レクサスNX450h+ F SPORTのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.743(お問い合わせの際にお伝えください)
model
レクサス NX 450h+ F SPORT
system
メインユニット:純正
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:BLUE MOON AUDIO CX100、AX165(W)
センター:BLUE MOON AUDIO MX080
リアスピーカー:純正
サブウーファー:純正
パワーアンプ:純正
ケーブル:純正comment
純正のフロント3wayとセンタースピーカーを、ブルームーンオーディオのユニットに置き換えた事例です。
特にハイレンジスピーカーとしてのCX100の馴染みがよく、純正のコンセプトにマッチした音質改善が図れました。
お客様から感想のメールをいただきました。
(個人/団体名、必要に応じて商品名は伏せさせていただいております。)
竹原様
ご連絡、有り難うございました。
システム構成について理解しました。
純正のシステムを最大限に活用した構成で満足度が非常に高いです。
スピーカ交換でこれだけサウンドが変わるのは驚きです。
インストールギャラリーへの協力の件、了解致しました。
また機会がありましたら
よろしくお願い致します。
レクサスNX450h+ F sportの事例紹介です。
NXはレクサスのクロスオーバーSUVカテゴリーにラインアップされている車です。
レクサスの「腰の高い車」を大小いろいろ見かけるようになって、全体像がわかりにくいかもなので、全長で並べてみます。
・本格SUVのLX(ランクル系)が全長5,100mm>次いでGX(プラド系・国内未発売)が4,880ミリ。
・しなやかSUVクロスオーバーのRX(ハリアー系)が4,890ミリ(Lは5,000ミリ)>次いでミドルサイズのNXが4,660ミリ>コンパクトのUXが4,495ミリ。という順になっています。
発売の歴史から見ると、
LXが1996年(国内2008年)から、次いでRXが1998年(国内2009年)からと、各カテゴリのフラッグシップとして先駆し、ミドルサイズのNXが2014年に、UXは2018年に投入され、国内では4モデル体制となりました(RXはニューモデル待ち)
ついでなので、時代を映すパワートレインのバリエーションも整理しておきます。
・最新モデルまで一貫してガソリンエンジンなのがLX。
・RXは3代目のAL10型からハイブリッドモデルを追加。
・NXとUXは初代からガソリン/ハイブリッド両方ラインアップ。
という具合に環境対応を進めています。また近年では、ゲームチェンジを目論む海外メーカーに伍するべく、2020年にUXにEVモデルのUX300eを投入するところまできました。
という具合に、外部環境の変化に翻弄されず、何事も計画的に進め、国内500万人の雇用を創出してきたトヨタですが、コロナ後の半導体不足の影響を受けて、現行モデルの生産が滞り、挙げ句には受注を一旦見合わせる事態に陥っているのは周知の通りです。
そして今回ご登場いただくのは、そんなボトルネックをなんとかすり抜けてきた、ニューモデルのNX450h+です。
現行NXのオーディオシステムは、パイオニアが開発に携わった「レクサスプレミアムサウンドシステム」が装備されています。レクサス定番のマークレビンソンも用意されていますが、対象は350h/350/250に限定され、フラッグシップの450系はレクサスプレミアムサウンドシステムのみです。
このオーディオシステムは、合計10個のスピーカーユニットを8chデジタルアンプで駆動するシステムで、最大の特徴はダッシュボード両端に配されるハイレンジスピーカーとして、CSTユニットが採用されている点です。
外観は一般的な同軸スピーカーに見えますが、本来、別々の位相をもつ、高域側ツイーターと、中域側のミッドレンジとの位相のズレをなくすような工夫が施されています。
これにより、ウーファーに比べて指向性の強い中高域に限っては、俗に言う「点音源」に準ずる再生を実現しており、従来の標準オーディオシステムとは一線を画する定位感を獲得しています。
これに加えて、リアドアにバスレフポートを設けて、小径スピーカーで効率よく鳴らすバスレフ式スピーカーシステムを採用している点と、バックドア付近のボディ骨格の空洞部分を、サブウーファーのエンクロージャーの一部として活用する方式を採用するなど、ユニットそのものの小型化と、オーディオシステムのパフォーマンスの向上を同時に実現するための工夫が施されています。
このオーディオシステムは、看板通りの一味違う定位感を楽しませてくれますので、多くのユーザー様を納得させるであろうことは想像に難くないのですが、限界効用低減といいますか、どのような素晴らしいシステムでも、時間の経過とともに当初のインパクトが薄らいできますし、車の付属品として割り当てられるコストの範囲内で作った製品という、そもそもの前提・限界があるので、一定割合のオーナー様はシステムの改善・変更を考えるようになる傾向があるようです。
今回のオーナー様もそういったお一人で、よりシャープでキリッとしたステージングが欲しい(という趣旨)でご相談いただきました。
この車のフロント側は、ダッシュ両端のCSTユニット(ハイレンジ同軸)と、ドアのウーファーから構成される「2ユニット・3way」と、センタースピーカーという構成になっています。今回は純正アンプをそのまま使うことにして、これらのスピーカーを社外品に入れ換えて、改善を図ることにしました。
◯スピーカー選択
多くのお客様にご支持いただいているBLUE MOON AUDIOで組むことにしました。
デモボードで視聴していただいた結果、ミドルグレードのAX165の解像度を気に入っていただいたので、このウーファーをドアに取り付けることにして、9センチハイレンジのところには、10センチ径のコアキシャルスピーカーであるCX100(税込40,700円)を入れることにしました。
ダッシュボード中央のセンタースピーカーについては、小径フルレンジスピーカーとして出番の多い、8センチ径のMX080(税込36,300円)を起用しました。
取り付けについては、ダッシュボード上の3ユニットについては、結果的に吸音材などの手当の必要性を感じなかったので、バッフルを制作してフィッティングしたのみですが、ドアウーファーの方は、カスタムバッフルに加えて、きっちりとデッドニングを施して、稼働条件を整えました。
(AX165は2wayセットの商品ですので、ツイーターとネットワークは当店で買い取らせていただいて、ウーファーのみお買い上げいただいています)
以上をもって、NX450の音質改善を行いました。
純正採用されているオーディオシステムは、高級車にふさわしい品位を持つシステムとして、パイオニアが相応のリソースを投入して開発した製品ですので、絶対的な水準は低くないのですが、お客様が感じていらっしゃった物足りなさを埋められるように、末端のユニットのスペックを上げてロスを減らし、結果として得られる情報量を増やすことで、改善のお手伝いをさせていただきました。
施工の様子をどうぞ御覧ください♪
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フロントドア
それではドアの外観から見ていきます。
カーボン柄パネルを含む、異素材組み合わせの黒バックに対して、赤いハンドルの差し色がF Sportsのアイデンティティを主張しているようです。
スピーカーレイアウトについては、前述の通り、ダッシュ上にハイレンジとセンタースピーカー、ドアには18センチウーファーとなっています。
作りは当然ながら車格相応、レクサス相応にしっかりしていて、土台としては申し分ありません。
ドアの構造というか、動作の仕組みについては随分とユニークです。
開閉が電動化されているんですね。
一般的な車と同様に、インナードアオープナーをぐいっと引くとドアが開きますが、そのドアハンドルはスイッチにもなっていて、軽く押してやることで、ドアがモーター駆動で開く仕組みになっています。
多くのトヨタ車に実装されている、BSM(ブラインドスポットモニター)が収集する情報も、動作の条件になっているようで、近くに車や自転車、歩行者がいるときには、開かないようになっています。
危険回避をシステムに頼るというと、どこか不安がありますが、万一の事態を避けるためのサポート役として考えれば、これは心強いですね。
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ドアトリム取り外し
ドアトリムを外したところです。
最近のトヨタ車で多く見られるパターンで、サービスホールが樹脂パネルで閉じられています。
固定には、回転ロック式のクリップと、5点ほどの差し込み式クリップが併用されていて、固定時の堅牢性と、脱着時の作業性ともに良好です。
純正スピーカーは、楕円ベースのフレームに正円の18cmが収まる格好です。
(レクサスでない)トヨタ車、スバル車でも同じスピーカーを見たことがあります。共通化されているんですね。
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アウターパネル作業
アウターパネル側の作業が終わったところです。
スピーカーと樹脂パネルを外した後、アウターパネルを清掃、脱脂します。
ハイエンドスピーカーと、(純正とは言え)外部アンプの組み合わせですので、制振力が強いデッドニング・グレードで施工します。
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インナーパネル作業
インナーパネル側が終わったところです。
MDFでバッフルを製作して、AX165のウーファーを取付けます。
スピーカーホールは縦長の楕円ですので、穴全体を塞ぐように、雲形のベースボードを土台とし、その上にリング状のMDFを重ねる2ピース構造で作っています。
スピーカー配線は、純正ケーブルを使用します。スピーカーに接続するには、純正ケーブルの末端についているカプラ(メス)の形状に合うカプラ(オス)を使って接続しますので、純正ケーブルには一切手を加えずに済んでいます。
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ハイレンジスピーカー(純正)
ダッシュボードの端にある9cmCSTスピーカーです。
ぱっと見はセンターキャップのあるフルレンジスピーカーですが、上述の通り同軸2wayで、真ん中はツイーターになっています。
アンプ側でハイパス(低域をカット)された信号が供給されており、ツイーター側にハイパスフィルターが付いています。
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ハイレンジスピーカー(交換後)
CSTスピーカーをCX100に交換したところです。
こういった場所の場合、純正ユニットの直径も、純正ネジ穴の距離も車によってまちまちなので、その都度バッフルを作ってフィッティングするケースがほとんどですが、スピーカーのフランジに設けられていたネジ穴がぴったりだったので、無加工で固定できました。
ツイーターユニットや、ハイレンジ用として出番の多い8センチ口径のフルレンジに比べると、この製品は10センチと口径が大きく、振動板が動かす空気も幾分多くなるため、ユニット背面が狭くて反射が見込まれる場合は、吸音材の充填によって調整する必要がありますが、今回は背面がかなり広かったので実施しませんでした。
なお、今回起用したCX100(より大きなCX130とCX165も同様)は、2つの振動板を同軸に構えるコアキシャルスピーカーの宿命である位相ズレに対して、相応の問題意識を持って開発されており、その成果として、小型で奥に位置しているツイーターの仕様が導き出されているようです。
パイオニアのCSTも、技術的なアプローチは違えど課題は全く同じで、「位相ズレを排除した点音源」を目指しているわけですので、純正入れ替え用のスピーカーとしては、だいぶ素性がいいのではないかなと思っています。
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ハイレンジスピーカー用ネットワーク
こちらは、CX100に付属の2wayネットワークです。
ウーファー(ドアスピーカー)のカットでもさらっと触れましたが、今回は純正のスピーカーケーブルに、加工(切断、ギボシ取付)を一切行わず、元からついている純正カプラを介して接続をしています。
理由としては、このクルマのスピーカーケーブルには、アルミの芯線が使われており、一般的なギボシで直接カシめると、アルミ側の腐食を促進してしまう懸念があるためです。
金属毎のサビやすさの違いに関する知識をお持ちの方ならお分かりになられると思いますが、サビの現象は、空気中の酸素と水分によって、金属が酸化することで発生します。すこしだけ具体的に表現すると、水分が酸素と反応するときに、金属から電子を奪い取ることで、水はマイナスに、金属はプラスの性質を帯びるようになり、その後、プラスとマイナスが引き寄せあってサビ(例:酸化鉄)に変化するという順序で発生します。
ここでいう、「電子の奪われやすさ」は、金属ごとに違いがあるので、奪われにくい=錆びにくい、奪われやすい=錆びやすいという関係になります。
で、錆びやすい金属と錆びにくい金属が接触した状態で、酸素と水分に出会うとどうなるかというと、、錆びやすい方の金属が先に腐食してしまうという現象が起こります。
前置きが長くなってしまいましたが、例えば車の配線で使われている銅線と、接続端子で多用される錫メッキした真鍮(銅と亜鉛の合金)のギボシの電子の奪われやすさの差は、それほど大きくありません(ギボシのほうがすこし弱いくらい)。しかしながら、アルミは、真鍮に比べるとかなり電子を奪われやすいので、直接かしめて接触させると、アルミのほうが優先的に腐食するという現象がおきます。
とはいえ、アルミ線は保護皮膜で覆われていて、酸素と水分から遮断されているので、かしめた途端にボロボロになるわけじゃなく、そんなに神経質になることもないと思いますが、商売でやっている以上、リスクのあることは避ける義務があるので、直接かしめるようなことは避けて、純正と同水準のリスクに抑えることを念頭におく必要があると考えます。
そういう前提で写真を解説いたしますと、、写真の奥の方に見える白いカプラの右側の黒い線が、ハイレンジスピーカー用の純正アルミ配線で、末端は黒色のメスカプラになっています。
この先に2wayコアキシャルスピーカー(CX100)のネットワーク(手で持ってるやつ)を繋げるわけですが、その接続のために、赤白のケーブルを取り付けた白いカプラを用意し、写真上端のギボシを介して、ネットワークから生えている赤黒の入力ケーブルに接続するという方法をとっています。
※なお、この接続方法をとったとしても、純正のアルミの配線と、銅の配線は電気的につながっているわけですので、上記の課題を完全に解決しているとは言い切れません。しかしながら、純正でも、ドアスピーカー内に使われている銅コイルを含むネットワークや、真鍮端子と接続されていますので、アルミケーブルの腐食に対するリスク度合いは、純正と同等と判断しています。
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センタースピーカー(交換前)
ダッシュボード奥の中央にある、センタースピーカーのグリルを外したところです。
ここには9cmのフルレンジスピーカーが取り付けられていました。
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センタースピーカー(交換後)
MX080に交換した後の様子です。
両端のハイレンジスピーカーのケースとは違い、MDFでバッフルを制作してフィッティングしています。 -
カプラー部再掲
アルミ線の純正カプラとの接続部のアップです。
3カット前で触れたのは、純正線と「ハイレンジスピーカー用ネットワーク」との接続でしたが、こちらはウーファー(ドアスピーカー)の例です。
上から来ているのが純正のアルミ線で、白カプラ以下が当店で用意した部分で、末端はウーファーへ接続されます。
当店で用意したケーブルは銅線で、カプラ内の端子(コンタクトと呼ばれる)は一般的な真鍮(銅合金)に銀メッキです。アルミ線と直接カシメられている純正カプラのコンタクトも、見たところ銅合金系だと思いますので、その段階でどうなのよ?という気がなくはないですが、、。逆に言うと、こんな領域に踏み込むくらい、軽量化(あるいはコスト削減?)の余地がなくなってきているということでもありますね。
まあ、いずれにしても、スピーカー配線は、音質の面からいっても、腐食リスクを完全に排除する点でも、オーディオ用の銅線で別途引き込んでやるのがベストだろうとは思います。
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作業後記
今回はNX450h+のサウンドアップ事例をご覧いただきました。
本文で触れましたように、今回のNXにはパイオニアが開発した「レクサスプレミアムサウンドシステム」が採用されています。他の事例としては、百獣の王LXにも同じ名称で、またLC500には「レクサス LCコンバーチブル プレミアム サウンドシステム」という名称で採用されています。
総スピーカー数、サブウーファーやリアスピーカーの仕組みに違いはありますが、フロントのハイレンジスピーカーにCSTユニットが採用され、デジタルマルチアンプで駆動されている点は共通しています。
フロント3way(+センター)の構成そのものは珍しくありませんが、ユニット数が多くなるほど、帯域の切り分けや、位相あわせの精度が音質上の課題になってくるので、特に耳に届きやすい中高音域にCSTを採用した当システムは、従来の3wayシステムと一線を画した音質を備えているように思います。
これだけの革新性を持ったシステムなので、飛距離はだいぶ出そうですが、特別感が薄らぐ日がやってくるかもしれません。
そういったケースの改善案として、今回の事例を捉えていただければいいのではと思います。
1つ目のパターンは今回と同様で、純正アンプを活かして、ハイレンジをCX100に、ウーファーは同BLUE MOON AUDIOの2wayから選んで組み合わせ、ドアのデッドニングもしっかりやります。
コスト的にはこれが最もコスパが良さそうですが、2つ目のパターンとしては、純正アンプをDSPアンプに入れ換えて駆動するパターンですね。
この場合は、タイムアライメント調整による、音のフォーカス設定が可能になるので、コスト増分の感動は得られると思います。
もし、音質の改善を図ってみたい、情報量をもう少し上げてみたい、音の輪郭をシャープにしてみたいと感じる日が来ましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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