BMW M2CSの事例紹介です。
M2CSは、BMWのモータースポーツ部門であるBMW MGmbHによって開発された、BMW 2シリーズクーペの高性能バージョンです。
ベース車の2シリーズの初代モデルF22/F23/F45/F46)は、2013年に発売されていますが、M2クーペ(F87)のほうは3年後の2016年となります。
ラインアップとしては、M2クーペの他にM2 パフォーマンス エディションが用意され、2018年にはM2クーペの後継としてM2コンペティションが投入されました。
今回登場するM2CSは、このM2 コンペティションをベースに、サーキット走行よりのセッティングを施して販売されたクルマです。
エンジンそのものはM2コンペティションと同じですが、F82 M4 コンペティション向けのECUを組み合わせており、444 hp(331kW)・56kgf/m(550 N・m )を発揮します。
生産は2020年3月に開始され、北米、欧州、アジア、メキシコ向けに計2,200台が販売されましたが、日本の配分は60台だけで、今回のクルマはそのうちの1台ということになります。
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オーナー様は中古でご購入されたということで、オーディオのグレードアップを図りたいとメールでご連絡いただきました。
このベース車両であるM2コンペティションを施工させていただいた経験があったので、ほぼ予測はできましたが、harman/kardon仕様が標準になっている様で、セパレートアンプと12個のスピーカーから構成されていました。
オーナー様のご意向としては、フロントメインのように部分的なグレードアップではなく、全てのユニットを交換し、DSP導入によって全体の調和をとりたいというお考えでした。
12スピーカーを個別に制御できるDSPアンプと言うと、HELIXの
V-TWELVE DSP MkIIに限られますので、これを中心に据えることになりました。
スピーカーのほうは、デモボードでご視聴いただいた結果、FOCALのUtopia Mシリーズが好印象のようでしたが、これですべて揃えるとなるとかなりの金額になってしまうので、同じFOCAL製ユニットで構成されたPLUG&PLAYのキットで揃えることになりました。
以下、コンポーネント紹介です。
◯純正アンプとDSPアンプ
12スピーカーを駆動するアンプですので、あらかじめ帯域分割がされており、シート下のサブウーファー向けには高域をカットするハイパス設定、それ以外には低域をカットしたローパス設定がなされています。
これらの出力のうち、異なるチャンネルである(1)フロント (2)センター (3)サブウーファー (4)リアの8ch分をDSPアンプに入力することとします。
DSPはHELIXの
V-TWELVE DSP MkII(税込275,000円)を選びました。
入力は12ch(ハイレベル)/6ch(RCA)まで対応し、当然ながら同軸デジタルと光デジタルも対応しています。
内蔵アンプは75W出力(4Ω)を12ch分備えており、その他にパワードサブウーファーなどに使えるプリアウト出力も2ch分備えています。
今回は、上述の8ch分を入力し、出力は以下のように12ch分を全て割り当てました。
01 フロントL(ツイーター)
02 フロントR(ツイーター)
03 フロントL(スコーカー)
04 フロントR(スコーカー)
05 リアL(ツイーター)
06 リアR(ツイーター)
07 リアL(スコーカー)
08 リアR(スコーカー)
09 センター(ツイーター)
10 センター(スコーカー)
11 サブウーファーL
12 サブウーファーR
DSPのオプションとして販売されているコントローラーである
DIRECTOR(税込55,000円)も取り付けました。
今回は純正オーディオの入力のみで、スマートフォンなどの別ソースの入力は行わないため、入力切り替え機能は使いませんが、音響セッティングプロファイルの切り替え(運転席フォーカス or 左右均等)のために活用します。
◯スピーカー・サブウーファー
FOCAL製コンポーネントで構成される「PLUG&PLAY elite for BMWシリーズ」というキットを使いました。
これは、FOCAL製品の国内代理店であるBEWITH(ビーウィズ)の独自企画商品で、FOCALの売れ筋製品である「K2 Powerシリーズ」のコンポーネントをBMW車向けに組み合わせて、オリジナルアルミバッフルを加えてキット化した商品です。
商品タイトルに「PLUG&PLAY」というBEWITHの独自ブランドをくっつけているので、商品の素性が見えにくくなっていますが、使用されているユニットは間違いなくFOCAL製なので、音質はFOCALのそれに間違いありません。
商品のラインアップとしては、以下の5点となっており、今回はフロント用に(1)、リヤ用に(3)をそれぞれ使いました。
なお、リヤ用に使った(3)は本来、フロント用の製品ですが、軽く加工を施してリヤトレイに収めました。
(1)
BMF30KJT3 2wayフロント+2wayセンターセット(税込176,000円)
(2)
BMF30KJ3 2wayフロント+センターセット(税込156,200円)
(3)
BMF30KJ2 2wayフロントセット(税込104,500円)
(4)BMF30KJTC 2ウェイセンター単品(税込72,600円)
(5)BMF30KJC センター単品(税込51,700円)
上記の商品構成をご覧になってお気づきの方がいらっしゃると思いますが、このキットにはシート下に格納されているサブウーファーユニットが含まれていません。
ということで、FOCALからBMW専用に販売されているFOCAL
ISUB BMW 2(税込44,000円)を使いました。
これはシート下のサブウーファーユニットとトレードインできる20cm径のユニットです。K2Powerシリーズではないのでコーンは黄色でなく黒ですが、おなじFOCAL製品です。
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以上を持って、M2CSの全12スピーカーのグレードアップと、多チャンネルDSPアンプによる、全スピーカーの個別制御ができるシステムが出来上がりました。
全スピーカー交換と12chDSPに加えて、デッドニングを含むインストール費用を含めると税込100万円に近づく世界で、ご紹介できる機会はそう多くありません。
インストールの様子をどうぞご覧になってください♪