トヨタセルシオのオーディオインストール事例
サウンドプロ自慢のインストール事例を御覧いただけるコーナーです。
豊富な写真と解説、関連の話題などもご覧いただけます。
当店ご利用前の作業レベルの評価や、施工プラン検討の材料としてご活用ください。
<事例No.657以前は税別表記です。読み替えをお願いします>
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事例No.387(お問い合わせの際にお伝えください)
model
トヨタ セルシオ
system
メインユニット:Carrozzeria DEH-P01
デッドニング:フロント
フロントスピーカー:Carrozzeria TS-Z132PRS
リアスピーカー:なし
パワーアンプ:LIGHTNINGAUDIO LA-4100、RockfordFosgate PRIME R250-1
ケーブル:kaiser swing、audiotechnica
comment
他店さまインストールのやり直しをご依頼いただきました。
改善効果には随分と喜んでいただけましたが、着手前はビビり放題・ノイズ乗り放題とあまりにひどい状態でしたので、業界に身を置く者としては、ちょっと複雑な気分になりました。
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ダッシュボード全景
さすがトヨタのフラッグシップ車ですね。実に20年経っていますが、メーター類、電装品ともに不具合無く稼働しています。
が、しかしオーディオの方はちゃんと聞ける状態ではありません。
個々の機器自体はいいものなのですが、取り付け・結線の状態が悪く、低ボリュームでも随所がビビり、ノイズも乗っています。そこそこのお金がかかっているでしょうに、これではオーナーさんも車も可哀想です。
ということで、今回は他店さんインストールの手直し、否、再インストールといった趣のお仕事です。
オーディオ機器の構成は変更しませんが、取り付けと接続を全面的にやり直し、性能に見合った音が出るように仕上げます。
ヘッドユニットはカロッツェリアのDEH-P01、フロント側はライトニングオーディオの4chアンプを介して、カロッツェリアの2wayスピーカーTS-Z132PRS。サブウーファーはロックフォードのアンプからカロッツェリアのユニットです。
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メインユニット
パイオニアのハイエンドユニットであるDEH-P01(定価10万円)が装着されていました。
厳選されたパーツとこだわりの設計の評価の高いデッキです。
しかしながら接続、設定ともにおかしな状態でした。
このデッキは、以下の出力端子を持っていまして・・
(1)ツイーター(ローカット)
(2)ミッド(フルレンジ)
(3)ロー(フルレンジ)
(4)サブウーファー(ハイカット)
(2)は必ず接続、その他は接続の有無を選択できるようになっています。
ご入庫いただいた状態では、(1)にツイーター、(3)にウーファー、 (4)にサブウーファーを繋げてありました。
この状態でも音が鳴らないわけではありませんが、各ユニットの受け持ちの帯域をきめる「クロスオーバー」の画面に、常に(2)が表示されるので、設定が感覚的につかみにくくやりにくいのです。
手直し後は、(1)(2)にツイーターとウーファー、(4)サブウーファーとしました。
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フロントドア(作業前)
ドアの内装を外してみたところです。
あまりキレイではない点は置いておいても、防振材が足りていない点や、防振材の浮きを無理にアルミテープで抑えてある点などが認められ、一見してビビリの原因がわかるような状態でした。
スピーカーの取り付け方法もビビリの大きな原因の一つでした。
このスピーカーはカロッツェリアRSと肩を並べるハイエンドユニットで、その類まれなパフォーマンスを引き出すには、バッフルを介したしっかりとした取り付けが必須なのですが、純正ユニットが乗っていた樹脂製のボックスをそのまま使い、ユニットだけ差し替えた格好でした。
ボックスの防振はしてあるにはありましたが、不十分といえる状態でした。
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フロントドア(作業後)
全面的に作業をやりなおしました。
アウターパネルへのアクセスの必要があるので、前後の大きなサービスホールにあてがってあるレアルシルトは外し、防振目的で貼ってあるピースは剥がさずに、浮いているところを切り目を入れて密着させました。
アウターパネルには防振がされていませんでしたので、デッドニンググレードの工法として、stpのBOMBを短冊貼りし、さらに、ユニット背面にはレアルシルトディフュージョンも配置しました。
スピーカーは、防水処理したMDFで制作したインナーバッフルを介して取り付けました。
インナーパネルはの防振は、stpのGOLD AEROを全面貼りして対応しました。
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サブウーハー(作業前)
サブウーファーは純正位置であるリアトレイの中央にトレードインされていました。
ちょっとでも音を出そうものならビビりまくってしまうらしく、ミュート(音を出さない)状態にしておられました。
サブウーファーアンプまで投入してこれでは、宝の持ち腐れもいいところです。
ビビり音の原因は至る所にあったのですが、防振を中心に解決策を講じます。 -
サブウーハー(作業後)
手直し後の状態です。全面的にstpのBOMB AEROで防振しました。
純正サブウーファーがこの位置にあるのは珍しいことではありませんが、途中に支柱のない大きな鉄板の中央に、運動量の大きな社外サブウーファーユニットが来るのですから、共鳴、共振は容易に起こります。
今回は、なんとかこの手当によって問題はほぼ解決されましたが、設計された性能を引き出すには、リアトレイではなく、MDFなりアクリルなりのボックスにスピーカーを取り付ける工法をお勧めいたします。
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電源ケーブル(作業前)
非常にキケンな香りのする電源ケーブル。助手席脇のサイドシルのところです。
バッテリー側から来た4AWG(太い方)が、8AWG2本とハンダ付けされて、トランクへ向かい、アンプにつながっていました。ハンダ付け部分の絶縁は、ビニールテープによる簡易的なものでした。
ケーブルの継ぎ足しや分岐そのものはやっていけないことではありませんが、適切な端子等を用いた圧着が基本です。
圧着なしに表面的にハンダ付けしてあるので、抵抗が大きくなり、発熱・発火の恐れがあります。
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電源ケーブル(作業後)
手直し後です。
本来ならば、太い線でトランクまで引いて、ヒューズブロックから各アンプに分ければ良いので、ここで分岐させる意味はありません。
しかしながら予算の問題もありますので、ひとまず安全が確保できるよう、適切な端子を使って結線しました。
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ツイーター
ツイーターの固定については、特に手直しは行いませんでした。
しかしながら、ツイーターのスペックに対してケーブルのグレードが低く、かなりバランスの悪い状態でしたので、ケーブル交換はいたしました。
施工店では、スピーカーケーブルで音なんか変わらないと言われたそうですが、、、なんだかしんみりしてしまいますね。
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その他に気になったところ
お見積もり段階での現状調査のため、一通り拝見したのですが、基本とされる事柄の多くが疎かになっている印象を持ちました。
(左上)
エンジンルームの電源引き込みのグロメットは防水処理がされておりませんでした。これはアウトです。
コルゲートチューブを使用しているところまではよかったのですが。。
(右上)
パワーアンプのアースは各種繋ぎ合わせて引いてありました。アースポイントは塗装部分の磨きも無く、電気が通ればオッケーという状態です。
御存知の通り、電気回路は輪になっている訳ですので、このアースポイントがボトルネックになり、回路全体の電流の流れが抑制され、その分、各機器のパフォーマンスが低下します。
(左下)
リアトレイには何か吊ってあった痕跡がありました。古いナビの本体を吊るすブラケットかなと思います。
締め付けが不十分でグラグラしてましたので、これもビビリの一因となっていました。
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作業後記
今回は他店さんインストールの手直し事例のご紹介でした。
他店さんの仕事の良し悪しに言及することは、あまり気持ちの良いことではありませんが、ここまでひどいと業界の一員として看過できません。
施工内容と価格の妥当性の判断基準をお持ちでない多くのお客様への情報提供になればと思い、取り上げた次第です。
業界内でお付き合いさせていただいている多くのショップ様は、ほんとにキチンとやっていらっしゃるのですが、たまにこういったこともあるようです。
お客様におかれましては、十分に事前のコミュニケーションをとられ、納得の行く買い物をしていただきたいと思います。
御相談はお気軽にどうぞ。
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