BMW3シリーズ320d(F31)のオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.754(お問い合わせの際にお伝えください)
model
BMW 3シリーズ 320d(F31)
system
メインユニット:純正iDrive
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:Eiju EF-100KV
センター:なし
リアスピーカー:純正
プロセッサーアンプ:μDIMENSION DSP-680AMPV2、REMOTE
ケーブル:audiotechnica、SAECcomment
フロント3wayの一部を新スピーカーに交換し、DSPアンプを投入してマルチ化した事例です。
背の高いハイエンドスピーカーのフィッティングに苦慮しましたが、綺麗にまとまりました♪
BMW・320dの事例紹介です。
320dはBMWのミドルクラスに位置する3シリーズに属するステーションワゴンです。
BMW車におけるグレード分けは「シリーズ」という名称で区分けされ、現在、SUV以外のセダン・クーペ・ステーションワゴン・カブリオレ等が1シリーズから8シリーズまでの8グレードに分かれ、SUVも同様にX1からX7までの7グレードに分かれています。
さらに、ロードスターのZ、ハイブリッドのiが加わって、全体のラインアップを構成しています。(Mは脇に置いといて)
時代のニーズに合わせてグレードを増やしてきた結果、シリーズ番号の空きが全くなくなってしまいましたが、シリーズという呼称を使い出した1970年代はもっと少なく、最初は1973年の5シリーズ(E12)、ついで1976年の6シリーズ(E24)、翌1977年の3シリーズ(E21)、さらに翌1978年の7シリーズ(E23)までの4つが先頭グループです。
その他のシリーズは、ぐっと近代になってから発生しており、8シリーズのE31が1990年と飛び石になってますが、1シリーズのE82は2007年、2シリーズのF22は2014年、4シリーズのF32が2013年といった分布になっており、比較的歴史の浅いSUV系は、2000年のX5が先頭になっています。
今回お迎えするのは、3シリーズ(F31)の320dです。
1977年に産声をあげた歴史ある3シリーズは、現行のG20型(2019年)までに7つの世代を重ねており、今回の320dは6世代(2012-2019年)に属しています。
今回の車のオーナー様は、当店に直接ご連絡いただいたのではなく、知る人ぞ知る秋葉原の老舗オーディオショップ「インパルス」さんからのご紹介でご来店いただきました。
インパルスさんは物販に特化したお店で、インストールはやってないので、時々、作業をご依頼頂いています。
今回は、インパルスさんで長らく扱っているEiju(エイジュ)の10cmフルレンジスピーカーの取り付けを含むシステムアップでご連絡いただきました。
このクルマのスピーカー構成は、フロントがドアスピーカーとシート下ウーファーの2wayに、リヤを加えた6スピーカーが標準ですが、BMW専門店のstudie(スタディ)さんでフロント3way化されておりました。しかしながら、経年劣化の影響なのか、ドアスピーカーから「ガサつき音」がするということで、スピーカーを入れ替える気になられたようです。
折角の機会なので、「他にやれることはないでしょうか?」との問いに対して、最近の注目株のハイコスパDSPアンプをお勧めして、ご発注となりました。
以下、システム構成です
○ヘッドユニットとDSPアンプ
ヘッドユニットは純正のオーディオシステム(iDrive)です。
純正アンプからは、フロント2ch+リヤ2chの計4ch出力が出ておりまして、フロント側はフロア下ウーファーとドアスピーカーに分岐されています。
今回は、このフロント出力2chをDSPアンプに入れて、フロント3wayをマルチ駆動し、リヤは純正オーディオから純正リヤスピーカーに向けた接続を維持する格好になります。
DSPアンプは、μDIMENSIONの DSP-680AMPV2(税込99,000円)をお勧めしました。
これは知る人ぞ知るオーディオブランドμDIMENSION(ミュー・ディメンジョン)のDSPアンプで、6ch入力/8chプロセシング/6chアンプ内蔵/2chプリアウト装備というスペックを持っています。
入力方式はハイレベル(スピーカー出力)6ch、RCA2ch、光デジタル(96kHz/24bit)の他、付属のドングルによってブルートゥース入力できるようになっているのが売りです。高速通信対応のブルートゥース規格V5.0に対応しており、一般的にはBTのインターフェースは別売り、あるいはユーザー側で用意しなきゃいけないものが標準添付ですので、大変お得感があります。
※同ブランドから出ているDSP610AB(税込132,000円)はこの上位版で、6ch入力/10chプロセシング/10chアンプ内蔵/2chプリアウトという仕様で、アンプはAB級動作という変わり種です。
今回は、上述の通り、純正オーディオのフロントフルレンジ出力(左右で)2chをハイレンジでDSPに入力して、ツイーター/スコーカー(ドアスピーカー)/シート下ウーファーにそれぞれ出力します。
○スピーカー
Eiju EF-100KV/3(税込100,440円)です。
一時期はエイジュといえばインパルス。インパルスといえばエイジュ?というくらいの知名度を誇り、当店もよく存じ上げています。
スピーカーのバスケットは取り立てて特徴はなく、振動板もケブラーで、まあハイエンド系だよね。という外観ですが、強力な磁力を発生するコバルトマグネットというのを使っていて、10センチにしては随分とレンジの広い音がするユニットです。
これをドアスピーカー(スコーカー)として取り付けて、もともと交換済みのツイーターとシート下ウーファー(いずれもJBL製)とあわせて3wayマルチで鳴らします。
取り付けに関しては、深さ(高さ)があるために、マグネットがウインドウガラスに干渉しないように、木材とアルミの複合バッフルで高さを稼いで取り付けて、デッドニングで条件を整えました。
スピーカーケーブルについては、もともとが片側1ch(1本)が3wayに分岐している格好なので、純正ケーブルをツイーターまでの線として活用し、残りの2ユニット分について、新規に社外ケーブルを引き込んで対応しました。
以上を持って、3wayのスコーカー入れ替えと、DSPアンプ搭載による音質アップを図りました。
パッシブシステムからのDSP投入ですから、フォーカスがキリッと定まった、異次元サウンドへの跳躍は確定コースですが、情報量の多いスコーカーが加わることで、さらに表現力がアップした感があります。
それでは作業の様子を御覧ください。
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フロントドア
それではドアチェックからです。
標準オーディオでは、ドアには10センチスピーカーのみですが、ご入庫段階から3way化されていたので、ミラー裏の三角カバーにツイーターがセットされています。
これをやるときには、Hi-Fiシステム(←一般名詞みたいですが)仕様車用の純正ツイーターカバーをパーツで購入し、中にツイーターをセットして使います。
これとは別に、Top-Hifiのharman/kardon用のツイーターカバーも入手することが出来ます。こちらだとharman/kardonのエンブレムがついていてかっこよいので、こちらを選ばれる方もいらっしゃいますね。
ただ、この場合は中身のツイーターも付いてきてしまうため、目的の社外品への交換によって無駄になってしまう点をご留意いただく必要があります。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
studie さんで提供しているJBLのトレードインスピーカーが装着されています。
外してみると、マグネット周辺が錆びていて、コイルにまで錆が侵食しているようでした。振動板を前後させてみると、スムーズに動かない状態でしたので、カサカサ言うはずですね。
お車の保管条件によっては、比較的高年式でも、予想以上に劣化が進むことはあるようです。
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前方のクリアランス確認
仮固定してドアトリムとの干渉の有無を確認しているところです。
今回のスピーカーをBMWにつけた実績がなかったため、あらかじめ、クリアランス確認のプロセスが必要になります。
背面のマグネットの背が高く、純正スピーカーのバッフル水準で固定しようとすると、ウインドウガラスに干渉してしまうので、10ミリ強、前に出してやる必要があることがわかりました。
なお、受注時の条件として、もし内装の裏側で収まらない場合は、アウターバッフル化する旨ご了承いただいていましたが、それに及ばずで済みました。 -
ドアスピーカー仮合わせ
スピーカーを仮設置しているところです。
前の内装には当たらず、後ろのガラスにも当たらず、、という絶妙な位置です。
バッフルは、M&Mデザイン製のBMW向けアルミ製のバッフル(奥側)に、ホワイトバーチ材の木製リング(手前側)でかさ増しして作っています。
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ドアスピーカー組付け(裏)
仮固定でクリアランス確認がとれたので、本固定に向かって仕上げます。
ホワイトバーチで切り出したバッフルは黒塗りし、アルミバッフルと合体させた後にアルミテープで内側をぐるっと1週貼りました。
銅色のマグネットの周りに取り付けられている、トイレの詰まり掃除のようなゴムは、ディフューザー(整流板)です。
インパルスさんオススメのアイテムだそうで、ご依頼により取り付けてみます。
仮に、バッフルがもっと筒状で背が高い場合は、かえって通気の妨げになる筈ですが、今回は(かさ増ししたとは言え)薄い方なので支障はないでしょう。
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ドアスピーカー組付け(表)
スピーカーを組みつけた表側の画像です。
この写真で見るとわかりやすいと思いますが、スピーカーのフランジ部分に見えている4本のネジは、(途中の木材をはさんで)、下段のアルミバッフルにあらかじめ開けられているネジ穴に締め込まれています。
そして、クルマのインナーパネル面への固定は、アルミバッフルの外側に飛び出して見える3つの穴に通すネジで固定するという具合です。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の作業が終わったところです。
スピーカーは交換されていたものの、デッドニングはナシでしたので、一から施工します。
スポンジシートを外して、インナーパネル/アウターパネルの両方をキレイに掃除・脱脂して準備完了。制振力が強いデッドニンググレードで施工します。
写真では、スピーカーホールの周りに薄手のスポンジテープが貼られています。これはスピーカー交換を行ったお店で貼られたようですが、今回のeijuへの交換に際して、取り去っています。
この辺はお店ごとのポリシーによるのですが、当店的には、振動板の自由な動作は、建物の基礎のようにビクともしないバスケットあってこそ実現すると考えますので、スピーカーの土台となるバッフルと、インナーパネルの間に(潰れるとはいえ)柔らかいものを挟むのは避けたいです。
しかしながら、バッフルとインナーパネルとの間に、部分的なスキマがある場合は、空気漏れを防ぐガスケットとして有用だと思います。こういった場合、当店ではパテを使って埋めることにしています。(液体ガスケットをお使いになるお店さんも聞いたことあり) -
インナーパネル作業
インナーパネル側の作業が終わったところです。
前出の「二層式」盛り上げバッフルを介してEijuのユニットを固定し、新たに引き込んだスピーカーケーブルとつなぎます。
なお、ツイーター用のケーブルは、もともとの純正ケーブルを活用しています。(右上の赤黒ケーブル+ギボシ)
防振はご覧の通り全面貼りですね。
特に障害物もないので、よけるべき穴(クリップを差し込む穴)部分以外は十分に貼れたと思います。
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DSPコントローラー設置
最後はコントローラーの設置状況です。
ステアリングコラムの右側ですね。
加工が少なく、操作がしやすいところということで、お預りの時に相談させていただきました。
全体で見ると、センターコンソール付近をお選びいただく確立が最も高いですが、2番手はこのあたりです。
プリセットメモリーは、運転席にフォーカスされたものと、複数人搭乗時用の車両の中央に合わせたものの2パターンを記憶しています。
プリセットメモリーの追加は別途費用を頂戴することになりますが、この2パターンが一番人気です。
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作業後記
今回はBMWの3シリーズ、320d(F31)の事例をご覧いただきました。
もともと社外(JBL)に交換済みのフロント3wayのうち、ドアスピーカーのみの入れ替え&ドア防振と、DSPアンプ搭載という変則的な関与でしたが、耳に届きやすい音の中核を情報量の豊かなユニットが受け持ち、DSP調整によって音場全体に規律がもたらされることで、主張のある、まとまりのあるシステムに仕上がったと思います
DSP取り付けは、その他多くの事例と同様で、さほど難易度は高くなく、プロショップの仕事としては標準的なものですが、今回のように取り付け深さが深い(背が高い)スピーカーを条件の悪いところに取り付けるのは、ウデの見せ場かもしれませんですね。
奥側のウインドウガラスに当たらず、かつ、内装にも触れない位置を見出し、ピッタリの高さがでるようにバッフルパーツを制作し、再度検証して本固定。というプロセスを、ご許可いただいた予算(=時間)内に済ませるには、それなりの経験が必要だと思います(足が出てしまった過去は数知れず・・)。
マグネットが大きかったり、バスケットがダイキャストでゴツかったりするハイエンド系スピーカーだと、こういうテク発動の機会が増えますが、室内容積の拡大に伴ってドアが薄くなり、部分的にテクを持ち出す場面も増えました。
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