K100.2FM-S3(税込66,000円)を使いました。
これは20mmツィーターと10cmミッドレンジに、パッシブネットワークを組み合わせた2wayセパレートセットです。
複数の欧州車に採用されている10センチユニットの交換用として、大変重宝です。
さらには、オプションとして、車種別マウント「 Flex Mount」が販売されているので、メルセデス、BMW、MINI,ポルシェ、ジャガー/ランドローバーといった車種へのトレードインが容易になりました。これは大変気が利いていますね。さすがです。
Ci3には、この10センチのほか、13センチ、16センチ(165mm)とサイズが揃っており、同軸タイプもあるので、大変使いやすい製品だと思います。
運転席足元用のウーファーユニットは、プレミアムオーディオ(ブルメスター3Dサラウンドシステム)用に設定されている純正部品をドイツから調達しました。
(当店での販売価格は税込33,000円)
インストールに当たっては、それなりにバラシ作業は必要になるものの、前述の Flex Mountのおかげもあって、ほぼボルトオンといっていいくらいの作業難易度でクリアできました。
ドア防振については、今回はコスト抑制のために施工しませんでした。
以上をもって、C220d(S206)のフロントスピーカーの2way化と、運転席側足元ウーファー追加による、低音域の最適化が実現しました。
多くのCクラスオーナー様が「何とかしたい!」と感じていらっしゃるところをキッチリ解決したプランと言えると思います。
費用的には、2wayスピーカー・純正足元ウーファーの商品代と、組み込みに伴う脱着費用等一式で、税込238,832円となりました。
それでは施工の様子をどうぞご覧ください♪
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フロントドア
フロントドアの外観です。
ドイツ車らしい、節度のある落ち着いた空気感の中、ドアオープナー、スピーカーと、カドを丸めた枠で囲った軽やかな演出が効いています。
標準オーディオ車のフロントドアのスピーカーレイアウトはハンドル前方の10cmウーファーのみです。
ミラー裏の三角グリルの中はお留守で、プレミアムオーディオを選んだ際に、ツイーターユニットが入ります。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
内装を外すと、モジュール構造のパネルが現れます。
同世代のモデルは同じ思想で設計されるのでしょう。 最近施工したS500とだいぶ似てます。
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純正スピーカーキャリア
純正スピーカーを取り外した状態です。
右下、16時の位置に見えるのがロック機構ですね。
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スピーカー組付け
ヘリックスのスピーカーを取り付けたところです。
スピーカーキャリアへの取り付けに際して、冒頭でご紹介した10cmミッドレンジ用 Flex Mountを使って、Ci3 K100.2FM-S3のウーファーを組みつけました。
こちらもネジ・接着剤無しのパッチン固定です。
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ツイーター取り付け
ツイーターを取り付けるところです。
別売りされている純正トレードイン用の Flex Mountには、ウーファー(ドアスピーカー)の他、ツイーター用も用意されています。
今回は、ツイーター用も調達して組付けました。
パチン、パチンとストレスなく組み上げることができました。
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助手席側足元
助手席の足元の様子です。
バスタブ状に成型されているフロアマットを外すと、キックパネル部分に取り付けられた電源ユニットとサブウーファーアッシーが確認できます。
ウーファーには、ローパスされた(高音域をカットされた)信号が入力されていますが、カットオフ周波数(遮断周波数)は一般的なサブウーファー帯域である80Hzあたりではなく、200〜120Hzあたりと、チョイ高めになっています。
これは、近接する帯域を担当するドアウーファーが10センチと小径のため、一般的な16センチクラスのウーファーに比べて再生周波数の下限が高いことが影響しているのだろうと思います。
パワーアンプの設置については、4つあとのカットでお目にかけますが、アンプ用の電源はバッ直ではなく、この電源ユニットから取り出しています。
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運転席足元
運転席側のフロアマットをはがしたところです。
冒頭で長々とお話ししたように、こちら側にはスピーカーが取り付けられておらず、ブランクキャップでフタされています。
こちらも冒頭でお話ししたように、サブウーファー帯域の低い音は指向性が低くて、あちこちに伝わっていくので、一つあれば足りるという理屈も通らなくはないのですが、車のようにリスナーとスピーカー群が近い前提で、今回のように極端に助手席側にオフセットさせてしまうと、エネルギーが偏ってしまい、非常にバランスの悪い音になってしまいます。
ということで、運転席側にもウーファーを設置してバランスをとろうというわけです。
で、結論として、運転席用の純正アッシー部品を取り寄せてそのまま取り付けるか、あるいはそのアッシーのスピーカー部分だけ差し替えるかの二択になります。
判断の根拠としては、まず、国内ではサードパーティーから交換用ユニットが販売されていないこと(ヨーロッパでは1、2社ある様子)が挙げられます。次いで、運転席用ユニットをディーラーから取り寄せて、諸経費を乗せて当店で販売したとしても、税込33,000円程度で済むため、非常に特殊な形状のデータを作って3Dプリンタで成形して・・といったコストをかける合理性がないためです。
また、助手席は純正を使う前提であれば、運転席側だけユニットを入れ替えてグレードアップする妥当性もないわけで、純正品ポン付けがもっとも合理的という判断です。
なお、足元両方のスピーカーユニットをグレードアップしたい場合は、両側のアッシーからスピーカーを取り外して、バッフルを組み込んで差し替えるという対応になります。 -
運転席側用オプションスピーカー取り付け
純正アッシーに交換したところです。
注文は国内のディーラーで受けてくれるのですが、本国(ドイツ)オーダーだったので、1ヶ月ほどかかりました。
当店では、33,000円(税込)で提供させていただいています。(為替により変動あり)
これにて、左右共に純正部品が揃ったわけですが、スピーカーの抵抗値(インピーダンス)が、助手席の4Ωに対して、運転席が3Ωと違っているため、同じ電圧の信号を入れると、抵抗が低い運転席側の音量が大きくなってしまいます。この点はアンプのゲインを調整することで解決します。
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メインユニット本体
ダッシュボードに移動して、大型ディスプレイを外したところです。
この奥に、メインユニットの本体部分が見えました。
ヒートシンク(放熱板)があるので、アンプ機能も同居していることがわかります。
事前に入手していた配線図を参考に、導通テストをして、今回取り付ける外部アンプへの入力と出力を繋ぐ加工をします。
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外部アンプ取り付け
同じ場所の写真です。
メインユニットの手前にアンプ2台が設置できるスペースがありました。
使用したアンプは、carrozzeria GM-D2400です。
2個のアンプは、1台でフロント、リアを鳴らします。もう1台を、ブリッジ接続にして、左右の足元サブウーファーにつないでいます。(システム図参照のこと)
〇フロント・リアのボリュームのバランス(フェーダー)は純正モニタ上で調整できるわけですが、ちょうど真ん中(ゼロ)の状態のときに、前後が同じボリュームになるように微調整しておく必要があります。これはアンプに備わっているゲイン(前2chと後2ch)で調整しておきます。
〇左右の足元サブウーファーは、左右でインビーダンスが違っているので、同じ電圧を供給すると、抵抗の低い方の音量が大きくなってしまいます。これについては、サブウーファー用のアンプのゲイン(左側1chと右側1ch)(※ブリッジ接続しています)で調整しておきます。
この初期調整を済ませておけば、あとはアンプの存在を気にする必要はなく、特別な操作も必要ありません。
従前どおり、純正モニター上のオーディオコントロールで操作(ボリューム・左右バランス・前後フェーダー)すれば、意図通りに変化します。
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作業後記
今回はメルセデス・ベンツ・C220dのサウンドアップ事例をご覧いただきました。
内容的には、(1)フロントの2way化による中高音域の音質改善と、(2)運転席側ウーファーユニット追加による低音域のバランス向上でした。
メルセデスの一部モデルの標準オーディオでは、セパレートツイーターが省かれています。
これはお客様の選択の結果であるので、良いも悪いもないのですが、音像の輪郭への寄与が最も高い、高音域のユニットが省かれていると、再生帯域のバランスは良いと言えないため、ご不満を感じられる方は少なくないように思います。
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しかしながら、当事例で御覧頂いたように、ツイーターレス仕様であっても、プレミアムオーディオ用のツイーターベゼルはついているので、市販の2wayスピーカーセットを使えば、容易に2way化が実現できます。
【価格情報1】
今回は足元ウーファーまで手を付けましたが、2way化だけで試算すると以下のような見積もりになります。
HELIX Ci3 K100.2FM-S3 + 取り付け部品 73,700円
取り付け施工費 17,050円
税込合計90,750円
※ドア防振をやる場合は別途必要
また、Cクラスの呪いというのか、音像の歪みの原因となってしまっている片側サブウーファー仕様もなかなかの問題ですね。
これについても、御覧頂いたように純正部品が調達可能なので、改善の道はあります。
ただ、こちらについては、純正オーディオ用のアンプに、追加したウーファーを駆動するためのチャンネルがないため、アンプ機能の追加が必要です。
2way化とサブウーファー追加の両方を検討される場合、8chアンプを内蔵したDSPアンプを取り付けて、フロント2way+サブウーファー+リヤの8ch(8スピーカー)すべてを制御する方法が、音質的なパフォーマンスは良いです。
この場合、チャンネル不足が解消されるのは当然のこととして、すべてのユニットについて、
・クロスオーバー(再生帯域調整)
・タイムアライメント(発音タイミング調整)
・イコライジング(帯域別音量調整)
の3点を調整し、リスニングポイントにフォーカスを合わせた音作りができるのが魅力です。
【価格情報2】
今回の事例をDSPアンプ駆動(audison AF C8.14 bit)に変更した場合の概算コストは以下の感じになります。
税込合計388,620円(ドア防振(デッドニング)で施工した場合)
税込合計376,620円(ドア防振(軽めのドアチューニング)で施工した場合)
これに対して、今回の事例のように、コンパクトな4ch外部アンプを2台使って対処する方法もありです。
接続方法などの説明は本文と重複しますので省きますが、音質面に関しては、DSPのようなレベルでの調整はできないものの、ツイーター追加によって高音域がシャープになり、中音域の解像度もあがり、両足元の低音域のバランスも改善するわけですから、【純正オーディオのグレードアップ版】として捉えればコストバランスから行っても、非常に価値のある選択肢であると思います。
【価格情報3】
本文中でもご案内しました通り、税込総額238,832円で済みます。
まとめますと
スピーカー2way化のみ:
税込合計90,750円(ドア防振別)
2way化+運転席サブウーファー追加+4chアンプ2台使用:
238,832円
2way化+運転席サブウーファー追加+DSPアンプ使用:
計376,620円-388,620円
といったところになります。。
お客様の志向によって、最適解は様々だと思います。
Cクラスにお乗りで、音質アップをお考えのオーナー様がいらっしゃいましたら、どうぞご検討ください。
どうぞお気軽にお問い合わせください♪♪
直接のお電話もお気軽に♪03-5913-8450です!
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