トヨタプリウス60系のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
トヨタ・プリウスの事例紹介です。
プリウスはトヨタが誇るハイブリッドカーの最古参モデルです。
誕生は、今を遡ること26年前の1995年。世界初の量産ハイブリッド車として産声を上げました。
機構的には、ガソリンエンジンと永久磁石型動機モーターを組み合わせた、現行システムの礎となるシステムを採用し、より高燃費を実現するために(鉄チンじゃなく)超軽量鍛造ホイールに樹脂製ホイールカバーを装着する様式を採用していました。
気になる燃費はリッター28km/l(初代モデル最期は31km/l)(いずれも10・15モード)と当時としては驚異的なスペックを誇っていました。
2代目の20型は2003年から2011年の生産で、ここから全て3ナンバーになりました。
3代目の30型(2009-2015年)(PHVは2012-2016年)の時代には、対抗馬であるホンダ・インサイト2代目(2009-2014年)の攻勢に対抗して、旧モデルより安い販売価格が設定されるという事態を迎えつつも、2009年度にはハイブリッド車で初めて新車販売ランキング1位をマークするなど、芳しい結果を残しています。
4代目の50は先代までのキープコンセプトなデザインから、すこしにらみの効いた顔立ちにリニューアルされ、バッテリーもそれまでのニッケル水素電池から、リチウムイオン電池に刷新され、Eグレードでは40km/l(JC08モード)に到達しています。
そして待望の5代目が本年(2023年)に発売されました。
メーカーの枠を超えてトレンドとなりつつある「ハンマーヘッド」タイプのフェイスと、ウエストが締まった流麗なボディを与えられ、世界の大きな期待に応えるだけのプレゼンスを発揮してくれました。
そして今回ご登場いただくのは、当コーナー初の最新型です。
オーナー様は、3年毎の車の買い替えの度にオーディオグレードアップのお仕事をご依頼いただいているお客様で、シエンタ、カローラスポーツに続いて3台目の車両です。
過去の車すべてにおいて、DSPアンプ投入とフロント2wayスピーカー交換と、ほぼ同等のシステム内容で、今回も同様のオーダーでした。
ただ、システム的には同じものの、これまでの2台は、なぜか搭載した機器をそっくりつけたまま手放されており、当店としても、流石にMOTTAINAIと思いましたので、今回は機材をきれいに取り外しつつ、完璧に純正戻しできるよう、車両側に一切負担をかけない施工方法を提案させていただきました。
以下、コンポーネント紹介です。
◯ヘッドユニット
純正のディスプレイオーディオです。
製品名としては「ディスプレイオーディオPLUS」とされています。
通信機能によって得た情報をもとに動作するディスプレイオーディオに、(車両側にデータを持つ)車載ナビの機能をプラスした製品です。
センターからもたらされる交通情報によって的確な案内が出来る他、通信状況の良し悪しに関わりなく正確な地図表示ができるということで、メーカーオプションならではの商品性を備えています。
音声出力はフロント2ch/リヤ2chの4chで、すべてDSPアンプに入力します。
◯DSPアンプ
HELIXのM-SIX DSP(税込110,000円)です。
これは、同社製6chアンプのM-SIX(税込88,000円)にDSP機能を組み込んだ製品です。
有名DSPアンプである P-SIX DSP/V-EIGHT DSP/V-TWELVE DSPも、DSPアンプとしては同カテゴリとして捉えられますが、これらはDSP機能に多くのリソースを投入した、「アンプ付きのDSP」であり、アンプの性能に力点をおいたM-SIX(4ch版でM-FOURというのもあり)とは趣が異なります。
M-SIX DSPは、100w×6chのアンプに、10chまでプロセシングできるDSPをくっつけた製品です。
先々のシステムアップの可能性は温存しつつ、(1)2way+サブウーファー、(2)2way+リヤ、(3)3wayをまかなえる6chのアンプを確保したいという方にとって、コスパの良い選択になります。
・DSPの接続方法
今回は、上述の通り、車両側の純正ケーブルをカットするような負担を排除し、かつ、低コストで仕上げるために、配線方法を工夫しています。
一言で表すと、「純正スピーカーケーブルをまるまる活用しつつ、DSPを割り込ませる」方法で、主に純正デッキの裏のスピーカー出力端子周辺と、DSP側のスピーカー入力端子ならびに、スピーカー出力端子との間を4本の4芯ケーブルを使って接続します。
詳しくは、冒頭のシステム図にて表現させていただいておりますが、コンセプトとしては、デッキ裏のスピーカー出力端子から直接DSPに信号を取り込み、DSPで処理した信号を(デッキ裏から抜いた)スピーカーケーブルカプラに戻してやることで、あとは純正スピーカーケーブルを伝って、スピーカーまで信号が届く。。という方法です。
音質最優先で、純正ケーブルは使いたくないという方には向きませんが、DSPアンプとデッキ裏間を4本の4芯線でつなぐだけでソース側の施工が完了し、スピーカー側も含めて、全て変換カプラで接続するためにケーブルの負担をゼロにできるので、査定価値コンシャス&コストコンシャスな方を中心に適用事例が増えています。
◯スピーカー
スピーカーは当店を代表する人気国産ブランド!BLUE MOON AUDIOをお選びいただきました。
製品としては、フラッグシップのRX165、ミドルグレードのAX165、ベースグレードのSX165とあり、今回はSX165(税込48,400円)をお選びいただきました。
オーナー様はこのSXを気に入っていただいており、前車に続いてのご採用となりました。(つけたまま手放されたのが悔やまれます・・)
取り付けに関しては、ウーファーはドアの定位置にMDF製バッフルを組んで固定し、ドア防振は先々のパワーアップも想定して、制振力の強いデッドニンググレードで施工しました。
セパレートツイーターについては、純正ハイレンジスピーカーグリル内にきれいに収めましたので、外観は純正の状態をキープしています。
以上をもって、新型プリウスのサウンドアップが完了いたしました。
デジタルソース入力によるシステムアップも視野に入れておられて、今後が楽しみな一台となりました。
今回の施工の予算総額は税込334,906円となりました。
それでは施工の様子を御覧ください♪
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フロントドア
フロントドアの外観です。
トヨタらしい安定感のなかにも、エクステリアデザインと通じるシャープさが感じられます。
スピーカーレイアウトは、ドアの定位置にウーファー、ダッシュボード両端にハイレンジスピーカー、ダッシュボード中央にテレマティクス用スピーカー(要契約)、後方にリヤスピーカーとなっています。 -
ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
左側にサービスホールがあるのですが、写真のように樹脂製のパネルでフタされています。
単にビニールシートだけで覆われているパターンに比べると、ドア筐体内のエアの気密性はある程度期待できるため、スピーカーが押し出した空気がスピーカーの後ろ側に回り込んで損失が起きる現象が抑えられます。したがって、ビニールより樹脂パネルのほうが、相対的に音が良いと言えます。
ただし、樹脂パネルを含むドア筐体の共振(ビビリ)についてはノーガードですので、この要素においては同レベルですね。
いずれにしても、社外スピーカーに刷新して、その性能を十分に引き出そうと思うなら、ドア防振は必須と考えます。
純正スピーカーは、トヨタの汎用タイプで、スピーカーケーブルの線材は一部のレクサス系でみられるアルミではなく、昔ながらの銅線でした。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の施工が終わったところです。
樹脂パネルを外して、インナー/アウター両パネルの清掃と脱脂を済ませたら、アウターパネルに防振材を貼っていきます。
今回は制振力の強いデッドニンググレードで施工しますので、短冊状にカットした防振材を均等に貼っています。
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インナーパネル作業
インナーパネル側の作業が終わったところです。
スピーカーの土台となるバッフルを製作してボルトで取り付け、スピーカーをネジ止めしたら、インナーパネル全面を防振材で覆います。
スピーカーに接続されているスピーカーケーブルは、冒頭のシステム図で表現しておりますように、純正のスピーカーケーブルなので、社外ケーブルの引き込みに伴う負担は一切ありません。
なお、写真のような社外スピーカーと、(末端がメスカプラになっている)純正スピーカーケーブルとの接続は、オスカプラ⇔ファストン端子でつくった変換ケーブルを使って行います。
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純正ツイーター
純正ツイーターの様子です。
純正ツイーターは、6.5cmはあるコーン型の振動板を持つユニットが採用されています。
ドーム型でなくコーン型のユニットですと、ツイーターというよりはハイレンジスピーカーとでも呼びたくなりますが、耳を近づけるとシャカシャカという音しか聞こえませんので、帯域からするとやっぱりツイーターですね。
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ツイーター純正位置交換
絵的には大変地味で恐縮ですが、、ツイーター交換後の様子です。
両サイドのネジで固定されている樹脂製のパーツが当店オリジナルのツイーターブラケットです。
中央の凹んだ部分にツイーターを固定するだけで、簡単に取り付けられます。(トヨタ・スバル用)
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助手席シート下
助手席下の様子です。
ドンと座ってますのが、HELIXのDSPアンプM-SIX DSPです。
このクルマは後方に向けてエアコン送風口が取り付けられておりますので、ダクト部品を抜いた上で設置しています。
ダクト取り外し後の開口部はアルミテープでふさいで、アンプに風が当たらないようにしています。
ケーブルの束が見えますね。
白と赤は電源ケーブル、黒のうち、4本がデッキ裏とやり取りしてる4芯ケーブルで、残り2本がツイーターまで到達する新規に敷設した2芯ケーブルです。
あと、右側手前から出ているのはPC接続用のUSBケーブルです。 -
当店で作成したケーブル類です。
冒頭のシステム図を再掲してご説明します。
一番左のメスカプラが、B+Cに相当します。(4芯ケーブルが2本組み込まれています)
ディスプレイオーディオの裏には、フロント・リヤの4スピーカー(4ch=ケーブル8本)が接続されたメスカプラが刺さっていますので、これを引き抜いて、このカプラを刺してやります。写真で見切れているケーブルの反対側が、DSPの入力端子に接続されていますので、これによってデッキのスピーカー出力信号がDSPに取り込まれることになります。
左から2番めのオスカプラがA+Dに相当します。
見切れている側が、DSPの出力端子に繋がっているので、DSP処理後のフロント・リヤ4ch分のスピーカー出力信号がこのオスカプラに届けられることになります。このオスカプラと組み合わせられるのが、上述の「デッキから抜いたメスカプラ」で、このカプラを経由して、フロント・リヤの各スピーカーに向けて信号が届けられるという仕組みです。
最後の白い2本のオスカプラは、システム図のフロントスピーカーの手前に表示してあるXの位置に使うカプラです。
デッキからドアまで伸びている純正スピーカーケーブルの末端は、白いメスカプラになっています。このカプラをカットせずに接続をすませるためにこういうカプラをこしらえて準備しています。
純正のメスカプラと、写真のオスカプラを組み合わせて、見切れている反対側に取り付けられたファストン端子(平ギボシ)をスピーカーの端子に差し込むと、車両側には全く無傷で接続完了!となります。
なんだか文字数が多くてすいません。こういうお店です。
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資料映像・ダッシュボード中央
デッキ裏へのアクセスに伴う分解作業中です。
右奥にメッシュを刻んだスピーカーグリル的な部品が見えます。
後学のために外してみましょう。。
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資料映像・テレマティクスピーカー
外した状態の写真です。
グリルの下には小型スピーカーがあります。
新型プリウスのスピーカー構成は、全車6スピーカー(フロント2way+リヤ)なので、オーディオ目的のセンタースピーカーはなく、これは「ヘルプネット」サービスのために使うスピーカーです。
公式サイトにおける説明では・・
「ヘルプネット(エアバッグ連動タイプ)は、交通事故発生時や急病などの緊急事態発生時に、自動またはボタン操作でヘルプネットセンターに電話接続し、車内からの通報救援要請を補助支援するシステムです。とあります。」
回路的には、純正デッキ(ディスプレイオーディオ)とこのスピーカーは繋がっておらず、テレマティクス用独立したアンプの出力が入力されています。
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作業後記
今回は新型(60型)プリウスのサウンドアップ事例をご覧いただきました。
内容的には(1)フロント2wayスピーカーの交換と防振といった基本コースに、(1)DSPアンプによる音響セッティングを加えたシステムでした。
カーオーディオの発展性としては、Aピラーへの加工をすれば3way化は可能ですし、DSP投入にしても、電源の強化にしても、やろうと思えばぶっちゃけ車種に関係なくなんでもできちゃうわけですが、プリウスのオーディオは全車共通で6スピーカーとさっぱり仕様ですし、基本的にマイルドな性格の車ですので、今回の事例の内容くらいが「やった感」の点でも「音質改善効果」の点でも、多くの方にご支持いただけそうな気がします。
カーオーディオの基本であり、かつ、多くの方が満足される(1)スピーカー周りの環境整備だけでもよし、(2)DSP投入による精密な音響セッティングまで踏み込むもよし、はたまたスマホのデジタルソースの直接入力によるハイレゾ再生まで加えてもよしと、お好みに応じてお選びいただければと思います。
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今回の事例では、DSPとデッキ裏とをつなぐ4芯ケーブルの使い方について詳述してみました。
昨今は、(1)一部のエンスー系の方に限らず、車両への負担を極力避けたいというお考えのお客様が増えてきたように感じます。加えて、(2)音質の改善効果と予算を天秤にかけた、いわゆる「コスパ」の追求があらゆる消費の局面で重視される傾向にもあります。
今回ご紹介した4芯ケーブルを使った接続方法は、DSP設置場所であるシート下とデッキ裏とを、純正カプラに適合するカプラを取り付けた4本の4芯ケーブル(合計約8m)で結ぶだけで、スピーカーケーブルの引き込み費用を完全に省略しつつ、DSPの組み込みを完了させることができる、ノーインパクト&ローコストのインストール方法です。
(※)今回の例では、ツイーター用のケーブルのみ新規に追加しています。
また、この発展形として、スピーカーケーブルの引き換えを実施するものの、デッキ裏を含めて純正の配線を損なわない施工方法もあります。
大切なお車の査定価値を維持しつつ、存分に趣味を楽しんでいただけるよう、いろいろ工夫をしていますので、プラン内容に加えて施工方法についても、どうぞお気軽にご相談ください。
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