日産サクラのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
日産サクラの事例紹介です。
サクラは日産自動車が販売している軽自動車規格のEV(電気自動車)です。
日産・リーフ(2010年−)、日産・アリア(2021年-)に次ぐ3代目の電気自動車として、2022年に発売されました。
同社の環境対応車には、ハイブリッド技術であるe-POWERを搭載した、ノートオーラ、ノート、エクストレイル、キックス、セレナがありますが(2024年5月時点)が、ご周知の通り、これらはガソリンエンジンで発電した電力によって走行する、シリーズ型ハイブリッドであるのに対して、こちらは、外部からの充電によってのみ電力を獲得する、純粋なEV(正しくはBEV)です。
設計は三菱自動車とNMKV(三菱と日産の合弁会社)で行い、製造は三菱自動車が担当し、日産はOEM供給を受ける形で販売しています。
三菱自動車が販売している電気自動車であるeKクロスEVは、デリカ譲りの怒り顔をしていますが、このサクラと姉妹車(きょうだい車?)の関係にあります。
ガソリンスタンドで手軽に短時間でエネルギーを補給できるハイブリッド車に比べて、出先での充電ステーションが相対的に少なく、充電にも一定の時間がかかる電気自動車は、万人向けの車とは言い切れない側面があるものの、このサクラは、特に生活圏の近距離移動を中心とする顧客層にウケているそうで、2023年・2024年と2年連続で電気自動車販売台数1位を獲得したとのことです(日産調べ)
今回は納車間もない新車のサクラにご登場いただきました。
オーナー様はかねてより当店をご利用いただいているお客様で、乗り換えに伴ってスピーカー交換をご依頼いただきました。
当店のようなプロショップにご来店いただくお客様は、普通車・軽自動車の種別に関係なく、それなりの予算をかけたシステム施工をご依頼いただく傾向がありますが、今回もその例に漏れず、○リヤスピーカーも含めた6スピーカー全てを交換、○スピーカーケーブルも全て社外品で新規に引き込み、さらに○4ドア全てにデッドニングを施すというリッチな仕様です。
以下、コンポーネント紹介です。
○ヘッドユニット
9インチの大画面モニターを搭載したNissanConnect ナビゲーションシステムです。
最近の軽自動車は登録車顔負けの室内の広さを有しているものの、9インチあるとなかなかの存在感です。
機能的には、本体内に地図データをもったナビに、通信サービスによる付加機能をプラスした製品なので、いわゆるディスプレイオーディオとは違います。
最近のヘッドユニットのトレンドであるApple CarPlay・Android Autoに対応しているので、様々なアプリ経由でのサービス利用の他、事前の地図アプリでの目的地検索→目的地設定のシームレスな連携が可能ですが、日産コネクトサービスの範疇でも、目的地設定までの同様のフローが実現できるようになっています。
○フロント/リヤスピーカー
前車からのお気に入りブランドということで、前後ともにブルームーンオーディオのスピーカーをお選びいただきました。
フロントには2wayセパレートのSX165(税込48,400円)を、リヤには2wayコアキシャルモデルのCX165(税込48,400円)をそれぞれお選びいただきました。
SX165はブルームーンオーディオらしい、クリアでメリハリがあり、しかしクセはなくて、ジャンルを問わずに幅広いユーザー層に受け入れられてきたユニットです。(現在終売)
CX165の方は、SXと同じ165ミリ径のコアキシャル(同軸)モデルです。こちらもSXと全く同じ素材、工法で制作されており、ハイエンドコアキシャルらしく、別体式のネットワークが付属しています。
インストールに際しては、前後ともに、硬質MDFで制作したカスタムバッフルを介してしっかりと固定し、ドア防振についても、前後ともに制振力強めのデッドニンググレードにて施工しています。
スピーカーケーブルは純正ケーブル流用の選択肢もありますが、全線についてサエクのSPC-350(税込1,320円/m)を引き込みました。
以上を持って、日産サクラのサウンドアップが完了しました。
フロント2wayスピーカーのグレードアップと、その性能を引き出すためのデッドニングによる音質の向上に加えて、リヤスピーカーのグレードアップによる環境音の質の向上も図られましたので、非常にリッチなサウンドが楽しめる一台に仕上がりました。
それでは施工の様子をどうぞご覧ください♪
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フロントドア
フロントドアの外観です。
銅っぽいカラーと黒とのツートーンでまとめられています。
当然ながらダッシュボードと統一感を持たせてあり、軽自動車らしからぬ高級感を漂わせています。
肘の当たる部分には「逃げ」を作ってありますね。
軽自動車の規格内で居住性を追求しまくった結果、最近の軽のココのところは皆同じ構造でスペースを稼いでいます。
そのため、ドアトリムの裏側がインナーパネルに設けられているサービスホールにめり込むような位置関係になっており、インナーパネルの防振の際、「めり込み分」を考慮して、防振材もお椀型なるように余裕を持たせて貼り込む配慮が求められるようになりました。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
サービスホールからの雨水浸入防止のために、ビニールシートを用いる発想は従来通りですが、素材と構造には進歩が見られます。
上述のとおり、ドアトリムの起伏に配慮した構造をとる必要があるため、シートは複数のパーツを溶着して形成されています。
下の方をご覧いただくと、縦型の謎のへこみの存在に気づかれると思います。
これは、一つ前のドアをご覧いただくとおわかりになると思いますが、ドアポケット内に作り込まれたボトルホルダー部の逃げですね。。。蜃気楼のような市場ニーズを追いかけるには、なかなか苦労が多そうです。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の作業が終わったところです。
インナー/アウターパネル両方の清掃と脱脂を済ませたら、アウターに短冊状にカットした防振材を貼っていきます。
この段階でスピーカー配線も引き込んでおきます。
スピーカーホール部を見てみると、なにやらユニークな切り欠きが設けてあるのにお気づきになると思います。
これは純正スピーカーの組み付け方法として、三菱が採用しているロータリーロック機構のための加工です。
太くなっている穴にところにダボを差し込んで、時計回りにグッと回転させるだけで固定完了という訳です。
(共同設計の形をとっているものの、ディテールは三菱主導で決まっているようです)
ホンダ方式にも同じことがいえますが、ネジ穴のないスピーカー固定方法をとっているドアでスピーカー交換をする場合、バッフル固定のためのボルト穴を3つか4つ開けることになります。
一つの穴は6ミリ程度で、さび止めもちゃんと行いますので、機能的に何ら問題はなく、純正戻しもできますのでご心配には及びません。
なお、取り付けるスピーカーの直径によっては、スピーカーホールを拡大するために、鉄板を少しカットする場合もあります。(今回はカットしました)
この場合、切除量によっては、純正スピーカーをつけ戻すためのダボ穴が機能しなくなるため、純正スピーカーをつけ戻す際には、タッピングボルトなどで留める方法ととる必要があります。いずれにしても、純正戻しはできるとお考えいただいて結構です。
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インナーパネル側作業
インナーパネル側の作業が終わったところです。
17センチの直径があるSX165のウーファーの振動板が自由に動けるように、スピーカーホールを拡大し、見合ったサイズのMDFバッフルを固定してから、ウーファーを取り付けます。
まあ、正直言って、スピーカーホールの拡大をしなくても、スピーカーは付くには付きます。でも、ちょっと気持ちいい音量にまであげてやると、音の詰まりが発生し始めます。エネルギー量の多い低音域が伸びず、中音域がボコボコと歪みますので、より繊細で影響を受けやすい中高音域のディテールが損なわれてきます。
それなりの値段のスピーカーを導入されるのであれば、無理なく性能を発揮させてやるために、できるだけ条件は整えておきたいものです(デッドニングも然り)。
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ツイーター・作業前
Aピラーのカバーを裏から見たところです。
純正ツイーターユニットはここに設置されています。
ツイーターはドアのウーファーと並列につながっており、どちらにも同じフルレンジ信号が供給されています。
ウーファーは全帯域再生できるので、そのままでいいのですが、ツイーターに低音域を入れると壊れてしまうので、ハイパスフィルターとしてコンデンサーがくっつけてあります。(向かって左側)
これを取り外して、新ツイーターに差し替えます。
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ツイーター・作業後
SX165のツイーターに差し替え完了しました。
純正ツイーターのネジ穴を使って固定しました。
固定金具が汎用の材料なので、コンテンツ的には見た目がアレで恐縮ですが、、音質への寄与度からするとこれでよいでしょう。
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資料映像01・フロントドアのカップホルダー部逃げ
フロントドアの作業風景の一部です。
インナーパネルのデッドニングが終わって、ドアトリムを付け戻す際、カップホルダー部とインナーパネルとのクリアランスを確認しているところです。
防振材を貼っている分、クリアランスが減っていますが、貼る前の段階で、5ミリほどもない感じですね。
これから先、どうやって室内を広くしていこうか、頭を悩ませていらっしゃることでしょう。
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資料映像02・フロントドア肘部逃げ形成ガイドライン
インナーパネルのデッドニング作業前の下準備風景です。
防振材を貼る際に、肘の当たる部分に逃げを設ける必要があることはお伝えしましたが、どれくらいの深さで、どんな形に凹ませるのか、事前に見当をつけておく必要があります。
その手段として、アルミテープを使ってガイドラインを作っています。このように貼っておいて、内装とのスキマをのぞき込みながら、付けたり外したりして間隔を調整し、深さと形を決定します。
後は、このテープにまんべんなく触れるように防振材を貼るという流れになります。(手間はかかりますが、着想は単純です。。)
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作業後記
今回は日産サクラのリッチなスピーカー交換の事例をご覧いただきました。
ご存知の通り、最近の軽自動車はワゴンやバンタイプに限らず、今回のサクラやアルトのようなAセグメントカテゴリにおいても、どんどんと室内が広くなってきており、ヤリスやフィットなどのコンパクトカーに迫る居住性を持つようになりました。
しかしながら、絶対的な容積はちょい少なくて、フロントガラスまでの距離も少し短いので、オーディオを気持ちよく聴こう♪と、音量をあげていくと、室内が(音の波動で)飽和気味になりやすく、ディテールが感じ取れなくなったり、うるさく感じられたりし始めるポイントも低くなってきます。
この対策としては、「音量をドンドン上げずとも、より広い帯域をバランスよくならし、メリハリを感じられる」ような特性づくりがキモになります。
一般的な純正オーディオは、スピーカーの稼働条件が整っていないので、中音域の音が目立って聞こえます。このようなシステムで音楽を楽しみたい(=高域のキラメキや低域のビートを感じたい)と考えて、ボリュームを上げていくと、当然ながら中音域がより大きく聞こえてきて→いつしか歪み始める→ウルサイ。。聞き疲れする。。という展開に陥ってしまいます。
繰り返しになりますが、低域から高域にわたって、出来るだけまんべんなく鳴らしてやれれば、中音域偏重の現状から脱却し、より穏やかなボリュームで満足を得られる条件を作り出せるんです。
具体的には、一にも二にもドア防振です。当サイトを覗きに来ていただくお客様なら、防振によって音にしまりが出てくることは感覚的にご理解いただけると思いますが、まさにそれです。
適切なバッフルでスピーカーをきちんと固定し、防振を施し、ドアをスピーカーボックスにしてやることにより、共振、共鳴で損なわれる低域をしっかりと伸ばし、繊細な高域が阻害されない条件を整えることは、ハイファイの大前提です。
これをやるだけで見違えるような変化を感じていただけるはずです。
さらには、予算が許せば、パワードサブウーファーを追加して、エネルギーを使う低音域の再生を外注し、ドアスピーカーが受け持つ音域の下限をすこし高くして、負担を減らし、歪みが出にくくしてやる方法も有効です。
このような方法をとることで、より広い帯域をバランスよく慣らせるようになり、ボリュームの大きさに頼らない、「オーディオ鑑賞としての満足」を得られるようになると思います。
これらは、どれもハイファイ構築の為の基本的な要素ですが、リスニング空間の容積が小さく、音(振動)を伝える媒体である空気の量が少ない条件下だと、そのセオリーの重要性がより高まるということだと思います。
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