スズキジムニーのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
今回はスズキ・ジムニーの事例ご紹介です。
現行のJB64/74型が発売されたのが2018年ですから今年で3年目になりますが、一向に人気が一段落する気配が感じられません。。
約20年ぶりのフルモデルチェンジでしたから、待ちに待っていたファンの怒涛の注文は一巡したのでしょうけど、そこで息切れしてしまうような車じゃないようですね。2018年にスズキ車で初めてグッドデザイン賞を受賞したのに加えて、2019年には、日本車で初めて世界カーオブザイヤーワールドアーバンカー賞まで受賞した価値への評価はまだまだ済んでいないようです。
時代の空気にしっくりマッチする、シャープでミニマルなデザインと機能に対する評価をじっくり織り込みながら、往年のファンのみならず、このタイプのクルマは初めてというユーザーの注目も集めて、納車待ちの列は銀河に向かって♪果てしなく伸び続けているようです(^_^)
今回ご登場のジムニー・シエラは、純正スピーカーからステップアップしたいということで、スピーカー交換を含めたドア周りの手入れでご相談いただきました。
オーナー様のお好みのジャンルの傾向から、BLUE MOON AUDIO製スピーカーをお選びいただき、サウンドアッププログラムによるスピーカー交換・取付と防振をご依頼いただきました。
○ヘッドユニット
パナソニックのCN-F1X10Dです。こちらは既に交換済みの状態でのご入庫でした。
2DINボディに10V型のモニタがついたフローティングタイプの最新ナビです。このカテゴリではご存知アルパインのBIG-Xシリーズが頑張っていますが、こちらもなかなか個性がありますね。「狭額縁10V型」大画面を差別化ポイントにした商品で、たしかにワクが狭いので、画面の大きさが際立って感じられ、気分がアガります♪(実際デカイんですが)
内蔵のアンプは一般的な4chで、出力は18W(定格)・50W(最大)とこちらも一般的な水準です。
ジムニーのリヤスピーカーは、標準では装備されない(オプション)こともあり、この4ch全てをフロント2wayスピーカーに割り当て、いわゆる「バイアンプ接続」で鳴らすことになりました。
○スピーカー
当店を代表する人気国産ブランド!BLUE MOON AUDIOのSX165(税込48,400円)です。
同ブランドの2wayスピーカーシリーズはフラッグシップのRX165、ミドルグレードのAX165、ベースグレードのSX165と3グレード展開となっており、同ブランドのエッセンスをリーズナブルにお楽しみいただけるSX165をお選びいただきました。
この2wayスピーカーセットのウーファー径は文字通り165ミリで、カー用としてはごく一般的なサイズですが、ジムニーの純正スピーカーは公称の直径13センチ(実測約10センチ)でスピーカーホールが内径110ミリと、最近のクルマでは五本の指に入るほど小さいため、「何を目的にどういう取り付け方をするか」よく考える必要があります。
110ミリ直径のスピーカーホールに対して、165ミリ(≒国産17センチクラス)のスピーカーに適した、内径145ミリクラスのバッフルを付けた場合、せっかく確保した広い内径が、純正スピーカーホール周囲の鉄板によって145-110=35ミリ分「絞られる」格好になります。面積ベースで計算すると、バッフル内径の41%分が鉄板で邪魔されることとなります。クルマによっては、ほんの少し内側に飛び出すことは時々ありますが、これだけ大きく絞られるとなると、スピーカーの振動板の裏側に発生する背圧が、ドア内に排出される流れを阻害するデメリットが無視できなくなります。
この「飛び出し鉄板」による背圧排出のブレーキ効果は常に生じますので、音のディテールを全帯域で崩す原因となりますが、特に中→大音量へのボリューム増大に伴って乱反射が著しくなり、音のコモリ・歪みが顕在化し、行き場を失った波動が暴れて振動板を後ろから押し返し、低域が伸びないばかりか、中高域までも濁す結果に・・・。せっかくの大排気量エンジンを細いマフラーで排気を詰めちゃうような格好になり、お世辞にもベストな稼働環境とは言えなくなります。
今回は、この背圧の排出の妨げとなる、純正スピーカーホール周囲の鉄板を必要最低限、切除し、MDFバッフルの内径の内側への飛び出しが生じない状態に仕上げ、ウーファーを取り付けました(※とは言っても、純正スピーカーへの戻しは可能です)
セパレートツイーターは。砲弾型のポッドに収めて、ダッシュボードの両側に両面テープで固定し、高い位置に音像が結像するように計らいました。
○防振
スピーカーの適切な取付と同じく重要なのが、ドアの防振です。
これを省くと、インナーパネルに空いているサービスホールを通じて、スピーカーの振動板の前と後ろの空気がつながってしまうことになり、振動板が前に動いても後ろに動いても損失が生じ、高域も低域も大幅に損なわれます。また、鉄板がスピーカー振動板から発生する波動に共振して、ビビリを生じさせることになります。
当店ではアンプの出力やスピーカーのスペックに応じて、段階的に制振力を変えた防振方法を提供しておりますが、大きくは?内蔵アンプか?外部アンプの二択です。今回は内蔵アンプ前提のマイルドな制振力を発生させるドアチューニングで施工しました。
○ケーブル
当店のサウンドアッププログラムでは、上記のカスタムバッフルによるスピーカー取付と、ドア防振に加えて、スピーカーケーブル交換まで含めて施工します。
今回は、ナビ裏から両ドアのウーファーと、両ダッシュボードのツイーターへの4経路について、当店のベースグレードクラスのkaiser swing交換しました。
以上、音質向上を最大の目的とし、スピーカーの性能をきちんと引き出すための、セオリー通りの工法を適用して施工させていただきました。
社外スピーカーの伸びやかな音を堪能できて、いざとなれば純正戻しも可能な工法です。
施工の様子をどうぞご覧ください♪
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フロントドア
シャープでスクエアなエクステリアとテイストを同じくした、すっきりデザインです。
純正スピーカーは公称13センチで、振動板の正味のサイズは、周囲のダンパーを含んで約10センチですので、グリルも小ぶりですね。(デザイン的にはとてもしっくり来てますが♪)
純正スピーカーの配置はフロンドドアのスピーカーだけで、リヤはオプションになっています。
社外の2wayスピーカー取付の際のツイーター設置位置は、今回のように車両への加工は行わないでダッシュボード上に置くパターンか、あるいはドアミラーの後ろのカバーに埋め込むパターンのいずれかになります。 -
ドアトリム取り外し
ドアトリムを外した状態です。
各種電装品を一枚のパネルに集約したモジュールパネル式ではなく、サービスホール&ビニール&ブチルゴムのオーソドックスな造りです。
全くの新車なので、ビニールがきれいです。向こうが手にとるように見えちゃって、摩周湖といい勝負なんじゃないでしょうか。
前述の通り、純正スピーカーは公称13センチ、ダンパー含む振動板は正味10センチと言ったところですので、見るからに小ぶりですね。
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アウターパネル防振
アウターパネルの防振が終わったところです。
透明なビニールシートを剥がして、インナー/アウター共にパネルを清掃・脱脂したら、アウターパネルに防振材を貼ります。
マイルドな制振力を持たせるために、オーディオテクニカのAT7560Rを使います。
全面を埋め尽くしていないと不安に感じられるかもしれませんが、適切に距離を開けながら配置すれば、貼ってるところも貼ってないところも同等の耐振動性を示すようになります。
かたよって貼ると、より抵抗の低いところに電流が集中するのと同様に、手薄なところに振動が集中するのでいけません。まんべんなく、均等であることが大事です。
ドアチューニングの際のアウターパネルに貼るAT7560Rの標準枚数は5枚で設定してますが、今回はちょっと増量しています。
この後、直径110ミリの純正スピーカーホール145ミリまで拡大して、バッフル固定用ボルト穴をあけ、防虫処理を施します。 -
インナーパネル作業
インナーパネル側の作業は一巡したところです。
スピーカーホールを拡大したインナーパネルに、内径145ミリのカスタムバッフルをボルト留めし、ナビの裏から引き直しておいたスピーカーケーブルに接続して、BLUE MOON AUDIOのSX165のウーファーを取付けます。
インナーパネルの防振はご覧のとおりです。
スピーカーの振動板の前後の空気は「縁切り」する必要がありますので、大穴(サービスホール)はすべて塞いだ上で、ドア内を駆け巡るスピーカーの振動にインナーパネルが付和雷同しないように、重み付けをしてやります。
ご想像のとおり、ゴツゴツしたリブの入っているところより、ツルンと平らなところのほうが振動しやすいので、その点、留意します。願わくばスピーカーの真下のところも貼りたいところですが、下から10センチ位は鉄板むき出しのデザインなので、そうもいきませんね。音質向上への寄与度がより高い(スピーカー取付に関する)ファクターを優先できているし、理屈優先で見えるトコまで貼ったらヘンななオタクになっちゃいますので、ここは放免してやりましょう。
あと、この写真に写っているアイテムはスピーカー周りのスポンジですね。
ドアトリムのスピーカーグリルがだいぶ接近しているので、防護目的も兼ねて、硬めスポンジを巻いておきます。
これはドアトリムに対して、そこそこのテンションで接触しているので、クッと押し込んでみるとそれなりの手応えが感じられます。
なお、説明の順番が逆になっちゃいましたが、このスポンジの第一の目的はスピーカーの振動板が押し出す空気が脇(ドアトリム内)に抜けて、ドアトリムを共振させるのを防ぐことです。ドアトリム共振の防止のためにトリムに防振材を貼る方は少なくありませんが、そこまでの気合入ってるわけじゃないし、という方はぜひスポンジだけはやっとくといいと思います。
製品名はオーディオテクニカの、サウンドプルーフィングウェーブを(AT-AQ444)です。
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スピーカーホール考察
資料画像です。
繰り返し触れておりますように、このクルマは現行の市販車では滅多に無いくらいにスピーカーホールが小さいので、スピーカーインストールのご相談を受けるにあたり、ホール拡大のご意向の有無を伺うことになります。
一応オーディオ屋さんとして応対してるのですから、17センチクラスを設計通りに鳴らすには小さいですよ(小声)、、と進言するのが基本姿勢ですが、スピーカー交換というイベントに求める満足感の置きどころによっては、「まあ、そこまでガチじゃないし。」と、加工したくないという方も少なくありません。
太古の昔のオーディオショップだと、激アツ店長のマシンガントークにわざと乗ってみるような、プロレス的な文化もありましたが、本来は加工するかしないかはお客様がお決めになることですし、ましてや当店が加工を強いるなんてことは決して無いわけです。
とはいえ、サービス提供者として、フェアな判断材料はお示ししておきたいと思い、言葉での説明に加えて、こんな画像をこしらえてみました。
ご覧いただくとお察しいただけると思いますが、内側の線がもともとのスピーカーホールの線で、外側が17センチクラスのスピーカーをストレスなく鳴らすのに必要な穴径(=バッフルの内径)です。位置的には、振動板のまわりを囲っているダンパー(プヨンとしたゴム)の外周あたりに相当します。
冒頭の繰り返しになりますが、数値で表現すると、外側の穴の面積に対して、41%を減じた水準が内側の穴になります。
交換後のバッフルの内側に飛び出した鉄板が、振動板が前後する際に生じる背圧のヌケの抵抗になりそうだなぁというのが感覚的におわかりになると思いますし、ときに気持ちよく大きめボリュームで鳴らそうとすれば(振動板の振動幅が大きくなれば)、袋小路での振動が大きくなり、振動板の動きに大きく負担が生じる・・のもご想像いただけると思います。
説明は以上です。
最後になりますが、無加工での取付というチョイスも、それはそれでアリです。もともと少しうるさいクルマですし、スピーカーのスペックは確実に上がるわけですから、中以下の音量で、かつ他と比較しない範囲ではそれなりに良い音に聴こえるはずです。ただ、設計通りのスピーカーの性能は引き出せてないし、音量を大きくするにつれて、音が詰まって音像が歪んでしまう構造的な特性をもった状態であることはご理解いただく必要はあると思います。 -
ツイーター設置
スピーカー周りの話はおわって、ツイーターの設置状況をごらんください。
冒頭でも触れましたように、砲弾型のツイーターポッドにツイーターユニットを納めて、ダッシュボード上に配置しました。
これは、ここのところチョイチョイ出番のある汎用ポッドで、価格は税込11,000円です。
国内大手メーカーの2wayキットだと見栄えの良いツイーター台が付属していますが、ほとんどの海外メーカーには付属してませんので、こういう製品が役に立ちます。
構成パーツは砲弾型のカップと足とリングの3点で、足が別れているので、取り付け後も仰角の調整ができて気が利いています。
ただ、リングの内径については52.5ミリのワンサイズなので、合うものにしか合いません。
そこで、得意技の3Dプリンターを使って、取り付けるツイーターに合わせた専用リングを制作してフィッティングしています。
なお、ダッシュボードへの取付は両面テープです。熱がかかる車内用途に向いた素材をつかっていますので容易に取れるようなことはありません。当然ながら取り外し(剥離)も綺麗にできますので、その点も問題ありません。(製品にはネジもあるので、ピラー取り付け時はネジ固定も可)
最後に配線の件ですが、冒頭の配線図にお示ししましたように、ナビの4ch内蔵アンプのそれぞれに1ユニットをつなげるバイアンプ接続方式を採っています。
ウーファーはフロント出力にそのままつなげていますが、リヤ出力につないだツイーターには、低域カットのためのハイパスフィルターを介在させています。
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作業後記
今回はジムニーのフロント2way化&バイアンプ駆動の事例を御覧いただきました。
本文中では、スピーカーホール拡大に関する説明文がだいぶ長くなってしまいましたが、スピーカーさえ交換すれば、性能通りのステキな音が楽しめる♪と期待されているお客様が多く、その都度、ホントのところをうまくお伝えするのに苦慮していたので、ついついくどくなってしまいました。ご勘弁ください。m(_ _)m
なんといっても、標準13センチスピーカーで、穴径も110ミリと現行の市販車で最小です(一部の軽トラで近いのがあったと思いますがこれより小さいのは見たことがない)ここに「排気量」のおおきなスピーカーをポン付けして、必要な後方排気を確保するのは無理があるので、ストレスなく鳴らしたい場合は拡大は必要(´・ω・`)。という申し上げ方にならざるを得ないですね。一応オーディオショップですし。
文中でも触れましたとおり、加工した後でも、ネジ穴を工作することで純正スピーカー戻しは可能ですので、その条件も含めて、ご自身の方針を決めてみてください(^O^)。
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アンプの接続については、最近ご紹介の頻度が高いバイアンプ接続でした。
この場合、デッキ側にDSP的な機能(周波数帯の調整機能)があると助かるんですが、ない場合はバイアンプ接続対応のネットワーク付きのスピーカーを選ぶか、今回のようにフィルタをいれて解決することになります。
今の所、ツイーター側に(低域をカットする)ハイパスフィルタを入れることで対応していますが、中低域を受け持つウーファー側に対しても、(高域をカットする)ローパスフィルタをいれるのがベストです。
このあたりについては、よりリーズナブルな価格でご提供できるようにオリジナルフィルタセット的なものを企画しようと思っております。ご興味があればお声掛け下さい。
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ドラレコ・レーダー・ETC取り付けなどの軽作業から、スピーカー取り付け、旧型車のオーディオリフレッシュ、果てはフルオーディオまで。
ご希望とご予算に応じて柔軟にプランさせていただきます。
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