フェラーリFFのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
フェラーリFFの事例ご紹介です。
皆様のフェラーリのイメージというと、2ドアで流麗なクーペ、あるいはコンバーチブル。で真っ赤か黄色。というところが多いんじゃないでしょうか。
よく引き合いに出されるポルシェにしても、もともとは2ドアクーペRRで空冷が基本だったわけで、それぞれのブランドイメージと車のタイプがぴったり合致していました。
しかしながら、時代の変化とともにスタイリングに多様性が生まれ、今やほとんどの欧州高級メーカーが背が高いSUVをラインアップする時代です。
そういう時の流れの1ページを飾ったのが今回のフェラーリFFで、今のところ、フェラーリ唯一のシューティングブレーク(≒ステーションワゴン)です。
生産は2011年−2016年で、現在は製造されていませんが、大変ユニークな車でひとしきり話題になりました。
というのも、単に初のワゴンというだけではなく機関が超絶なのです。ワゴンというと、その用途からして比較的大人しいイメージで捉えてしまいますが、(2021年時点でも)フェラーリ最大最強の6300cc・V12気筒、660馬力を発生するエンジンを積み、新開発の4WDシステムで大地を刻むという、ファミリーユースの温もりを微塵も感じさせない、まさにモンスターなのです。
それだけのスペックの車なので、新車価格は3,300万円とやはり高額で、現在の中古価格も2,000万円を挟んだ高い評価が与えられているようです。
今回お迎えしたFFは、シックな黒がキリッときまった一台です。
かねてより当店をご利用いただいているお客様で、増車したのでよろしく♪ということでご用命いただきました。
お客様は当店で人気のブルームーンオーディオの音を気に入っていただいており、別の車でSX165をお使いなので、今回はワンランク上げて、AX165をご指定いただきました。
もともとのオーディオシステムには、特にご不満の点や課題があるわけではないので、純粋にブルームーンの音を楽しむためのフロント2wayのスピーカー交換+デッドニングです。
一応、慣例にそってシステム概要をご説明しますと。
○標準のオーディオシステム
これだけの車格の車ですので、JBLのプレミアムオーディオシステムが搭載されています。
ヘッドユニットの他にセパレート式のアンプを積み、12スピーカー(フロント3way+センター、リヤ2way、サブウーファー)を駆動する立派なシステムです。
さらに鳴らし方も凝っています。
音のテイストを変えるためのDSPが12チャンネル制御となっており、フロントドアのウーファーと、トランクのサブウーファーは力量を出すためにダブルボイス形式を採用しているため、アンプは3ch多い15ch分装備しています。
○次第にスピーカーに移ります・・・
今回はブルームーンサウンドを楽しみたい♪という明確な目的がありますので、フロント3way+センターのうち、センターと中域のスコーカーに関しては、意図的に音量を下げるべく、スピーカーケーブルの途中に抵抗を入れて音量を絞り、AX165のツイーターとウーファーの2wayがはっきり前に出るように調整しました。
接続にあたっては、純正ツイーターにはハイパスフィルタが付いていて、ケーブルにはAX165のツイーターの許容値より低い帯域が出力されていましたので、ユニットだけの入れ替えではなく、AX165に付属しているネットワークを介在させた接続方法を取りました。
AX165のネットワークは、片側2系統を入力できるバイアンプ対応式です。ツイーター用とウーファー用配線をそれぞれ入力し、低域側が高域側に及ぼす悪影響を抑えつつ、音を上下に振り分けて出力してくれるので、入力信号への忠実度は保ったうえで、AXのツイーターとウーファーをうまくすり合わせ、メーカーの意図に近い音を再現してくれます。
○その他
オーディオの他にレーダーも取り付けました。
YUPITERUのZ830DRというモデルで、レーザー&レーダー探知機+前後2カメラドライブレコーダー+セーフティモニター(+制御ユニット)という、6ピースセパレート仕様の製品です。
品数が多いのも理由の一つですが、内装の組付けの方法が特殊(内装が瓦のようにすこしづつ重なっているので、Aピラーカバーを外すのにリアトランク取り外しから着手しなくてはならない)なのと、高級車らしく、取り付けそのものが硬いのとで、オーディオとは別に、丸々2日要しました。
フロント2wayの取り付けでは、ネットワークの取り付け場所確保にちょっと苦労して、、レーダー取り付けではカナリ汗をかいて、、なんとか満足できる形で仕上がりました♪
施工の様子をどうぞごらんください。
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フロントドア
フロントドアの外観です。
なんともかっこよいデザインのドアですね。
後方に向かってゆっくり跳ね上がってゆくラインが、シューティングブレイクのルーフにつながるイメージなのでしょうか。
肘掛け部分がバックスキンの切り替えになってるのもメリハリが効いてていいですね!
フロントドアのスピーカーレイアウトはフロンtの3wayのうち、ツイーターとウーファーです。
ツイーターはハンドル上の○ですね。ウーファーの方は、ハンドルの前方のメッシュグリルの中です。下方を横切るバックスキンのベルト状のラインに3分の1ほど覆われた格好になっています。 -
ドアトリム取り外し中
2分割のトリムの内側を外したところです。
言葉で書くと一行ですんじゃいますが、一般的な車と比べて構造が複雑で大変でした。
多くの車は、ハンドルなどの力のかかるところと、ほか数箇所がネジで止まっていて、その後の大きなパネルはクリップ中心ではまっていますが、この車は内側もネジ止めになっています。
それはいいんですが、バックスキンで覆われたベルト状のパーツは、どこからネジにアクセスできるか見つけにくく、最初の取っ掛かりでだいぶ難儀しました。
数を経験しないとだめですねー。
純正スピーカーが顔をのぞかせていますね。
例のバックスキンベルトの存在は絶対だったようで、だいぶ冷遇されています。
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アウターパネル作業
トリムを全部外して、アウターの防振を済ませたところです。
パーツ点数が多く、複雑に造り込まれたドアです。アウターパネルと外周のフレームが溶接され、右半分を覆っているインナーパネルがリベットでガッチリかしめられているようです。
ボディも含め、剛性感はかなりのものです。さすがは最大トルク70キロもあるエンジンを積んだ車だけのことはあります。
スピーカー取付部は、四方を十分な広さの鉄板に囲まれた立地で、土台としては申し分ありません。
一般的な車に比べて右側と下方にも余裕があるので、背圧の分散の点でアドバンテージが大きく、なかなか好条件です♪
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インナーパネル作業
インナー側が終わったところです。
ワンランクアップでお選びいただいたAX165のウーファーが誇らしげに納まっております。
社外のスピーカー取り付けに際して、一般的にはMDFやメタル、あるいはそれら組み合わせたバッフルを用意しますが、今回はドアトリムのデザインの都合で、トリムとスピーカーが非常に接近した作りになっているため、15ミリ、20ミリといった厚みのバッフルを挟むことができませんでした。
そのため、ごく薄いハッフルが必要になってくるわけです。MDFも5ミリ厚といった薄手のものもあるにはありますが、歪みも出やすいですし、締結力確保の都合上、木質で5ミリ厚は脆弱です。結果的に今回は一定の硬度があり、音響的な特性の良好なアクリルで作ることにしました。
厚みは5ミリ厚で、穴あけの加工はアクリル素材ならではの手法をとっています。インナーパネルとの固定は、スピーカーホールの周囲に元から開いている4つのネジ穴に合うように穴を開けました。これはMDFでも同じですね。そしてスピーカーユニット取付用の穴はスピーカーのネジ穴に合わせて下穴を開けたのち、タップを切りました(タップ=穴の内側にネジ山を刻む作業)
これにより、バッフルそのものは元のネジ穴で整然と固定され、スピーカーもタップを切ったネジ穴のおかげで、十分な締結力をもって固定される状態に仕上がりました。
スピーカー配線についても触れておきます。
今回は純正のスピーカーケーブル引き替えずに結線しています。冒頭の接続図に表現されているネットワーク、並びにセンターとスコーカーに噛ませた抵抗は、フロント周りではなくトランク付近にあるアンプのすぐ側に取り付けているので、その後、ドア内にまで至るケーブルは純正のままです。
ただツイーターに至る部分についてのみ、脱着できるようにギボシ加工が必要なので、赤/灰の当店のケーブルに置き換わっています。
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ドアトリムの加工
ドアトリムのスピーカー付近を加工しているところです。
ドアトリムとスピーカーが接する部分を裏側から見ています。
ご覧のように、スピーカーが顔を出す穴の周りを壁が囲っています。この壁の内径が純正スピーカーの外径ときれいにフィットするように設計されているので、スピーカーから発生した波動がトリム内の空間へ逃げにくくなっており、オーディオ的には大変優れた設計といえます。
ただ、今回取り付けたAX165は純正よりも少し大きいし、スピーカーユニット周囲のフランジ部分の状況が純正スピーカーとは変化しているのでこの壁が干渉してしまいます。よって、ここを干渉が解消する水準まで切除しました。
ただ、このパネルは相応の強度をもたせたかったのか、粉体を固めたようなカチカチの素材で成形されていて、削るとやたらと粉塵が発生するため作業性がよくありませんでした。
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ドアトリム加工後
加工後に干渉の程度を確認しているところです。
切削量は5ミリ程度だったでしょうか、グッと押し込んでも、一番距離の近いネジ頭に接触しなくなりました。スッキリと収まっていますね。
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純正ツイーター
純正ツイーターを裏から見ているところです。
取り付け場所はサイドミラー取り付け位置から10センチほど下がったあたりです。
ツイーターユニットの裏に電子部品がついているのがおわかりになるでしょうか?これはコンデンサーで、流入する信号の周波数の下限をカットする目的で取り付けられています。フィルター、あるいはハイパスフィルターと呼ばれます。
これがあるということは、ツイーターに直接入力したら都合が悪い(壊してしまう)程度の低い周波数が供給されていると判断できます。
セパレート型のスピーカーシステムをもつ多くの車で、1chのフルレンジ、あるいはローパスをかけた1組のケーブルをスコーカーorウーファーと、ツイーターとの間で共有し、ツイーター側に帯域分割と防護の目的でコンデンサーを付けるという回路設計が採用されます。ケーブル1本とコンデンサーでセパレートシステムを演出できるので、コスパのよい方法です。
しかしながら、ケーブル共有なので、ツイーターが低域信号の影響を受けてディテールが崩れやすいというデメリットはあります。
翻って、今回のフロント3wayシステムを見てみると、一本・一系統を共有しておらず、すべて独立したケーブルで接続されていました。アンプ出力段階で完全に帯域分割できるはずの12chDSP搭載なので、水際でハイパスフィルターをかけている理由がわかりませんが、なにかの都合があったのでしょう。
この状況を踏まえて、ツイーターに供給される信号にハイパスをかけ、近接するウーファーにローパスをかける目的で、AX165に付属しているネットワークを取り付けて、信号を整理することにしました。 -
標準位置ツイーター取付
AX165のツイーターを取り付けたところです。
このツイーターはアルミのハウジングに納まっていて、内側のユニットだけ取り出すことができないので、このケースごと保持できるようなバッフルをこしらえてフィッティングする予定でいたのですが、、純正ユニットが取り付けられていたネジ穴の内側にちょうど収まるのに気づいたため、ごく軽加工で取り付けることができました。
ユニットを保持しているシルバーの金具は、バンド状のステンレス板に等間隔の穴を開けてある汎用の取付金具です。
ツイーターのフランジ部に噛み合うように、先端をキュッと鋭角に曲げて、純正のネジ穴が終わったところでカット。なかなか収まりの良い取付金具ができあがりました。
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トランク下
最後の2コマはトランク内の様子をご覧いただきます。
写真の左側がリアバンパーという位置関係です。
この銀色のは、ご想像のとおりJBL純正のアンプです。12チャンネルのDSP機能をもち、アンプは15ch装備しています。
前述の通り、スピーカーケーブルはすべて純正のままです。そのため、センタースピーカーとスコーカーの音量を下げるための抵抗も、AX165付属のネットワーク(左手前)も、すべてここで取り付けています。
ネットワークは、きれいなアクリル板のケースに納まっているのですが、フロアボードとのクリアランスの都合で中身の基盤だけ取り出して取り付けました。むき出しなのでショートしそうに見えると思いますが、背面の絶縁は十分に行っていますので大丈夫です。 -
サブウーファー
こちらは単なるスナップ写真。資料画像です。
サブウーファーユニットはトランクサイドに取り付けられていました。よく選ばれるポジションですね。
狭小スペースを最大に活かすべく、オーバル形状のユニットが用いられています。背面のエンクロージャーはフェンダー内のラインに合わせて造形されています。
最初の調査でアンプの出力先を調べていたところ、このサブウーファーへ2ch割り当てられていることがわかり、DVC(デュアルボイスコイル)形式であると判断できました。さらにパワーを追求しようということですね。
これと同様に、両ドアのウーファーもDVCでした。
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作業後記
今回はフェラーリFFのサウンドアップ事例をご覧いただきました。
本文で繰り返しお伝えしたように、12個ものスピーカー数を誇るプレミアムサウンドシステムですので、全部取り替えようと思うと、商品代金も工賃もだいぶ膨らむところですが、他車で気に入っていただいているブルームーンサウンドを楽しみたいという動機により、2way部分だけのグレードアップでしたので、そこそこのコストで収まりました。
当店にとって、初めてお預かりする車でしたので、多少不透明なところもありましたが、大過なく済みましたのでホッとしております。
特にフロントウーファー部分は、ドアトリムのデザイン重視で窮屈な取り付け方をしてありましたので、アクリルバッフルによる高さを抑えた取り付けと、ドアトリム裏の切削によるクリアランス確保のあわせ技で切り抜けることができ、少し自信を深めることができました。
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今回は2wayの交換のみでしたが、仮に2wayあるいは3way+センターを交換して、DSPアンプで全体を制御してみようと思う場合、純正スピーカーケーブルを活用する前提だと、比較的低コストでできます。
その理由は本文中でも触れましたとおり、アンプから全ユニットに対して個別にスピーカーケーブルがつながっているからです。
純正アンプの出口のところでスピーカー出力を確保し、HELIX V-TWELVE DSPのような多チャンネル対応DSPアンプを経由して、即、純正スピーカーケーブルに戻して(出力して)やれば、(スピーカー取付を除いて)室内はほぼ無加工でいけるということになります。
接続例として考えると、フロントウーファーをダブルボイスコイルでない社外品に交換すれば、必要となるアンプのch数は13個になります。ここから、ダブルボイスコイル方式のサブウーファーの結線方法を細工してシングルコイル扱いとして計12chにするか、あるいは全体への寄与度の低そうなリヤのルーフスピーカーふたつをキャンセルして11chに減らすかすれば、HELIX V-TWELVE DSPでまかなえるということになります。
もともとのシステムはさすがJBLで、それなりのレベルをもっておりますが、違う世界も味わってみたいとお考えのオーナー様がいらっしゃいましたらどうぞご検討ください。
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今回のエントリ内では写真つきで解説できませんでしたが、冒頭で少し触れましたように、6ピース構成のドラレコ・レーダー探知機も取り付けました。実はこの作業のほうがオーディオの何倍も手がかかりました。
この系統の製品を取り付ける場合、必ずAピラーを脱着することになるわけですが、これを外すのに、じつはリアトランクの内装から順番に外していかなくてならないという構造になっており、所要丸2日という大仕事になりました。
そんな顛末で写真撮影を忘れてしまったというわけですが、お陰様で構造をひととおり把握することができましたので、室内のガジェットをきれいに取り付けたいニーズがありましたら、どうぞお声掛けください。
ご相談はお気軽にどうぞ♪
電話もお気軽に♪03-5913-8450です!
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