ホンダフィットe:HEV RSのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.869(お問い合わせの際にお伝えください)
model
ホンダ フィット e:HEV RS
system
メインユニット:Honda CONNECTディスプレイ
デッドニング:フロント、リア、ルーフ、フロア
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO VX165
リアスピーカー:純正
パワーアンプ:内蔵
ケーブル:SAECcomment
ドア4枚、ルーフ、フロアをデッドニングし、フロントスピーカー交換とAピラーへのツイーター埋め込みを実施した事例です。
車両を丸々一台防振したことになり、外来ノイズが格段に減りました。ドアの開閉音も含めて、質感がグッと向上しました。
ホンダ・フィットの事例紹介です。
フィットはホンダの小型乗用車の主力中の主力車種です。
生産開始は2001年で、CITY(1981-1995年)→ロゴ(1996-2001年)の後継車としてデビューしました。
同車より2年先行して販売開始されたトヨタ・ヴィッツが開拓した、価格優位性だけでない、質感を高めた1リッタークラスのコンパクトカー市場に参入する形でのスタートとなり、マツダ・デミオや日産・マーチといったプレイヤーとともに、市場の拡大に向けて切磋琢磨する展開をたどります。
モデル的には、現行車で4代目を数えており、初代GD型(2001-2007年)、2代目GE型(2007-2013年)、3代目GS(2013-2020年)、4代目GR/GS型(2020年-)と、主力車種らしくコンスタントにモデルチェンジを重ねてきました。
今回ご登場いただくのは、最新型のe:HEV RSです。
e:HEVはいわゆるハイブリッドなのですが、4代目へのモデルチェンジに際して、ホンダのコンパクトカーとして初めてラインアップに加わった「2モーター方式のハイブリッドモデル」に与えられた名称です。
オーナー様は当店のご利用2回目のお客様です。
前回は、 4代目デミオ(DJ型)において、ドアとルーフのデッドニングをご依頼いただきました。その際は、効果の大きさに大変ご満足いただけたようで、乗り換えとなったフィットでも是非!とご連絡いただきました。
まず、車向けのデッドニング、あるいは防音関係の施工メニューの整理です。
当店では以下に対応しています。
(1)ドア(アウターパネル、インナーパネル、内装)
スピーカーの稼働条件の整備が主目的。ドアの気密性と振動に対する耐性を高めて、エンクロージャーとして機能するように仕立てる。
外来ノイズの侵入を防ぐ効果も大きい。
ブチルゴムとアルミのハイブリッド材がメイン。
(2)ルーフ(ルーフパネル、ルーフ内装)
室内の静寂性向上が目的。軽くて薄い高張力鋼板特有のパラパラ雨音の緩和でご依頼いただく機会が多い。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材と化学わた(シンサレート)の合わせ技が定番。
(3)フロア(室内フロア、トランクフロア)
ロードノイズの侵入防止が目的。ボディの底にあたる、室内・トランクのフロアに加えて、エンジンルームとの境であるバルクヘッドにも施工する。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材。厚めの材料を使うか、重ね貼りがおすすめ。
(4)タイヤハウス
ロードノイズの侵入防止が目的。音の直接の発生源であるタイヤ周りを抑え込む。フロアデッドニングと併用することで効果は最大に。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材。
(5)ボンネット
エンジンノイズが車外に響くのを防ぐ。※室内からはほとんど違いが判りません。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材、ウレタンとアルミのハイブリッド材(レアルシルト)
(6)サイドシルとピラー(A・B・Cピラー)
車の構造上、空洞になっているピラーとサイドシルを埋めてしまうことで、空洞内に響くノイズの共鳴をゼロにし、同時に外来ノイズの侵入も防止するという、実効性の高い工法。
使用素材は発泡ウレタン。ピラーの上の方から流し込みます。
全部を列挙するとこんなところになります。
数字の順が施工依頼の多い順で、ドア、ルーフ、フロアまでが頻繁にご依頼いただく3メニューですね。
当店はオーディオ屋さんですから、(1)ドア関係はずっとやってますが、ここ10数年でエコ系の車が増え、強度はあるけど薄い鉄板を多用するようになり、ロードノイズに加えて、バラバラバラと派手な雨音が耳につくようになったため、(2)ルーフ(3)フロアの施工をご依頼いただく機会が増えました。
時々(4)タイヤハウスで、ごくたまに(5)ボンネット(6)ピラーとシルも含めたコンプリートを希望される機会があるといった感じです。
今回はフロントスピーカーの交換に加えて、定番の(1)ドア(2)ルーフ(3)フロアのデッドニング3点セットをご依頼いただきました。
以下、施工箇所とスピーカーのご説明です。
〇ドアデッドニング
当コーナーでよくご紹介している、スピーカー交換と同時に施工するデッドニングと同等の内容です。アウターパネルとインナーパネルの両面に施工しました。
スピーカー交換を実施したフロントのみならず、リヤドアにも施工しました。
使用素材は Dr.Artex(ドクター・アルテックス)のGOLD HGを使いました。
〇ルーフデッドニング
ルーフ内装を降ろして、ルーフの鉄板に対して施工しました。
使用素材は FOCALのB.A.M XXXLという素材です。ブチルゴムとアルミに発泡フォームを加えた3層複合材です。
※発泡フォームに高周波減衰効果が期待できるため、上述のシンサレートは使っていません。
〇フロアデッドニング
エンジンルーム方面のバルクヘッドから、室内のフロア、ラゲッジルームに至るまで、車体全体に対して貼りこみました(バッテリー部分除く)
使用素材はDr.Artex(ドクター・アルテックス)のGOLD HGです。
〇スピーカー
BLUE MOON AUDIOのVX165(税込132,000円)をお選びいただきました。
ブルームーンオーディオのスピーカーの新ミドルグレード・モデルとして、多くのユーザー様から高い評価を集めている製品です。
そのリニアで透明でパワフルな音の評価に加えて、ネットワークがツイーター用とウーファー用に分かれているので、多くの標準オーディオの車のように、フルレンジの配線がスピーカーの根元まで来ていれば、足りない配線を延長するだけでスムースにインストールできる点もポイントです。
インストールに関しては、MDF製カスタムバッフルを介してウーファー(ドアスピーカー)を取り付け、ドア防振は上述のとおり、制振力の強いデッドニンググレードにて施工しました。
ツイーターについては、フィットにはもともと設定がないため、ツイーターマウント(ポッド)を使って後付けするか、埋め込みのいずれかになるわけですが、今回はオーナー様のご希望により、Aピラーに埋め込むスタイルをとることになりました。
スピーカー配線に関しては、純正ナビの内蔵4chアンプをフロント2way(ツイーターとドアウーファー)に割り当てる、バイアンプ接続を採用し、ひずみの少ないクリアな音を目指しました。
以上をもって、フィットのスピーカーインストールと、ドア・ルーフ・フロアの「車一台まるっとデッドニング♪」が完了しました。
費用的には、スピーカー製品とインストール費用、デッドニング材と施工費用すべて入れて税込678,150円となりました。
(スピーカーとインストールを除いた防振関係に限ると、費用的には、45万円+消費税といった水準になります。内訳としては、ドア4枚で12万、ルーフで13万、フロアで20万といったところです。)
それでは施工の様子をご覧ください♪
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フロントドア
フロントドアの外観です。
ホンダのデザインは総じて、シャープなラインが多用され、エッジが効いたエンティティが多くみられるように思いますが、この代のフィットは一転して、やわらかく穏やかな印象に変わっています。
開発者インタビューかなにかで、シトロエンのC3がもつ「心地よさ」を意識したと説明されてたのを目にしたことがあります。
この柔らかさは関係があるのかもしれません。
スピーカーレイアウトについては、フィットは前後4スピーカーが標準で、ツイーターの設定はありません。
今回は、Aピラーにツイーターを埋め込み取り付けして、フロント2way(4スピーカー)とし、リヤはキャンセルすることにします。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
サービスホールは流行りのパネルではなくて、ビニールで閉じる、ベーシックな設計です。
黒いブチルゴムは、謎に除去しにくい、ホンダオリジナルレシピ?のブチルゴムです。
先日施工したステップワゴンでは、ビニールにゴムシートがラミネートされていて、遮音性能を加えてあったのですが、フィットのような小型車には、そういった配慮はされていない様子です。
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アウターパネル作業
アウターパネルの作業が終わったところです。
前出のホンダ・ブチルをキレイに除去し、ドア全体の清掃と脱脂を済ませたら、アウターパネルに短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
純正スピーカーも外してありますね。
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インナーパネル作業
インナーパネル側の作業が終わったところです。
スピーカー配線を引き込み、MDF材でバッフルを製作して、スピーカーを取り付けます。
サービスホールを塞いで密閉状態を作り、スピーカーから発せられる音に対する共振、ならびにその結果としての共鳴を抑制することで、薄い鉄板でできた穴の開いたドアをしっかりとしたエンクロージュアに仕立てるために、インナー側は全面貼りで仕上げます。
冒頭のスピーカー説明のところで触れましたが、今回使ったVX165に付属しているネットワークは、ウーファー用とネットワーク用が分かれているので、ウーファーとツイーターの取り付け箇所が離れている場合、施工性が良いです。
今回は、ウーファー用のネットワークをユニットの真裏に固定しています。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の作業が終わったところです。
フロント同様に、ブチルゴムとの格闘に勝利したら、内外パネルの清掃と脱脂を済ませます。
その後、アウターパネルに短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
アウターパネルの中段に貼ってある、左右がなみなみの白いシートは純正のデッドニング材ですね
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インナーパネル作業
インナー側の作業が終わったところです。
フロントと同様、みっちりと防振材でインナーパネルを覆います。
その後、純正スピーカーを戻して完了です。
なお、今回は純正ナビの4ch出力を全てフロント側のスピーカーに割り当てていますので、リヤスピーカーは鳴らしません(鳴りません)。
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ツイーター埋め込み取り付け
ツイーターの設置状況です。
冒頭でも触れましたように、フィットには全グレードにおいて、ツイーターの設定がありません。
その代わり、オプションとしてツイーターが用意されており、ダッシュボードに貼り付けて取り付ける方式をとっています。
今回は、オーナー様たってのご希望で、スタイリッシュに仕上がる、埋め込み取り付けをご依頼いただきました。
工法としては、Aピラーカバーにツイーターが収まる直径のリングを固定し、周りをパテで成形し、合成皮革を貼って仕上げています。
細い所から太く立ち上がる部分の形状の変化率が大きくなると、合成皮革の「伸び」が追随できなくなるので、塗装仕上げで対応することになりますが、今回の造形は、なんとか許容範囲内です。
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フロア・ルーフ防振(施工前)
室内のデッドニング作業に先立って、いろいろ外したところです。
外した箇所は、
・ルーフ内装(巨大!)
・全ピラーカバー
・前後シート
・全フロアカーペット(バルクヘッド部分も含めて)
・ラゲッジスペース周りの内装
といったところです。
ここまで取り外すと、内装一式の保管に車2台分のスペースが必要が必要になるので、DIYのハードルはだいぶ高くなりますね。
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フロア防振(施工後)
フロア側の防振が終わったところです。
この写真でいうと上端の位置になりますが、室内とエンジンルームとの壁である「バルクヘッド」の手が届くところから→フロア全面→ラゲッジルームに至るまで、全面に対して防振材を貼っていきます。
走行用バッテリーに関しては、直接触ると危険なので、手の届く範囲で止めておきます。
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ルーフ防振(施工前)
施工前の天井を見上げたところです。
梁というか、垂木というか、骨は細かく入っており、見るからに頑丈そうなのですが、鉄板がいわゆる「超高張力鋼板」とよばれ、薄くて軽いけども強度があるという特性がウリらしく、薄い分、とても音が響きやすいという難点があります。
古くは40系のプリウスあたりからでしょうか、「雨が降るとびっくりするくらいウルサイのでなんとかしてほしい」とご相談いただく機会が増えました(それは今も続いています・・)
また、その音は雨音にとどまらず、車外の音の侵入も容易にしており、また、タイヤ由来の走行音が車体に伝わり、なんとなく屋根に響いているような感覚もあります。
このあたりの不愉快な感じをルーフとフロアデッドニングの合わせ技で一層しましょう!
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ルーフ防振(施工後)
防振材施工後の様子です。
素材は FOCALのB.A.M XXXLという防振材で、FOCAL代理店であるBEWITHが販売しています。
この素材は、BEWITHが「調音施工」という商標で展開している 「走行音静粛化プログラム」用の素材です。
BEWITHいわく、「調音施工は、従来の「デッドニング」とは違います。必ず施工させていただく箇所はホイールハウス周辺のみで、さらにご希望に応じてエンジンルーム(エンジン車)またはラゲッジルーム(ピュアEV)周辺をオプション施工します。」とのことなので、屋根に貼ったら怒られてしまうかもしれませんね。
当店としての今回の選択の根拠としては、中−低周波数への効果が高いブチルゴム層+アルミシート層に加えて、発泡フォーム層が加えられていることで、雨音や遠くから響いてくるような高い周波数に対する減衰効果が期待できる点があります。
施工後の感じとしては、かなり静かで、期待を上回る効果が得られました。
高周波に対するフォーム層の効果も感じられて、化学わた(シンサレート)を同時施工する必要もなさそうで、まさにオールインワンな感じ。
今後、性能・コスト面で上回る材料が出てこない限りは、使っていこうと思います。
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作業後記
今回はホンダ・フィットのスピーカー交換+静寂性向上のためのルーフ・フロアデッドニングの事例をご覧いただきました。
オーディオを楽しむには、雑音が少ない方がよい。のは当然のことで、ドア以外の部位をデッドニング施工する発想は古くからありました。
ただ、マニア中心の話であって、ドア防振をやって、スピーカー交換は当然のこと、オーディオ機器の整備も一通りやって、もっと他にやりたいというありあまる情熱の先に位置するような玄人メニューでした。
しかしながら、時代と共に車の構造が変わり、事態は大きく変わりました。
今となっては誰のニーズだったのか、さっぱりわからなくなってしまった感のある「執拗なまでの燃費向上」と、それに伴う「軽量化」の影響で、(電子部品やバッテリーの重量は増えるものの)車体や構造部品の質量はどんどん削られる潮流が生じてしまい、強度はあるんだろうけど、ドアはパタンパタン、タイヤのロードノイズは手に取るように聞こえ、屋根はカンカン・パラパラと響くようになりました。
結果として、車両価格は何倍にもなったのに、質感に納得いかない。。という不満を抱くユーザーが増える展開を迎えました。
実に「誰得」の展開ですが、これも時代の結果。
削られた要素を付け加えることで、質感を取り戻すことは可能ですので、前向きに捉えましょう!
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冒頭でご案内した以下のメニュー(再掲)のうち、今回は(1)4ドア分と、(2)ルーフ(3)フロアを施工させていただきました。
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(1)ドア(アウターパネル、インナーパネル、内装)
スピーカーの稼働条件の整備が主目的。ドアの気密性と振動に対する耐性を高めて、エンクロージャーとして機能するように仕立てる。
外来ノイズの侵入を防ぐ効果も大きい。
ブチルゴムとアルミのハイブリッド材がメイン。
(2)ルーフ(ルーフパネル、ルーフ内装)
室内の静寂性向上が目的。軽くて薄い高張力鋼板特有のパラパラ雨音の緩和でご依頼いただく機会が多い。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材と化学わた(シンサレート)の合わせ技が定番。
(3)フロア(室内フロア、トランクフロア)
ロードノイズの侵入防止が目的。ボディの底にあたる、室内・トランクのフロアに加えて、エンジンルームとの境であるバルクヘッドにも施工する。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材。厚めの材料を使うか、重ね貼りがおすすめ。
(4)タイヤハウス
ロードノイズの侵入防止が目的。音の直接の発生源であるタイヤ周りを抑え込む。フロアデッドニングと併用することで効果は最大に。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材。
(5)ボンネット
エンジンノイズが車外に響くのを防ぐ。※室内からはほとんど違いが判りません。
使用素材はブチルゴムとアルミのハイブリッド材、ウレタンとアルミのハイブリッド材(レアルシルト)
(6)サイドシルとピラー(A・B・Cピラー)
車の構造上、空洞になっているピラーとサイドシルを埋めてしまうことで、空洞内に響くノイズの共鳴をゼロにし、同時に外来ノイズの侵入も防止するという、実効性の高い工法。
使用素材は発泡ウレタン。ピラーの上の方から流し込みます。
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実際にはスピーカーも交換しましたが、それを除いた防振関係に限ると、費用的には、45万円+消費税といった水準になります。
内訳としては、ドア4枚で12万、ルーフで13万、フロアで20万といったところです。
ご興味がおありのオーナー様はどうぞご連絡ください!
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